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憲法と行政について教えてください。
内閣提出の法律案について衆参両院の賛否の意思が一致しない時、 憲法はどのような調整の手続きを設けているんですか? いろいろなパターンがあるかと思いますが、教えてくださいm(_ _)m
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- rikukoro2
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予算の議決・条約の議決・首相指名の議決 予算、条約、首相指名の議決などにおいて、両院の議決が異なることが起きやすくなる。この内、予算案の議決、条約の議決、首相指名の議決に関しては、議決が異なった場合は衆議院の議決を国会の議決とすることができる(衆議院の優越)。 法律案の議決 法律案の議決が異なった場合は、衆議院可決案を成立させるためには衆議院で3分の2以上の多数で再可決する必要がある(衆議院の再議決)。そのため、与党が衆議院で3分の2以上の議席を獲得していない場合、与党法案の中には参議院で修正や否決をされ、与党法案が原案として成立できない法案が出てきやすい現象が生まれる。予算や条約の議決自体は衆議院の議決を国会の議決とすることができるが、関連法案が野党に反対され参議院で可決できない場合、事実上予算の執行や条約の発効に支障が生ずる場合がある。与党が衆議院で3分の2以上の議席を獲得すれば、参議院が衆議院議決案を否定しても衆議院再議決権を行使して成立させることが可能である。 衆議院可決法案の60日間放置などによる審議の遅延・会期切れによる法案の廃案 衆議院で与党が3分の2以上の議席を占める場合、衆議院可決法案を参議院が議決しなくても、衆議院可決後から60日間経過すれば、衆議院側において「参議院が否決した」とみなすことが出来る(みなし否決)。しかし、60日間は審議遅延が可能になること、また60日間経過する前に会期切れが見込める場合なら継続審議にせず審議未了で廃案に追い込むことができる。 両院同意人事 日本銀行政策委員や会計検査院検査官や人事院人事官などの人事は衆参両院で同意を得る必要がある。国会同意人事では衆議院の優越が認められていないため、参議院が同意人事を否決した場合、政府は新たな人選に迫られることになる(かつては「会計検査官」「人事官」など、衆議院の同意だけで両議院の同意とする衆議院の優越が認められた人事も存在した)。国会閉会中または衆議院解散中のため事前の同意が得られない場合は暫定的に任命をすることもできるが、あくまで次国会で同意を得るための暫定人事であるため、抜本的な対処とはならない。 両院承認案件 自衛隊の防衛出動の承認、NHK予算の承認などの国会の両院の承認が必要な案件は参議院が同意しないと両院協議会を開くが、合意できない場合は自衛隊出動が撤退になったり、NHKの予算支出が暫定予算扱いで対処するなど、政権運営に支障を来たすようになる。 臨時国会や特別国会の会期及び会期延長 臨時国会や特別国会の会期及び会期延長における両院の議決では、衆議院の優越が認められているため、国会会期の長さに関しては衆議院で過半数を持つ与党がある程度コントロールできる。 野党主導による閣僚等問責決議可決 政府要職に不適格と判断される閣僚などへの問責決議が可決しやすくなる。問責決議には法的拘束力はないが、問責対象閣僚などが出席する国会審議において野党議員が出席を拒否する(審議拒否)大義名分を与え、国会審議が混乱する恐れがある。審議拒否という行動には野党の問責理由を世間が支持すれば閣僚が辞任せざるをえないと考えられ、野党の問責理由を世間が支持しなければ野党は国会審議に復帰せざるをえないと考えられている。 野党主導による首相問責決議可決 また首相問責決議が可決されれば、閣僚問責決議と同じく首相が出席する国会審議において野党議員が出席を拒否する事態が想定される。首相問責決議可決されれば、事実上内閣不信任決議可決と同じ行為があり、首相は内閣総辞職するか衆議院解散するかに追い込まれると考えられている。一方で、そのような考えに対し、問責決議に法的拘束力がないことから、首相問責決議可決に対しては憲法で規定された内閣信任決議を衆議院で可決させて、憲法上の内閣信任という効力を持たせ、法的根拠のない首相問責決議効果を打ち消す方法も存在する。その場合でも、与党主導の衆議院での内閣信任決議可決と野党主導の参議院での首相問責決議可決のどちらを世間が支持するかで、内閣総辞職するか衆議院解散するかに追い込まれるか否かが決まってくる。 野党主導の国政調査権発動や証人喚問 参議院で野党が過半数となり、野党が参議院主要委員長を獲得すれば、参議院で野党が主導をして、与党が国民に知られたくないないような政権の腐敗や疑獄事件などに絡み、野党が主導して国政調査権発動や証人喚問を議決することができる。首相や現役閣僚や党幹部などの与党大物政治家を証人喚問すること可能となる。証人喚問は証言拒否や偽証した場合は国会の議決で刑事罰が規定されている議院証言法違反として告発することができる。 ただし、参議院では1955年以降、証人喚問議決は全会一致が慣例となっており、与党が反対すれば出来ないことになっている。法律規制ではないため、野党が慣例を破ることが可能だが、出席拒否や偽証罪に関する議院証言法違反の告発は出席委員の三分の二以上の賛成する必要が法律で明記されており、与党が三分の一以上の勢力がある場合、議院証言法違反の告発は野党単独ではできず、与党が反対した場合の証人喚問の実効性が疑問視される。しかし、世間から見て野党の証人喚問議決や議院証言法違反の告発が正当と思われている場合、あからさまに身内を庇うことは与党への打撃につながり、次回選挙に影響するとされるため、与党が軟化すると予想される。