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強盗と強姦は殺してしまっていい!?
ちょっと極端なタイトルですが、十数年前にどこかの劇場で見た芸人さん(名前は失念しました)が、法学部卒だったか元弁護士だったかで、法律に詳しいことを売りに、「法律ギャグ」みたいのをやっているのを観たのですが、その中の台詞で 「強盗と強姦は殺しちまっていいんだよ。だって法律にそう書いてあるんだからよ。」 というのがあり、今でもとても印象に残っています。 芸人さんですから、ある程度誇張して可笑しくしているのでしょうが、これは概ね正しいと言っていいのでしょうか? 無論、正当防衛として認められるかどうかは基本的にケースバイケースで、裁判官の裁量に任されているということは知っております。 ですが、強盗、強姦といった凶悪な犯罪の矢面に自身がさらされてしまった場合のことを考えますと、過剰防衛となることを危惧して「手加減」してしまって甚大な被害をこうむってしまうよりは、むしろ「殺す気で」必死に抵抗するほうが結果的にマシな気がします。変な言い方ですが、そういう凶悪犯罪に対して「抵抗する権利」があって欲しいと思います。 つまり、我々一般人が運悪く凶悪犯罪に遭ってしまったときの心構えとして「強盗と強姦は殺していい」と心の隅に留めておくことは、「とにかくあらん限りの抵抗をするべき」という意味で悪くないことのように思えるのですが、法律にお詳しい方から見てどうなのでしょうか? ご意見も含めて回答いただけますと幸いです。
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直ちに「殺してしまっていい」とはいえないと思います。 まず,正当防衛が認められるには,(1)急迫不正の侵害(危険が差し迫っていること)があり,(2)その危険から身を守るためにした行為で,(3)相当性がある(やりすぎではない)という条件を満たす必要があります。「裁判官の裁量による」というと裁判官が自由に決められるように聞こえてしまうので若干不正確で,あくまでこの3条件を満たすかという客観的な判断になります。 次に,どこまでなら(3)相当性がある(やりすぎではない=過剰防衛ではない)といえるかの問題ですが,ケースバイケースで,強盗や強姦だからといって常に「殺していい」とはなりません。 例えば,相手が素手なのに対し,こちらが刃物で刺してしまうと過剰防衛になる可能性が高いと思います。また,相手が犯行をあきらめた後もこちらがしつこく仕返しをするのもNGです(過剰防衛にすらならないかも)。 凶悪犯罪に対し「抵抗する権利」はあり,必死に抵抗するのも当然ですが,「相手を殺すこと」が目的なのではなく,「自分(や第三者)の身を守る」ことが目的ですので,そのためにやむを得ない行為はしてもよい,と考えておけばよいのではないでしょうか。
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- ok2007
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No.2の者です。 念のため述べれば、「盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律」は、相手が強盗犯や強姦犯であればとにかく殺してしまって構わない、と定めているものではありません。 ギャグの根拠はこれだろうな、と推測出来はしますが、この法律の要件と比較して、「強盗と強姦は殺しちまっていいんだよ。だって法律にそう書いてあるんだからよ。」は、かなり語弊のある表現といえるものと思います。 この法律の趣旨は、結果として強盗犯等を殺してしまった人を正当防衛として救おうとしたものだったと思いますから、「強盗と強姦は殺していい」というのとは異なるのではないでしょうか。
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度々の回答ありがとうございます。 >相手が強盗犯や強姦犯であればとにかく殺してしまって構わない、と定めているものではありません。 無論私もそのように認識しているわけではありません。あと出しになりますが、件の芸人さんは、「被害者が「殺人者になってしまう」ことを恐れて抵抗しない、もしくは加減してしまうことが結果として犯罪者をつけあがらせている。強盗をするんなら「殺されても文句は言えない」ことをもっと奴らは知るべき。」といった主旨の中で質問のような過激な表現を使っていました。
補足 盗犯等の防止及処分に関する法律 第1条 正当防衛の特則 の条項に記されてます 全文は長いので こちら http://www.houko.com/00/01/S05/009.HTM
お礼
度々の回答ありがとうございます。 確かに極論すれば「強盗と強姦」から身を守る時は罪にならない→「殺していい」と読めるように思います。かなり語弊がありますが…。 大変参考になりました。
- ok2007
- ベストアンサー率57% (1219/2120)
法的に検討すれば、基本的には間違いですね。 なぜなら、「とにかくあらん限りの抵抗をするべき」というのと、「強盗と強姦は殺していい」というのとは、大きく違うからです。前者は防衛の意思を強く持って行動すべき、といっているのに対し、後者は殺人の故意を持って対応すべき、といっているからです。 言い換えると、「強盗と強姦は殺していい」と心の隅に留めておくことは、すなわち、強盗犯や強姦犯を目の前にしたら殺人の故意で対応していい、と頭に置くことを意味します。 人は、いざというときは、普段思っていることが行動に出ますから、そのように心の隅に留めておくと、その人の心に「殺していい」という命令規範が形作られ、いざ強盗犯・強姦犯を目の前にしたとき本当に殺意を持って殺す結果を生むおそれがあります。 これは、法の予定する正当防衛を明らかに超えます。 もともと攻撃性の非常に少ない優しい性格の持ち主で、かつ、いざというときに行動へ移れないタイプの人などであれば、「強盗と強姦は殺していい」と思うことで、一般人レベルの防衛行為が出来るようになりましょうから、そういった人に対しては、そう心に留めておきなさい、とアドバイスするのはいいと思います。 ただ、一般的な性格の持ち主であれば、そのように心に留めることで過剰防衛の結果を容易に生みやすくなるでしょうし、言葉を文字通り捉えるタイプの人(このタイプの人も、意外に多いものです)であれば、本気で殺しにかかるおそれすらあります。 また、こちらを殺そうとしている(ように強く感じた)強盗犯・強姦犯に対してなら「強盗と強姦は殺していい」という場面も想定できますが、そういう特殊な状況でもない限り、「強盗と強姦は殺していい」というのは行き過ぎでしょうね。 要するに、人によってはそう心に留めておいても良いと思うものの(あるいはそうアドバイスしても良いと思うものの)、一般的にはお勧めできない、ということデス。 劇場という、きわどいネタもありの独特の場で出てきたギャグは、あまり真面目に受け取ってもなぁ、というのが本音です。
お礼
回答ありがとうございます。 確かに殺してしまって「いい」というのはいかにもネタ的で言いすぎだとは私も思います。
正しいです 「とっさの場合には、法の保護が間に合わない恐れがあるので限られた条件のもとでは、殺人であっても自力で不正な侵害を排除することが許される。その結果、侵害者が害を蒙る事があってもやむを得ない。」 犯罪とは、する必要のないことを自分の意志(故意)で行うことです。この不正な犯罪行為に対して、自分の生命や財産を守るために必要な行為で対抗することは、「犯罪の成立要件」を満たさず、罪にならないという定義です。 成立の要件は、 不正、不法な侵害がある時であること 他人から暴行を加えられ、殺されようとしている時や、何かを盗まれようとしている時に自己防衛のためにする行為が違法であっても罪になりません。 また、不正だが犯罪にならない行為(精神病者による侵害行為など)に対しても正当防衛は認められます。相手がこちらの言葉尻を捕えて殴りかかってきた場合も正当防衛になりますが、殴り合いは喧嘩両成敗です。正当防衛は認められません。 急迫である事 ただ今、相手から暴行などの侵害を加えられている必要があります。現在進行している侵害(現行犯)に対してのみ正当防衛は成立します。 翌日相手に襲われるという確信があり、それを防ぐために相手に危害を加えたら暴行で、罪を問われます。また物を盗まれた後で気付き、これを取り返すのは「自救行為」になり許されません。しかし、窃盗犯人を追いかけて盗まれた物を取り返す場合には正当防衛が認められることもあります(準現行犯)。また、差し迫っている侵害が自分と無関係の第三者に向けられていて彼を助けるための行為であっても正当防衛は成立します。 必要な限度を越えない事 凶悪な侵入盗に対して、恐怖のあまり犯人を殺傷しても正当防衛と認められますが、単純な物取りの泥棒を殺したら明らかに行き過ぎで 過剰防衛になります。
お礼
回答ありがとうございます。 殺してしまって「いい」というのは非常に語弊がありますが、それもやむなしという状況では程度問題ですが認められるということですね。
お礼
回答ありがとうございます。 >凶悪犯罪に対し「抵抗する権利」はあり,必死に抵抗するのも当然ですが,「相手を殺すこと」が目的なのではなく,「自分(や第三者)の身を守る」ことが目的ですので,そのためにやむを得ない行為はしてもよい,と考えておけばよいのではないでしょうか。 大変わかりやすく参考になります。そうですね。「身を守るための行為」と捉えるのが一番ですね。