物権と財産権は別の概念です。それを一緒だと思っているから理解できないだけです。
まず、特許権は物権ではありません。
物権とは本来は「物に対する直接的支配権(ただし、例えば債権質とか地上権を目的とする抵当権のように例外はある)」なので、物を支配しない知的財産権は元々物権ではありません。その上で、物権であるとする法的根拠もないのですから物権ではありません。
ということで特許権に物権法定主義は何の関係もありません。
ちなみに知的財産権は無体財産権とも言います。物を支配しないから無体財産権なのです。無体財産権は、物権、債権と並ぶ第三の財産権といってもいいくらいです(つまり、物権、債権も財産権である)。
さて、そこで財産権とは何かと言えばこれは一言で言えば「権利をその性質によって分類した一分類」です。財産権以外の権利は、例えば人格権とか身分権とか。特許権は財産権であるという記述は、「経済取引の客体を目的とする権利の総称が財産権というのが法学上の定義であるところ、特許権は経済取引の客体となる特許を目的とする権利なので財産権である」という論理的な帰結にすぎません。
ともかく、財産権であることから演繹的に全ての結論が出るわけではないので、財産権であるということをそれほど過剰に意識する意味は法解釈上はありません。むしろ、百害あって一利なしです。