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ダランベールの原理の位置づけ
解析力学の授業の最初に、「ダランベールの原理」を習うことが多いと思います。 これ自体、非常に興味深い発想だとは思うのですが、しかし、解析力学の講義のそれ以降の議論において、ダランベールの原理がどこで役に立っているのか分かりません。 解析力学で最初に、ダランベールの原理を習う理由を分かる方がいたら教えてください。
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私も悩みました!。素直な疑問だと思います。 (1)歴史的経緯 もともとのダランベール原理は、一質点系を目的としたものではありません。多質点系のために考えられました。ニュートンの運動方程式を多質点系に適用する場合、一番苦労するのが、質点間の内力と拘束力です。 質点間の内力は、作用半作用の法則があるので、#1さんの参考URLにあるようにダランベール形式にすると(集計すると)、全てキャンセルする事がわかると思います。さらに拘束力については、続く仮想仕事の原理により、ΣS(i)×δx(i)の積は、ふつう0になり、やはり消去できます。何故なら、通常の拘束条件は曲面上に軌道が制限されるようなものであり、拘束力は曲面と(つまりδx(i)と)直交するからです。こうして形式的には、式上から二つの厄介者を消す事ができます。 (2)Lagragianの意味(なのかな?) じつはLagragianの定式化は、ダランベールの原理によっています。 仮想仕事の原理は、系のエネルギー収支を表すようなものです。Lagragianは、通常の流れでは「仮想仕事の原理」=「変分原理」から導かれると思います。言ってしまうと、Lagragianは系のポテンシャル・エネルギーです。ただし普通のポテンシャルではなく、ダランベールの原理による仮想静止系のポテンシャル・エネルギーです。 本当の静止系では、ポテンシャルの変分をとる事で、釣り合い方程式が出ます。仮想静止系では仮想静止ポテンシャルの変分をとる事で、運動方程式が得られる、というわけです。この時、内力や拘束力のポテンシャルがない方が楽に決まっているので、それが最初にダランベールの原理を採用する、技術的理由と思えます(なくてもできるんですけどね)。 結果はLaglange方程式です。実際Laglange方程式は、-ダランベールの原理=0 の形になっています。 (3)という訳で 本当の静止系でもそうなのですが、ポテンシャルに拘束力のポテンシャルなどがなかったとしても、全ての変数は独立ではないので、独立に変分がとれなくなります。そこで独立な任意の変数に座標変換して、処理します。 仮想静止系でも同じです。独立な変数に座標変換して、独立にLaglange方程式を導きます。ここで変分法の威力が発揮され、任意の座標変換に対して、Laglange方程式は不変だという性質ばかりが、この後強調されて行きます。 という訳で、Lagragianから内力と拘束力のポテンシャルを除き、独立な変数に座標変換してまった後では、お役御免という事で、ダランベールの原理は「跡形も無い」わけです。
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#3です。表記ミスをしました。 ・Pの式の中で、ρAgx は ρAgW の誤りです。 ・(xに関する初期条件)の部分は、(W(x)に関する初期条件)の誤りです。
余談ですが、今朝 Windows の Loader が動かなくなって、復旧に一日かかりました。・・・やれやれ。 >なるほど と仰って頂けたので、ダランベールの原理については、とりあえずいいでしょうか?。 >Euler-Lagrangeの方程式を導く過程で変分法を使う根拠がイメージつかめなかった・・・ 結局は、そこに行き着きますよね。以下にはかなり、個人的な独断が含まれています。 Lagragian の成立過程では、今から見れば論理的に無関係な二つの側面が、歴史的にはからみあっていたと思われます。神に関する思い込みと、形式的抽象化という二つの側面です。 (1)神に関する思い込み ・神が自然を(物理を)造った. ・神は完全である. ・ゆえに自然の設計においても神様は、無駄は皆無の極限設計をなさったに違いない。 ・よって物理法則は、何かの量を最小化するように定式化できるはずだ. 以上が思い込みです。この感覚でいけば、物理法則に変分原理を採用するのは、最初から当然の事となります。そして動力学の変分原理(最小作用の原理とLaglage方程式)の以前に既に、静力学では、ポテンシャル最小原理という変分原理が得られていました。この背景のもとに、次の形式的対応が気づかれます。 (2)形式的抽象化 天井から吊るされた、一様な棒の自重(重力)による伸びを考えます。棒の断面積をA,ヤング率をE,密度をρとした時、この系のポテンシャルは、 P=∫(1/2(EAε^2)+ρAgx)dx となります。ここでεは棒の歪みで、棒の各点の変位をw(x)とした場合、ε=dw/dxと表され、xの方向は鉛直上向きにとっています。Pの変分を取ると、棒の各点の釣り合い方程式が得られます。結果は、 E・dε/dx-ρAg=0 (a) です。これを解いて、境界条件(xに関する初期条件)を与えれば、棒の延び方がわかります。一方、等加速度落下の運動方程式は、 m・dv/dt+mg=0 (b) です。ここで t は時間,v=dx/dt,mは質点の質量です。(a)と(b)を「形式的に」比較すると、(b)は、 S=∫(1/2(mv^2)-mgx)dt の変分から得られる事がわかります。Sは作用積分であり、Sの積分の中身が Lagragian です。この事実を(1)に結びつけると、作用こそが、最小化すべき量だ、という事になります。 (3)役割と単位がずれている Pには、系のポテンシャル・エネルギーというはっきりした意味があり、(a)にも、ポテンシャル・エネルギーの最小化から得られる釣り合い方程式という、明らかな意味があります。 ところが動力学において、Pの相当するものはSであり、これはエネルギーの単位を持っていません。そしてその中身の Lagragian がエネルギーの単位を持っています。なので正確に言うと、仮想静止系のポテンシャル・エネルギーに相当するのは、作用の方であり、エネルギーの単位を持っている Lagragian ではありません。 このような事が起こったのは、「形式的対応」に基づいて、Lagragian が定式化されたからだと思えます。 しかも動力学の Lagragian がエネルギーの単位を持つために、静力学における Lagragian、すなわちPの中身を、ラグラジアン密度と呼ぶ習慣がある一方で、動力学の Lagragian を「運動ポテンシャル」と言う習慣もあります。これらが話を、さらにややこしくします。もう、笑っちゃいますよね・・・。 でも実態は、以上に述べた状況だと、自分は思っています。ラグラジアン,ハミルトニアンへの道程は、古典力学内では、数学的な思い込みだと思えます。ゲージ理論以降に、その物理的意味が、やっとはっきりして来たという印象を受けます。
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私の考えが正しいかどうかわかりませんが、 数式を表面的に見ているだけでは、 ニュートンの法則もダランベールの原理も、 ただ式を移行しただけで、何の違いもないですが、 物理的に考えると http://www12.plala.or.jp/ksp/formula/physFormula/html/node24.html に書いてあるような違いがあります。 ダランベールの原理を習う理由は、 そうふうに、物事を現象に即して物理的に 考える力を、養うのが目的ではないかと思います。
補足
なるほど。Euler-Lagrangeの方程式を導く過程で変分法を使う根拠がイメージつかめなかったのですが、それも 「ポテンシャルの変分」と解釈できるのでしょうか。 結局、ポテンシャルを時間で積分したものの極値が実現される理由も、やはりイメージできませんが。。。