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PACの適正注入量について
PACを注入する水処理系統を持っているのですが、どうもPAC注入量が多いような気がするので質問いたします。 処理水は清流なので濁度は非常に小さく、濁度計では1ppm以下を示します。ただし、降雨の際には濁度が一気に数ppmまで上昇します。 過去に「濁度5ppmまでは10ppm相当のPAC、それ以上は1.5倍量」を注入することを決めており、それに従っていたのですが、現状の処理水は1ppmを下回っており、結果として2層濾過(アンスラサイト+砂)の出口で、アルミ濃度が0.3ppmと、飲料水の水質基準を超える状態になっています(かろうじて下流の活性炭で処理しているのですが・・・・)。 なお、水処理施設は「河川水→PAC注入→2層濾過→活性炭濾過→塩素処理→飲料水」です。沈殿槽はありません。 河川水の濁度が4ppmの時にALT比0.2で注入しています(つまり濁度が1ppm以下だと0.2を数倍上回ります)。 そこで質問なのですが、 1.低濁度時(<1ppm)は、PACを減少させる必要があるか? 2.一般的にALT比0.05~0.2で運用というのを聞いたのですが、これを大幅に超えた場合はアルミが流出するのでしょうか?そのメカニズムがわかりません。 なお、処理水を0.45μmのメンブレンフィルタで濾過すると、ベトベトの状態(真空吸引濾過で数時間を要する)であり、河川水を濾過した方がマシなレベルです。 3.PAC注入量は「ジャーテスト」で決めるものという事は認識しているのですが、低濁度ではフロックが視認できません。この状態で最適注入量というのは決めかねるのですが、どういった試験を行えば良いのでしょうか??フロックが出来るのなら決めやすいのですが・・・ 4.先に述べたALT比(0.05~0.2)というのは、あくまで目安だと思いますが、当方で濁度1ppm以下となると必ず過剰注入になります。恥ずかしながら0.05~0.2というのも、NET検索で引っかかったものなので、何か後ろ盾が欲しいと思っています。公開文献などは無いのでしょうか??しょうもないことですが、硬直した組織なので、現運用を変えるには後ろ盾が要るのです。 メーカーでも「ジャーテストで決めるものです」と言うばかりで、困っています。 私自身、素人なのでどんな些細なことでも結構です。アドバイスを頂ければと思います。
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- chem_navi
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こんにちは.当方,学生ですので現場のことは存じません.あくまで思うところをご参考程度にお話させていただくことをお許し下さい. はじめにご質問内容の回答をさせていただき,その後に所感を述べたいと思います. >1 処理量が飽和状態(PACで処理可能な下限濁度)ならば,それ以上のPACは不要です. >2 PACからアルミニウムイオンが一部遊離しますので,過剰投入すると検出限界値以下だったアルミが検出されるようになります.どうしてもPACを過剰投入するならば,遊離したアルミニウムイオンを水酸化物等として沈殿除去する工程が別途必要になるかもしれません. >3 (微細なフロックは生成していると思いますが)確認される程度に成長するまで滞留させる,あるいは攪拌槽下部よりバブリング(エアレーション)させてSSを上澄みに濃縮し,PACを上澄みに添加する.PACを数回に分けて添加する(いっぺんに添加すると過飽和がつきすぎて微細フロックが大量数生成する).最適pHを検討する.凝集剤自体の変更を検討する.が考えられます. >4 日本語の文献データベースとして,CiNii((サイニィ)国立情報学研究所),MAGAZINEPLUS(日外アソシエーツ),J-DreamII(JST),J-STAGE(JST)が有用です. 本件のプロセスには凝集槽が無いことから,(1)流動(ミキシング)が悪い,(2)フロックの滞留時間が稼げない,と思われます.従いまして,プロセス流体中におけるPAC濃度に分布が生じたり(河川水のすみずみまでPACが行き渡らない),局所的にフロックが生成する,フロックが十分成長しない,ことが予想されます. ところが本件の場合,ジャーテスターで攪拌しながらやってもフロックが見られない,とのことでしたので,ミキシングや滞留時間が稼げない本プロセスでは,なおさらフロックが成長しにくく,低濁度の処理には向かないプロセスかと思われます. 加えて,先に述べましたように,ジャーテスタースケールと実スケールでは,フロックの成長環境場がかなり異なる(ミキシングと滞留時間の相違)と思いますので,ジャーテストにて最適化された操作条件がそのまま本プロセスに適用できるか,いささか疑問です. また,必要以上にPACを添加するのはおすすめできません.次第にPACどうしで相互作用するようになり,無駄が多くなってきます.遊離アルミも増えるでしょう.濾過の状況を見る限り,SSの沈降性もかなり悪そうです. 解決策としては,>3で述べたとおりですが,低濁度条件は本プロセスの場合,とにかく凝集の推進力が得られないのでかなり厳しいと思います.とくに実スケールの場合はミキシングが効かないので,循環ループをつけてフロックの滞留時間を稼ぐ,あるいは流路を狭めてフロックの懸濁率を物理的に大きくする,シード粒子の添加等も考えられるかと思います. 私の研究室では一応MAPをやっている研究班があるのですが,私とは別テーマですので,これ以上は何とも言えません.詳しくは専門家の回答をお待ち下さい.長文にて失礼致しました.
お礼
さっそくのアドバイスありがとうございます。 設備改造には時間を要することから、基本的にはPAC注入量の変更で対応する予定ですが、それなりの根拠なしに実機適用は難しく、やきもきしながら対応をしている所です。 ジャーテスト(実機を十分に模擬していませんが)で得られた試験液を、定量濾紙で濾過したところ、PAC注入量の増加に応じてアルミニウム濃度が上昇しており、これと濁度成分(指標として濁度・鉄濃度)を元に、「必要以上にPACを注入しているために、アルミが流出している。また、現状の注入量の半分でも十分に処理水は清浄である」ということをデータで示したいと考えています。 これに併せて、高濁度時には従来どおりのPAC注入が必要であることを示したいところですが、雨が降ってくれないので試験が滞っている状態です。 非常に参考になりました。ありがとうございます。