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ハミルトニアンと磁場
通常の分子のハミルトニアンでは、ポテンシャルはクーロン相互作用によるもののみですが、電子が動 くことによって発生する磁場の寄与は考えなくて良いのでしょうか?
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電子間に働くクーロン力と比べると、電子間に働くローレンツ力はとても小さいので、ふつうは考えなくてもいいです。 電磁気学の基本的な公式(ビオ・サバールの法則とε0μ0=1/c^2,cは光の速さ)を使うと、速さvで動いている電子間に働くローレンツ力とクーロン力の比が、高々 (v/c)^2 になることを示すことができます。このことから、電子の速さが光の速さよりもずっと遅い時には、ローレンツ力を無視していいことがわかります。 高精度の計算をするときや、分子中に速く動く電子(重原子の内殻電子)があるときには、相対論的な量子化学計算をすることで、電子が動くことによって発生する磁場の寄与を取り込むことができます。相対論的量子化学については、例えば 永瀬茂, 平尾公彦著 「分子理論の展開」 現代化学への入門17, 岩波書店 (2002) をご覧ください。
お礼
よく分かりました。ご紹介いただいた本で勉強しようと思います。 有難うございました。