西方はカトリックとプロテスタントの地域。東方はギリシャ、ロシア、グルジアなどの東方正教会を意味することが多いが、異端とされる単性論のアルメニア教会などを含めることもある。
西方はローマ帝国の東西分裂後、早い段階で国が滅びてしまい、宗教だけが残った。後に、ドイツ諸侯の緩やかな連合を作り、交互に皇帝の座を持ち回りするという「神聖ローマ帝国」を作り、名目上だけは、教会と国家の統一を復活させた。他方、東方ではコンスタンチノープル(現トルコ領イスタンブール)を首都とし、政治と宗教が密接な関係を持つ体制をとり、長期にわたって存続を続けた。
西方ではローマの言葉であるラテン語を使う。他方、東ローマ帝国は、巨大国家ローマのスタート地点であるイタリアの小都市ローマの領域外であり、ギリシャ語に公用語がきり変わるなど、ギリシャ化が進む。
西方ではクリスマスを本来の1月から12月にうつし、土着的な太陽神信仰に歩み寄る形でも勢力拡大を目指した。東方では今でも、クリスマスは1月。
西方では昔から使われてきたユリウス暦の欠点を修正したグレゴリオス暦が採用された。東方国家も現在ではほとんどグレゴリオス暦を受容しているが、歴史的誇りの強いギリシャ人だけは、独自にギリシャ暦を作っている。
西方ではギリシャ時代をはじめとする古代の高度な文明を忘れてしまい、後になってルネサンスで古代文明を再発見する。その結果、理想の美と、身体の解剖学的正確性に基づく絵画が発達する。他方、東方では、昔ながらの文明が生き続け、様式化の傾向が強いイコン(宗教絵画)や、作成に手間のかかるモザイク画などが発達する。
教会の建築様式が全く違う。西方では、ゴシックと呼ばれる、上へと伸びていく形の教会が多い。東方では、典型的には丸屋根のドームがついているが、グルジア、アルメニアなどでは円錐状のとがったドームであり、ロシアでは、いわゆるタマネギ頭のドームを発達させる。