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ポストゲノム計画のタンパク質の構造決定について

1999年にアメリカ国立保健研究所がタンパク質の構造決定プロジェクトを発表したらしいんですけど、それはどこまで進んでいるんですか?私は、将来タンパク質に結合してその働きを調整する新薬を開発したい高校生です。分かりやすくお願いします。

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  • ryumu
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回答No.4

タンパク質の立体構造から薬を開発する仕事に関わっている者です。 しかしながら勉強不足のためアメリカ国立保健研究所のプロジェクトの進行が現在どうだかよく知りません(汗) ただ世界中で同様のプロジェクトが進行しています。 日本でも、2000年10月に理研を中心としたタンパク質基本構造決定が進められており、今年からタンパク3000プロジェクトが文部科学省により推進されており、大学と企業が結集して進めています。 さて、現実問題として、蛋白質の構造解析までの道のりは多くの困難があります。 タンパク質の構造解析までには、おおざっぱに (1)目的とするタンパク質の大量発現 (2)目的タンパク質の単離・精製 (3)目的タンパク質の構造解析 という過程があります。 X線や電子線による結晶構造解析をする場合は、(2)と(3)の間にタンパク質の結晶化という作業も入ります。 そして、これらの各作業でいろいろな困難が待ち受けます。 例えば、創薬を目指す場合、目的はヒトの蛋白質ですが、それを大量に得るには、生きている人から直接得られるタンパク質は限られるため、普通、他の生物種に生産してもらう必要があります(最初は大腸菌へ遺伝子導入するのが一般的です)。 しかし、タンパク質によっては、他の生物種にとって有害である場合もあるため、うまく生産してくれないこともあります。 すると、よりヒトに近い生物種の細胞に遺伝子を導入し、タンパク質を発現させることになるのですが、用いる生物種が高等になればなるほど、適切な実験施設、実験技術が要求され、費用もかかります。さらにこの場合、生産されるタンパク質の量も減るため、適切な量を得るために、さらに費用がかかります。 現在、もっとも費用がかからずに、かつ扱いが容易なのが、大腸菌であるため、大腸菌から得られたタンパク質の構造解析は、今後もかなり進むと思います(・・・もはや限界気味か?)。 一方、大腸菌で生産しにくいタンパク質では、次に試されるのが、酵母、昆虫細胞になると思います。 これも現在、かなり進められていますが、技術的に熟練を要することも多いため、タンパク質の構造解析を目的とした場合、扱える人材、扱える施設などがまだ限られているように思います。 また、最近では、無細胞によるタンパク質発現も行われていますが、これも費用が効果であるため、まだまだ普及はしないでしょう。 これらを克服しても、(2)、(3)の過程で様々な問題が出てくるのが普通です。 精製過程に必要な操作が、そのあとの(2)、(3)の過程を困難にすることもあります。 このように、この分野は経験と、熟練と、試行錯誤が必要となり、しかも費用がかかります。 すると、研究費用と研究施設、そして人材を多く投入したほうが、有利なのは確かです。 その点は、やはりアメリカは有利だと思います。 一方、タンパク質の立体構造を解明して、すぐさま創薬につながるとも言えません。 タンパク質が、生体中で働く場合、必ず”動き”を伴います。 構造解析は、いわば”止まった”状態(正確には、いろんな状態における平均の構造)を見ているので、動きに関する情報は、まだなかなか得られていないのが現状です。 タンパク質が、実際にどのような(物理的)力で、どのように動いてその機能を果たすのかは、完全に解明されているタンパク質は現在ないのです。 今後、構造だけでなく、運動に関する情報の必要性もでてくることと思います。 運動情報が得られるようになると、「分子構造」をターゲットにしたのではなくて「分子運動」を変化させるための薬も考案されるでしょう。 高校生ということで、今からこのような分野に興味を持つことはいいことです。 おそらく大学に入って、改めて知ることが多くなり、様々な現状と新たな夢を持つことになると思いますよ。 他の方々同様、基礎知識と、思考力はじっくり身につけることをお勧めします。 あと、個人的な意見ですが、原子レベルで、生物を研究するならば、量子力学、量子化学などの分野もこれからの生物分野に必要となると私は思っています。 回答とは反れてしまい、申し訳ございませんが、頑張って下さいね。

hanaz
質問者

お礼

自分の目標としている仕事を持つ方から回答があって、本当に光栄に思います。薬をつくるということ、またそれ以前にタンパク質の構造を解析することも困難を極めるものなのですね。とりあえず…と言っちゃなんですが、大学に入学しないと何も始まらないので、受験勉強を頑張りたいと思います。そして大学入学後、思う存分(?)、現実の厳しさを目の当たりにするでしょう…というかします。でも頑張ります!本当にありがとうございました。

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その他の回答 (3)

  • Hi104
  • ベストアンサー率18% (10/53)
回答No.3

残念な回答になるかもしれませんが、現実問題を述べます。 現在のバイオサイエンスの研究・開発速度は、想像以上です。特に基礎研究での成果はそのまま特許等の権利に結びつくので、特にアメリカの根性はすごいです!たとえば、ヒトゲノムプロジェクトをご存じでしょう。日本や欧州は「みんな仲良く」で共有財産化しようとしていたのに、アメリカのベンチャーが力業でとっとと美味しい配列だけ読んじゃいました。この世界、早い者勝ちなので「やられた」わけです。特に新薬開発の場合は、莫大な利権に関わるので、この分野での研究競争は半端じゃないです。hanazさんは今高校生ですよね。この競争に参加するなら、最低4年かかります。4年もたてばどうなっているのか、想像も付きません。エイズやプリオン病の特効薬も出来上がっているかもしれません。 ですから、今は特定のことだけに興味を示さず、いろんなことに興味を持って、そして疑問を抱くことが、後々役立ちます。また、今では生物学を専攻するにも、物理、化学、数学といった自然科学全体の基礎知識が要求されます。特に新薬開発の分野は生物というより、むしろ物理化学の分野です。 幻滅させるようなことを書きましたが、このまま大学へ進学し、専門の授業で現実を目の当たりにするよりかは、幾分ましだと思った上での投稿です。もちろん、この分野の事象がすべて解明されてしまうわけではないので、研究に参加はできますが、美味しいところは残っていないでしょう。もしくは、ノーベル賞級の非常に困難なテーマが残っているかもしれませんので、挑戦する価値はあるでしょう。最後に、最先端の研究に携わりたいなら、なにより英語の勉強をしましょう。日本語の文献を読んでいては「遅い」のです、この世界は。

hanaz
質問者

お礼

う~ん現実は厳しいですね…。今回生物学の所にこの質問を載せたのは便宜上のことであって、もちろん生物を学んだだけで、薬の開発ができるとは思っていません。今、高校で物理、化学、生物を履修していますし、私が目指している大学では、物理、化学、生物が必須科目となっていますから。なので大学に入って、色々な基礎知識を身に付けて、少しでもいいので目標に近づいて行きたいと思います。貴重なアドバイスありがとうございました。英語も頑張ります!!

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  • rei00
  • ベストアンサー率50% (1133/2260)
回答No.2

 私もダイレクトな回答ではありませんが,ネット検索のキーワードは「構造生物学」や「タンパク質 構造決定 プロジェクト」等になるでしょうか。  試しに「Google」(↓)で検索してみると,いずれのキーワードでも大学等の研究室のページが多数ヒットしました。  私の知る範囲では,研究手法や道具の開発・整備が行われている所と言った段階で,タンパク質の数から見れば,まだまだ初期段階ではないかと思います。  このサイトにも「構造生物学」の専門家の方がおられますが,回答して下さらないですかね(私も知りたい)。

参考URL:
http://www.google.co.jp/
hanaz
質問者

お礼

何かと話題のDNA研究というのは研究しやすく早く進行しているようですが、タンパク質研究というのは、構造が複雑だったり、タンパク質自体から増幅する方法がなかったり、タンパク質の種類によって、性質が全く異なったりするなど、研究が難しく、rei00さんのおっしゃるように遅れるようです。参考URLからもっと色々と調べてみたいと思います。参考URLとアドバイス、本当にありがとうございました。

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noname#211914
noname#211914
回答No.1

ダイレクトな回答ではありませんが、以下の成書も参考になるかもしれませね・・・? =============================== ヒトゲノムのすべて/中原英臣/PHP研究所/2001.7 =============================== この分野は製薬メーカーを始め、いろいろの研究機関で活発に研究している分野です。 現在高校生で興味を持たれているのは素晴らしいことですね! でも、実際に研究活動が出来るのは、大学あるいは大学院でしょうから、化学・生物・薬学等いろいろな分野の基礎的な勉強が必要ですので、少しずつ基礎的な学力をつけていくことが重要でしょうね?最初から一線の研究は難しいですから・・・? そのような意味で学校での授業が物足りないのであれば、ネット検索とか近くの都道府県レベルの図書館で関連図書を探して個人的に勉強されては如何でしょうか? ご参考まで。 

hanaz
質問者

お礼

今、大学に入学することを目標にしている高校生が増えていると思います。実際私の周りにもそういった人が多いので…。大学に入って自分を見失ってしまっては、今頑張っている意味がないと思います。そこで自分の興味のある分野を再認識して、受験勉強の意欲を高めようと思ったわけです。MiJunのおっしゃっているように、大学に入ったら、十分に基礎的な学力をつけて、一歩一歩自分の目標に近づいて行きたいと思います。アドバイスありがとうございました。

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