- ベストアンサー
有限会社取締役の辞任と出資金について、法改定後の違いはある?
- ある有限会社の社員であり、代表権のない取締役の地位にいる方が辞任を考えている。辞任に伴い、出資金の回収を考えているが、譲渡先に社員が同意せず抗弁を用意する必要があるかどうか。
- 有限会社の出資者であることと役員であることは別であり、取締役辞任によって出資金の回収を図る際に問題が発生する可能性がある。
- 最近の会社法改定によって、有限会社の取締役辞任および出資金の回収に関するルールが変わっている可能性がある。
- みんなの回答 (1)
- 専門家の回答
質問者が選んだベストアンサー
従来の有限会社は、会社法施行により株式会社として扱われます。すなわち、持分は株式、出資一口は一株、社員は株主とみなされます。ただし、商号中に有限会社という名称を使用しなければなりませんし、決算の公告義務がないなど、通常の株式会社と違うところもありますので、このような旧有限会社を特例有限会社といいます。 特例有限会社の定款には、「その発行する全部の株式の内容として当該株式を譲渡により取得することについて当該特例有限会社の承認を要する旨及び当該特例有限会社の株主が当該株式を譲渡により取得する場合においては当該特例有限会社が会社法第百三十六条又は第百三十七条第一項の承認をしたものとみなす。」旨の定めがあるものとみなされます。 従って御相談者が株主以外に株式を譲渡するには、会社(定款に別段の定めがなければ株主総会決議による)の承認が必要です。そこで、御相談者か会社に対して、「自己の所有する株式全部を甲野太郎に譲渡するので、その譲渡につき承認をせよ。もし、承認をしない場合は、会社又は会社が指定する人「指定買取人」が買い取れ。」という旨の請求をすることになります。(会社法第136条以下参照) これに対して会社が株式の譲渡承認をすればもちろん問題ありませんが、次のいずれかの場合にも会社が株式の譲渡を承認したものとみなされます。 1.御相談者から譲渡承認の請求を受けてから、二週間以内に会社が譲渡承認をするか否かの決定を御相談者に通知しなかった場合。 2.1.の期間内に、会社が株式の譲渡を承認しない旨の通知を御相談者にしたが、その通知から40日以内に、会社が買い取る旨の通知及び1株あたりの純資産に買取する株式数を掛けた額を供託したことを証する書面の交付をしなかった場合。(ただし、会社から指定された指定買取人がいる場合、譲渡承認をしない旨の通知から10日以内に、自己が指定買取人に指定された旨の通知及び1株あたりの純資産に買取する株式数を掛けた額を供託したことを証する書面の交付を御相談者に対してした場合は、除きます。) それでは、会社が期間内に株式の譲渡を承認しない旨の通知をし、会社又は指定買取人が期間内に通知及び供託を証する書面を交付した場合はどうすればよいでしょうか。 その場合は、御相談者は株式の買い取りをする会社又は指定買取人と売買価格について協議をすることになります。なお、買取の通知を受けてから20日以内に、会社(又は指定買取人)又は御相談者は、裁判所に対して売買価格の決定の申立をすることができます。 上述の期間内(20日以内)に申立がされなかった場合は、その期間に会社(又は指定買取人)との協議が成立しない限り、1株あたりの純資産額に買取する株式数を掛けた額が売買価格となります。
お礼
極めてすばらしいご教示を戴きました。質問者の、次に発するであろう疑問に対するご回答も包含されておる的確さ、深く感謝致します。本当に有難うございました。