大作の字幕翻訳は今のところ狭き門です。しかし、CSチャンネルはどこも、わりと若い感性を持った字幕翻訳者を常に探しています。つまり、若者向けの番組を若者の言葉で訳せる人ですね。
とにかく、今は、できるだけたくさんの映像を(視力をいたわりつつ)見るといいです。ハリウッド映画、ミニシアター系の外国映画、人気のテレビ番組、おさえといてください。原語に慣れながら、どう訳されているかを観察してください。
また、雑学を身につけてください。例えば、売れているミュージシャン、世界的に有名な建物の名前、おさえといてください。新しい用語に気を配ってください。流行語、ニュースに出てくる用語、新製品、おさえといてください。そして、同年代のお友達とたくさんおしゃべりして、「生きた日本語」を自分のものにしてください。それと並行して、正しい日本語を知っておいてください。
英語や日本語の、こてさきの勉強はいつでもできます。しかし、長年にわたって蓄積される用語や雑学は一夜にして身につくものではありません。こうした蓄積を、万人にとってわかりやすい言葉で手短に表す、それが字幕翻訳です。
漠然と映画に関わる仕事を何でもいいからしたい場合にも、上記のようなことが非常に役に立ちます。メディア界では雑学“いのち”ですから。
大学の学科は何でもいいです。外国語の力が足りないと思ったら、外国語学科で磨けばいいし、経済学科に行けば経済の、数学科に行けば数学の知識を磨けて、そのジャンルの作品の仕事が出てきたときに、「あ、あの人なら、詳しいはず」と思われて回ってきます。
ただし、字幕翻訳は他の翻訳と違って、特殊な技術を要するので、一度は、翻訳学校などできちんと学ぶ必要があります。学校帰りに通えるコースを半年とか1年でも受けるだけで、技能が身につく人も多いです。基本的には、入学の時点で、簡単なセリフを外国語で読んで、だいたい意味が分かる程度の外国語力があるのが望ましいです。
大きめな書店に行くと翻訳関係の雑誌が何種類か置いてあります。たまに字幕翻訳を特集していますよ。お役立てください。いずれにせよ、受験生ということですが、今、焦って、進路を字幕に合わせる必要はありません。