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慣習法と成文法
慣習法と成文法ではどちらが曖昧ですか?
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慣習法のほうが曖昧です。 まず、古い法律がいつから無効になったのか分かりません。例えばイギリスでは、いまだに、マグナカルタが憲法の一部ですから、貴族の王に対する権限が規定されているわけですが、こんなことを、今どきしているわけがありません。また、王室に対する不敬罪も残っているのですが、ダイアナ妃を追い掛け回したパパラッチが本当に首切りの刑にあったという話は聞いたことがありません。他方、イギリスの裁判所は、わけのわからないところで現実感覚があります。空を飛んでいたとしてある魔女が裁判所に引きずり出された時、裁判長は、「空を飛ぶことを禁ずる法律はないから無罪」と言ったそうです。 つぎに怖いのは、成文法の世界では常識である「罪刑法定主義」が慣習法の国にはないことです。罪刑法定主義とは、大陸側ヨーロッパや日本の刑法の基本概念で、法律に違法と明示的規定のない行動は、犯罪として罰せられることはないという原則です。民法とは違い刑法には拡大解釈の許さないというのも重大な点で、刑法に拡大解釈を許すと、時の政権にとって都合のよいような思想犯弾圧が可能になってしまうからです(ナチス刑法は、刑法に一般条項がありました。普通、一般条項は民法にしかないものです)。英国法の国の例にオーストラリアがあって、ここは恐るべき法理論で動いている世界です。罪刑法定主義などなく、都合の悪い事件が起こると後から法律を作り、それを過去にさかのぼって適用するのです。きわめて曖昧かつ危険な刑法です。