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責任制限特約と責任の種類
企業と消費者で結ばれる契約(例:運送契約)を前提とします。契約にしばしば、企業の責任を制限する特約が盛り込まれています。よくあるのが、(故意は格別)過失によって損害が生じた場合でも、賠償責任はない、ないし消費者の支払う対価(実損額より大幅に低額)を限度とする、といった内容です。 このような責任制限特約によって、債務不履行責任が制限されうるというのはよく分かりますが、不法行為責任についてはどうでしょう。不法行為責任をも制限したものと解釈すべきか、そうでないのか。あるいは契約によって違うならどのような基準で振り分けるのがよいでしょうか。不法行為責任を事前に制限してしまうことは、不法行為による損害を、相殺禁止などで、可及的に現実に填補させようとした民法の趣旨に反したりしないのでしょうか。 特定の学者や機関の採る結論を引用するのではなく、ご自身でお考えになった理由と結論をお書き下さい。法学に絶対的な真理がないということは重々承知しておりますので。
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結論: 原則として不法行為責任も制限したものと解釈すべきだと思います。 理由: 債務不履行責任が問える場合は債務者に過失があることが前提になっていて、不法行為責任も同時に問えるのが通常です。 ということは、債務不履行責任が制限されても不法行為責任は制限できないとすると、特約が機能する場面が考えにくいことになってしまいます。 もっとも、たとえば医療過誤の場合に特約を認めると不法行為責任が制限されるということになりますが、生命・身体に対する不法行為責任を事前に制限するというのはおかしいというのが一般の感覚であろうかと思います。 そうした場合には公序良俗違反を持ち出して特約自体を無効とするしかないのではないでしょうか(債務不履行の場合にだけ特約が有効で、不法行為には機能しない、と考えるのではなく)。 また、不法行為による損害の相殺禁止というのは、責任が生じてからの話ですから、それ以前に責任制限の合意があった場合とは切り離して考えた方がいいのではないでしょうか。