相反する二つの主張がある場合は、それぞれの主張の根拠がどこになるのかを調べます。そして、その根拠にどれだけの信憑性があるのかを調べます。根拠がどの程度学術的な批判に耐えられるかどうかを見極めることが歴史の基本です。研究書や論文を読むときは(可能であれば証言を聞くことも)、できる限り先入観を持たずにそれぞれの立場から書かれたものを多く読むことです。研究書や論文を読むだけではなく、できる限り基になった資料を読むことをおすすめします。そのうえで、その資料がつくられた背景を考えていくと筋道がはっきりとしてきます。このとき、学者・評論家の主張だから正しいだろうという考え方は要注意です。
多くの資料を見て比較検討していますと、それぞれの立場によって見方考え方が違いますし、その人たちの立場から見ると、それぞれの主張はもっともだということになってきます。今私達が生きている日常社会でも同じことが言えると思います。人間の歴史は人間が造りだしているということをふまえて、歴史的事実がおこった背景や過程をしっかりと読み取っていくことをおすすめします。