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臨床心理学においての異常と正常
臨床心理学において「正常」と「異常」を取り扱うときに注意しなければならない点について。 心理的援助は問題を抱える人を対象に行われる事が多いため、的確な心理アセスメントが重要になりますね。 心理的状態の「正常」と「異常」について基本的にどのような姿勢がもとめられるのか、ニュースなどの事例を挙げてまとめる課題です。 アドバイスよろしくお願いします。
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心理学的にみた「異常」の定義には「適応的基準」「価値的基準」「統計的基準」「病理的基準」等があるとされています. 「適応的基準」というのは,社会生活をスムーズに送れなくなったのが異常であるという見方です. ですが他者からなされる社会的判断にはその人の都合による一方的なものも多いようです(私が困っている=この人は異常だ,という見方になってしまう). また,本人の主観的判断は周囲の社会的判断と必ずしも一致しません. こういった観点から,臨床家は本人や関係者それぞれの判断を確認しなければなりません. 「価値的基準」は,ある理念体系に基づいた規範(ルール)の許容範囲外へと行動が逸脱した場合を異常とする見方です. 「統計的基準」は集団で平均に近い標準状態を正常として,平均からの偏りが大きい場合を異常とする見方です. 心理検査はこの見方から正常と異常とを分類しようとしているわけです. ですが,この基準はどのような集団をサンプルとして平均を決めたかによって正常の範囲が簡単に変化します.にもかかわらず客観的な印象が強いので,大きな社会的影響力をもちます. 臨床家は統計的基準の適用に際しては充分に留意しておく必要があります. 最後の「病理的基準」は医学的判断から疾病と診断された場合を異常とする見方です. 以上のさまざまな基準や理論から心理的な異常を色んな側面から理解して,それらを総合して問題解決を目指すことが心理臨床家には求められています. 病理的基準だけから「異常」というのではなく,他の観点からの判断が重要になってくるということですね. それは,病理的基準からは健康と判断される場合でも,その他の適応的基準や価値的基準からは介入が必要な異常であるとみなされるような例も多いからです. また,病理的基準からは異常とされる人の健康的な側面に注目するというのが心理臨床家に求められる基本的姿勢です. その意味でも,色々な基準から人を見ることが出来るということが大切です. (参考文献) 石垣琢磨(2005)「異常の定義」.中島義明ほか編.新・心理学の基礎知識.有斐閣ブックス.13章2節:Pp464-465 (ほとんど参考文献からの抜き書きに近いので,ぜひ参考文献もご一読ください)
お礼
ありがとうございました。 参考文献で、レポート書く事ができました。 本当に助かりました。
補足
詳しい説明ありがとうございます。 さっそく、参考文献も読んでみたいと思います。 ニュースなどの事例もありますでしょうか? 分かりやすい事例がありましたら教えていただけると嬉しいです。