有機化合物の結晶化について
大学で天然物由来の物質の単離と
構造決定を主に研究しています。
先日、植物の抽出物から
化合物一種を単離し、
NMRと質量分析を行いました。
その結果、
トリテルペン様の化合物だということが判明したのですが
プロトンNMRのピークが至るところで重複しており、
さらに、カーボンNMRのピークも非常に近いところに2~3本ある
ということから、
解析が困難で、もっと確実なデータを得る為に
X線解析を依頼することになりました。
(私の所属する大学にはX線解析装置が無いため、他大学に依頼することになりました)
そこで、結晶を作り始めたのですが
X線解析に適した
程よい大きさの結晶を作ることができず、
(結晶が小さすぎて解析ができませんでした)
誘導体化して結晶性を上げることになりました。
今回単離したトリテルペン様化合物は
NMR解析の結果から
一箇所、ヒドロキシル基があることが分かっていましたので、
そこにMTPAを結合させて
トリテルペン様化合物のMTPAエステルを合成しました。
MTPAは本来、新モッシャー法で用いられる化合物で
化合物の立体構造を決定する為のものですが
今回は結晶性を高める目的で用いました。
その結果、
無事に適度な大きさの単結晶ができ、
X線解析を依頼することができました。
ここで疑問なのですが
結晶性を向上させる目的で利用される化合物は
他にどのようなものがあるのでしょうか?
今回のように結晶を作製してX線解析を依頼したのは
初めての経験だったので
周囲の人のアドバイスを聞き、
実験をこなすので精一杯で
結晶性が上がったメカニズムを考察するまで
考えが及びませんでした…。
MTPAエステル化体にしたことによって
なぜ結晶性が向上したのかも疑問です。
大学の図書館などで参考書を探したのですが
結晶化に特化した本が見つからず
自分の力だけでは謎が解明されませんでした。
教えていただければ幸いです。
よろしくお願いします。