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これは正しいのでしょうか
先日、アーサー・C・クラークの短編小説を読んでいて気になったことがあったので、質問させていただきます。 短編集「太陽からの風」に収録されている「暗黒の光」の中に、以下のようなくだりがあります。 「レーザービームの集中した光が、一秒の千分の一の時間で厚い鋼鉄を貫通するのを見たばかりに、わたしは人を殺せると思い込んでいたのだった。だが、ことはそれほど単純ではなかった。ある意味で、人間は鋼鉄の板よりも手ごわい代物なのだ。人間は大部分が水であり、金属の十倍もの熱容量がある。装甲板に孔を開ける光のビームも、人間には、痛くはあってもまったく表面だけの火傷をさせるに過ぎないだろう。(一部省略)」 私はSFは好きでも物理や化学などの知識は高校生以下の素人なので、この文章が果たして正しいのかどうか全く判断できません。 もちろん、取るに足らないSF作家の文章なら別に気にも止めませんが、いくら若い頃の作品とはいえ、ハードSFの巨匠のものとなると、それ相当の根拠があるのではと考えてしまいます。 でもにわかには信じられないのです。これは本当に正しいのでしょうか。 おわかりになる方がいましたら分かりやすく説明していただきたいのですが。
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SFをまじめに受けとってもねぇ.... 簡単のために肉vs鉄ではなく 水 vs鉄と考えると, 20℃の水1cm角(1cc=1g)を蒸発させるのに100℃にするのに80cal,蒸発熱が540calで足すと620cal. 20℃の鉄1cm角(9g)に620calを与えると比熱が約0.1なので,700℃弱に加熱します.鉄は融点1535℃,沸点2750ですから,鉄に穴が空くまではいきません. ただ,生き物のように水分を多く含んだ物体にレーザーを当てると,蒸発した蒸気でレーザー光が散乱してしまうので,計算上ほどのダメージは与えられないというのも事実のようです. なお,現実に工場で使われている金属切断用レーザーはせいぜい数100Wらしいです.200Wとすると,換算すると約50cal/秒.これが10秒間照射されても蒸発する水は1ccに満たないという計算になります.(計算間違いをしてたらごめんなさい) 現実にはレーザーで怖いのは失明だと思いますよ.
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- Mr_Holland
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どうなんでしょう。 確かに熱容量で比較すると、鉄は440J/K・kgで、水は4,186J/K・kgと10倍近い比熱容量を持っています。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%89%84 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%95%B0%E9%87%8F%E3%81%AE%E6%AF%94%E8%BC%83_%28%E6%AF%94%E7%86%B1%E5%AE%B9%E9%87%8F%29 しかし、貫通させるということが、例えば、周囲に伝熱しないうちに素早く対象を気化させるのに必要なエネルギを供給させることだとしたら、対象を融解して沸点まで上げ気化させるだけのエネルギを供給しなければなりません。 その場合の必要なエネルギは、鉄の沸点が3023 Kで、融解熱が13.8 kJ/mol、気化熱が349.6 kJ/mol、原子量が55.845 であり、水の沸点が373Kで、気化熱が40.8 kJ/mol、分子量が18.02 であることを考えると、 (鉄の場合) 440×(3023-300)+(13,800+349,600)×1000/55.845=7.7[MJ] (水の場合) 4,186×(373-300)+40,800×1000/18.02=2.6[MJ] となるので、同じ質量の鉄と水を常温に置いた状況で考えると、水の方が気化させるエネルギは少ないという結果になります。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%97%E5%8C%96%E7%86%B1 この結果から、貫通させやすさを同じ質量の物体を気化させるのに必要なエネルギで表せるとしたら、鉄の方が貫通させにくいということになるかと思います。
お礼
うーん(◎-◎;)・・・・、つまり単純に熱容量だけを比較すると、鉄より水の方が遙かに多くの熱容量を必要とするけど、沸騰から気化の段階になると、鉄の方がより多くの熱量を必要とすることになるわけですね。 水の方が温度は上がりにくいけど、沸点が低いから結局水が先に気化してしまうってことですか。(でいいんですよね?・・・・) なるほど、勉強になります。丁寧な解説をありがとうございます。 どうやらクラークの間違いということのようですね。 いやぁ、正直なところ回答をくださる方がいないんじゃないかと思っていたのでうれしいです。ありがとうございます。 ポイントについては、お二方とも参考になりましたので、単純に回答をくださった順番とさせていただきます。
お礼
ですよねぇ~(^_^; まぁ、ちょっと気になったモノですから、聞くだけきいてみようかと思いまして・・・・・ なるほど(ムリクリ理解してます)、やっぱり計算上は鉄に穴を開ける方が遙かに大変てことですね。 そうじゃないかなぁ、とは思っていたのですが、なんせ理屈が全く付けられなかったもので。勉強になります。 わざわざ付き合っていただき、ありがとうございました。 ちなみにこの小説は、主人公がレーザー・ビームを使って暗殺する予定を変更して、標的の網膜をピンポイントで焼いて失明させるところで終わるんです。