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Ptはなぜd9軌道をとるのか
周期律表で電子の入り方は、通常d8軌道まで入ったらd10になることを優先し、d9軌道はとらないと教科書などには書いてあります。 しかし、Ptはなぜかd9軌道を取ります。このd9軌道が触媒機能として重要なものなのかと個人的に考えています。そこで、 1)そもそもなぜd10になることを優先し、d9をとらないのか 2)なぜPtはd9をとるのか 3)d9軌道がどう触媒機能に影響するのか などについて教えてください。お願いします。
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10にならずに9になっているのではなく、8にならずに9になっているのですね。 Nbにも同様のことが起こっています。 なぜかといえば、そちらの方が安定だからとしか言いようがありません。 5d8,6s2にすれば高エネルギーの6s軌道に電子が多いけれど6s軌道は閉殻、5d9,6s1にすればどの軌道も閉殻しないかわりに低エネルギーの5d軌道に電子が多くなります。 どちらが安定かというのは、きっと式を解けば分かるのでしょうが、普通は分かりません。 触媒に関しては、一つ上のPdもPtと並んで触媒として有名ですがこちらは普通にdに10個電子が入っているところからして、あまり関係ないのではと思います。
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- inorganicchemist
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>ところで、d軌道の形を見ていると球対称に近いものってありますか? 単独のd軌道では球対称のものはありません。「5個のd軌道にすべて(10個)電子が詰まった状態」 が球対称に近いという表現です。 単純化すると、sp3の四面体型、1個だけ電子が入った状態と、4個(or8個)の電子が入った状態、どちらが対称性が高い(=球対称に近い)でしょうか?
お礼
ありがとうございます。混成軌道も含めて考え直したいと思います。
- inorganicchemist
- ベストアンサー率34% (88/257)
現役を離れて久しく、また手元に専門書もないのでうろ覚えですが。。。 >1) d10は一番球対称に近くなり、電子配置としては一番対称性が高くなります。このためd10構造(閉殻構造)が安定となります。 >2) 不対電子が入る軌道を慣例的にdz軌道とします。二つのPtをz軸上に並べて見ると、不対電子の入ったdz軌道同士が重なります。つまりdz-dzのσ結合のようなものができます。実際には「結合」と呼べるほど強いエネルギーは持ちませんが、このような相互作用によりd9配置が安定化される可能性があります。 >3) 具体的な触媒プロセスは私もずぶの素人ですが、触媒に求められる性能のひとつは「安定すぎず、不安定すぎず」です。言い換えれば「準安定状態が存在する」ということです。 初期の錯体が安定すぎれば、そのまま置換不活性であり、当然触媒としては働きません。また、基質と触媒との結合が強すぎても、反応性生物が触媒から離脱できず、これまた触媒としては利用できません。 おそらく、d9配置そのものが触媒活性を高めるのではなく、「d9配置を含めて、さまざまな電子配置(酸化数)をとりうる。複数の酸化状態が準安定に存在するため、酸化状態を制御することにより、錯体の安定性を制御することが可能で、触媒としての利用が可能となる」こんな解釈になりますかね・・・
お礼
ありがとうございます。 ところで、d軌道の形を見ていると球対称に近いものってありますか?
お礼
ありがとうございます。 考えてみればs軌道に入るほうを不思議に思うべきでした。また、d10の金属の触媒機能はまた別の問題なのかもしれません。もっと勉強しようと思います。