- ベストアンサー
磁力線の密度?
高校物理の教科書などを見ると「磁力線の密度が高いほど、磁界が強い」という説明があるのですが、磁力線の密度というのがなんなのだか、いまいち理解できません。棒磁石の場合だと、まわりに磁力線を描いてみると、確かにN(S)極に近づけば近づくほど磁力線の密度が増しているように見えます。しかし、あれって不完全な図なんですよね? 磁力線は無限に描き入れることができる筈なので、完全な図にしようと思ったら、無限本の磁力線を描かないといけないことになり、塗り潰されてしまって「密度」がなくなると思うのですが……。 導線に電流を流して同心円状の磁力線を作る場合など、もっとハッキリしていて、導線に近づけば近づくほど円同士の間隔を狭くしてゆく必然性がないように思われます。 これは「磁界の強いところを磁力線の密度が高いところとして定義した」というような話なのでしょうか? それとも、数学で言う「無限の濃度」みたいなものを考えているのでしょうか?
- みんなの回答 (2)
- 専門家の回答
質問者が選んだベストアンサー
>>> 完全な図にしようと思ったら、無限本の磁力線を描かないといけないことになり、塗り潰されてしまって「密度」がなくなると思うのですが……。 いえ、 無限本数あるいはそれに近い本数の磁力線を描いても、相対的に磁力線の密度が高いところと低いところの比は維持されます。 >>> これは「磁界の強いところを磁力線の密度が高いところとして定義した」というような話なのでしょうか? その通りですが、ある磁界の強さにおける磁力線の本数を勝手に定義してやれば、あとは両者は比例関係になります。 無限に関して理解できないということですよね? ほかのことに例えてみます。 二次関数 y=x^2 のグラフにおいて、x=aにおける傾き(接線の傾き)を考えてみましょう。 グラフのどこの点を取っても、同じ傾きになる場所はありません。 単純に、グラフ上のある1点に関して、yの変化量÷xの区間 を求めようとすると、yの変化量もxの変化量もゼロになりますから、傾きはゼロ分のゼロになってしまいます。 しかし、xの区間の幅をゼロにせずに無限に小さい幅とすることによって傾きを求めることができます。 それが微分です。 y=x^2 を微分すると、y’=2x なぜかといえば、 y+Δy = 2(x+Δx)^2 y=2x^2 差を取れば、 Δy = 2x・Δx + Δx^2 Δx^2 はΔ非常に小さいので、 = 2x・Δx よって、 傾き = Δy/Δx = 2x x=aにおける傾きは、2aになります。 Δxをゼロとせずに無限小とすることによって傾きが求まるわけです。 何を言いたいかといいますと、 磁力線の密度 ∝ 磁界の強さ (∝は比例の記号) とするのですから、 磁力線間の距離 ∝ 1/磁界の強さ つまり、 磁力線間の距離 = 定数/磁界の強さ 磁力線間の距離/定数 = 1/磁界の強さ 磁力線間の距離を小さくする代わりに(=磁力線の本数の密度を大きくする代わりに)、「定数」をそれに比例して小さく定めないといけません。(磁界の強さの値を変えてはいけないので。) すると、磁力線間の距離/定数 は、ゼロ分のゼロに近づいていきます。 つまり、上述した二次関数の話と同じようなことになるのです。
その他の回答 (1)
- info22
- ベストアンサー率55% (2225/4034)
>磁界の強いところを磁力線の密度が高いところとして定義した そうです。 磁力線の密度のことを磁束密度と言い、単位面積当たりの磁力線の数=磁束密度を表しています。これは磁力線数の定義です。 磁束密度Bと磁界の強さHの関係は B=μH 比例定数のμは透磁率と呼ばれます。 つまり磁界の強さHは磁束密度Bと比例関係にあって、その磁束密度Bが単位面積当たりの磁力線の本数を表す量なのです。 つまり、磁界が強い磁場では磁力線の本数を磁界の強さに比例して磁力線の本数が決められている(比例して多く描く必要がある)わけです。 >無限本の磁力線を描かないといけないことになり 磁界の強さHが決まれば磁力線に直角な単位面積通過する磁力線数はB=μH[本/m^2]で無限本にはなりません。 >導線に電流を流して同心円状の磁力線を作る場合など、もっとハッキリ >していて、導線に近づけば近づくほど円同士の間隔を狭くしてゆく必然 >性がないように思われます。 そうではありません。 電流Iの流れる銅線から半径r離れた所にできる磁界の強さHは アンペールの法則から H=I/(2πr) で与えられます。つまり磁界の強さは半径rに反比例して弱くなります。 磁界の方向は半径に直角方向で磁力線は同心円になります。 磁力線の密度(磁束密度)B=μH=μI/(2πr)となって半径rに反比例しますので同心円状の磁力線の数も半径rが小さくなるほど反比例して間隔が狭くなります。
お礼
なるほど、だいたいのところは分かりました。B=μH という式がちゃんとあるのですね。そう定義したということなんでしたら、理解できます。導線の場合も、距離が遠くなれば遠くなるだけ磁界が弱くなるので、当然たくさん描く必要があるのですね。あんまり磁力線を実体だと考えるのでなしに、説明用の図式なのだと割り切った方がよさそうです。 お世話になりました。どうも、ありがとうございました。
お礼
>その通りですが、ある磁界の強さにおける磁力線の本数を勝手に定義してやれば、あとは両者は比例関係になります。 このひと言で、ようやく合点がゆきました。確かにそうですね、本数さえ決めておけば、密度は自動的に求まりますね。で、磁力線間の距離と定数をどんどん小さくしてゆくことで、磁界の強さがどんどん精密に求まるようになるんですね。納得です。 非常に勉強になりました、どうもありがとうございました。