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源氏物語と近代天皇

江戸時代には、儒教道徳にもとるという理由で冷遇されたという源氏物語ですが、明治以降になって、天皇が神聖にして犯すべからざる存在になったときには、否定されなかったのでしょうか? また、明治以降でも現在でもいいのですが、右翼に源氏物語を天皇への侮辱として捉える派閥や考え方などはあるのでしょうか?

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回答No.1

 有名なところでは、戦中に谷崎潤一郎が現代語訳したとき、軍部を慮って光君と藤壺の姦通部分を削除したというエピソードがあります。このときは皇學館大學の山田孝雄を監修につけ、右翼側を取入れることでいちゃもんをつけられるのをあらかじめ回避しようとしたと言われています(最近山田側の新資料が発見され、この問題をめぐる研究にも新しい進展がありました)。戦後に舟橋聖一脚色で歌舞伎化されたときも上記の姦通部分をできるだけ自粛した経緯があり、皇室とかかわる部分に関してはさまざまな配慮があったようです。  ただ、右翼はもちろんのことですが、戦前戦中の一般的な日本人の学力では源氏物語を通読することはほぼ不可能で、現代語訳も与謝野晶子と谷崎のそれがある程度、知識人は欧米の小説が主体であまり源氏に興味を持つことがなく、いわば源氏物語は一種の空白地帯になっていた事情があり、内容的にはよほど危険なものでありながら、案外制限がかけられることはすくなかった(というよりもそういうことが意識に上ることがないくらい、源氏物語がマイナーだった)ようです。

noname#100659
質問者

お礼

ありがとうございます。谷崎潤一郎のことも知りませんでした。現在では華麗なる王朝絵巻として、憧れの的のように言われる源氏物語ですが、近代天皇制にとってはなかなかやっかいなことを書いていますよねえ・・。源氏物語を読むと、華麗なる王朝絵巻とか言う前に、その内容の大胆さに驚いてしまいます。 平安時代は今とはまた違った性感覚や天皇に対する感覚があったのかもしれませんね。

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