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F.シラーの「美と芸術の理論」より

イギリスの思想家ではなく、ゲーテの友人の方のシラーだと思うのですが、草薙正夫訳の文章からの出題についてお聞きします。なお、これらの既知の情報は得点に直接は影響しないとされています。下は出題の後半1/3程度の部分ですので、ここだけから判断するのは困難かもしれませんが、空欄『A』にふさわしい文章、およびこの文章の中心的主張として適切なものを選ぶポイントについて教えて下さい。 河はその方向に関して岸から命令を受けることを欲しないで、自己自らに従おうとする。換言すれば、あらゆる個々のものは自己意志を持とうとします。しかしもしすべてのものが、ただ自己自らのことだけ計るなら、全体の調和は一体どこにあるのでしょうか。それは、すべてのものが自己の自由をあらわそうとするために、他者が加えようとすると同じ制限を、内部目的から、自らに課すことによって発生します。前景にある一本の樹は、背景にある美しい部分を蔽い隠すかもしれない。しかしそうしないことを樹に強いることは、その自由を侵すことになり、したがって技巧の拙劣なこと暴露することになるでしょう。このような場合、賢明な芸術家ならどうするでしょうか。かれは、『 A 』。こうしてその樹は、単に自己自らに従うことによって、芸術家の意志を遂行します。 Aに入る文章として適切なもの選べ。 1 背景にある美しい部分を切り捨ててでも、その代償としてその樹の枝を自己自らに見事な対象として生き生きと描き出す 2 背景にある美しい部分を、ずっと地味で目立たないものにすることで、前景の樹の枝を際立たせるような構成を考える 3 背景を蔽おうとする樹の枝を、その樹自身の重さによって下に垂れさせて、背景に対して自発的に場所を与えさせる 文章の中心的主張としてふさわしいものの選べ。 1 個々のものの自由で自立的な存在の仕方が全体の調和を生み出していることこそ、美と呼べるものであるということ 2 すべてのものは、他の影響を受けず自己の自由を表す限りにおいて、美わしいと感じられるのだということ 3 全体の美わしい調和を生み出すためには、個々のものを犠牲にしないわけにはいかないということ 一問目は3、二問目は1が正解とされます。前者(一問目)は画家の動作を排し、木の自己の自由を侵さない内容が正解となるらしく、それはその通りですが、「樹自身の重さによって下に垂れさせる」のは画家の動作あるいは解釈であるように思われ、1の方がふさわしい選択肢のように思うのですが、どうでしょうか。後者(2問目)はこの文章部分のみからは判断しかねるかと思いますが、2ではなく1を選ぶポイントがあれば教えて下さい。

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  • tabataba3
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回答No.2

この文章の問いは、 全体の調和(=美)と個々のものの自己意思はいかに両立するか で、 その答えは、 個々のものの自己意思は自らに自発的に制限を課することによって表現される、 その制限は他者が加えようとする制限と同一である、 ということで、 その例が、 絵画(=調和=美)における樹(=個々のもの)と、背景(=他者)の関係: 樹がそれ自身の重さによって下に垂れる=自発的に自らに制限を課する 背景が樹に対して場所を主張する=他者が個々のものに制限を加える →両者の制限が一致することで優れた絵画(調和=美)が生まれる ということです。 そこでご質問については、 ・例において画家の動作や解釈は問題にされていません。画の中で調和=美はどのように成立するかが問題にされているのです。 ・全体と個々の調和=美がどのように成されるかについて、この文章の主張は1です。

haru84
質問者

お礼

お礼が遅くなりまして申し訳ありません。 全体の調和と個々の自由意志という関係についてですが、抽象的な問題で難しいですね。「自己の自由をあらわそうとするために、他者が加えようとすると同じ制限を、内部目的から、自らに課す」という表現が私には理解できていないようです。自己の自由のために自己を制限するという内容ですが、例えば水を流すために水を止めるというような、背反する内容であるような気がしてしまいます。 大変参考になるご回答ありがとうございました。

その他の回答 (1)

回答No.1

こんばんは、haru84さん。 国富論/アダム.スミス http://learning.xrea.jp/%B9%F1%C9%D9%CF%C0.html ↑ ご質問の1を選ぶポイントに対する答えではないのですが、ここで、1が選ばれたのは上記URLの中のお話にあるようにこういった題材を基にしてあるからではないでしょうか? そうであるとするならば、整合性のとれた出題文と回答なのかと。

haru84
質問者

お礼

ありがとうございます。 アダム・スミスからマーシャル、ケインズらに見られる自由放任主義という時代的傾向が、芸術論にも影響を与えたということでしょうか。経済学は人の欲望と理性を数値化できるような気がするので興味のある分野ですが、このような広い視野を持って時代背景などを考証することも大事ですね。問題からはみ出すほどの教養には憧れます。ありがとうございました。 以下訂正です 誤1 背景にある美しい部分を切り捨ててでも、その代償としてその樹の枝を自己自らに見事な対象として生き生きと描き出す 正1 背景にある美しい部分を切り捨ててでも、その代償としてその樹の枝を自己自らに従った見事な対象として生き生きと描き出す