? あなたは手と石の区別がつかないのですか?
手を使ってミガイタリコスッタリするのは摩だろうし、類似の作業に石臼や砥石や軽石を使えば磨が相応しいのは三尺の小児にも自明のことと思われますが。
では真鍮の歯車や膝の軟骨や若者のみずみずしい心やらがマ耗するのにはどちらを使うべきか。どっちでもいいのです。手を働かして擦り減らすかのヨウニ、石のぎざぎざやざらざらに擦られて消尽してゆくかのヨウニちびてゆくのですから。どっちにしろ比喩なので好きなほうを、気分まかせに選ぶだけのことです。
どんな言語でも同じことですが、音と文字と、どっちが先かと言えば必ず音が先にあります。ミガク・コスル・トグという意味でマという言葉が、音が先にあって(これは両字ともに麻・マがそれを表してますね)、ずうっと後に摩や磨といった字が作られて、宛てられたのです。
漢字は表意文字と呼ばれます。意味を表すと一口に言ったってこれは易しい作業じゃありません。コスルという動作をどうやって表します?
手でコスルのと石でコスルとではぜんぜん別物です。別物ですが同じです。でもやはり別物です。乾布摩擦らしきことを木工用の金属やすりでやったら簡単に皮が剥けて血だらけになります。
文字にはとりあえず手なり石なり、それらしいものを置くしかありません。杓子定規に考えても無駄です。磨滅だと? 俺の膝が石でできているとでも言うのか! じゃあ摩滅・・・って俺の膝に小人が住んでいるのか! 何人だ! 七人か! なんて怒る人がもしいるとしたら、ただの馬鹿なのでハイハイと適当にあやしておきましょう。
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ありがとうございました。 勉強になりました。