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「ファインマン物理学」について御意見下さい!
今日たまたま立ち寄った書店で「ファインマン物理学」を見かけました。以前から物理の勉強をし直そうかと思っていましたので、ぱらぱらと捲って見たのですが、学生時分に感じたと同様、良い教科書だと感じました。 で、この際購入しようかなと思っているのですが、物理屋の方の意見も伺いたいと思い質問いたします。以下の点についてご意見頂ければ幸いです。 1)その内容は現在の物理屋の方から見ても問題ないでしょうか? 2)私は数式や理論がどうかよりも、「その式の意味するところ」や「何故そういった考え方をするか」を知りたいのですが、その点で「ファインマン物理学」はどうでしょうか? 3)2に書いた目的で読むのに適した成書が他にあれば御紹介ください。 以上です。なお、「物理屋」と書きましたが、その他の方でも構いませんのでよろしくお願いいたします。
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差し出がましいのですが、追加して感想を書きます。 私は大学院の修士修了で強相関電子系の物性理論の研究室に居ました。現在は民間企業に就職しています。 ファイマンの熱統計物理学は他の本に比べて古さが際立っている印象があります。 量子力学はブラケットの説明、重ね合わせ、不確定性原理の概念的な説明に注力しているのですが、定量的な演算を日常にされている方には、縦書き啓蒙書的な面白みしか感じないのではないかと思います。 重ねて差し出がましいのですが、私が学部の頃に面白いと思った書籍を挙げさせていただきます。 ・量子力学はJ.J.サクライの「現代の量子力学(上・下)」吉岡書店、 ・熱統計物理学は高橋康さんの「統計物理学入門 愚問からのアプローチ」講談社サイエンティフィク どちらも、理論的に一貫した立場が感じられ、あれよあれよと理論が発展していくさまが快感でした。 御覧になった事がありましたら、ご感想を頂ければ幸いです。
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- siegmund
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siegmund です. いや,どうも過分なおほめを頂いています. 私も前に混成軌道のことを rei00 さんに教えていただきましたから, お互い様です. > > ただし,ちょっと至れり尽くせりすぎるようなところもあって, > > 学生がこういうタイプのテキストしか読めないようだと, > > それはちょっと困るという気もします. > 確かにそうですね。ただ,数式や理論は覚えていても, > 考え方の解っていない学生が結構いるようにも思うのですが・ 私が大学に入ったばかりの時に,担任のK先生から 「siegmund 君,大学に入ったら悪い本も読まなくちゃダメだよ. 何か自分で新しいことを発見したりしようとすれば,それが整理し尽くされた形で 君の目の前に現れることなんてまずないんだ. 悪い本が読めないようじゃ,全然話にならない」 と言われたのが今でも強く印象に残っています. 悪い本というのは,説明が不十分だったり記述に統一がとれていなかったり, というような,わかりにくい,読みにくい本のことです. いきなり全部噛みごたえのある本ばかりではつらいですが, 学生さんには少しずつそういう本を読めるようになって欲しいと思っています. 大学1年生の授業を持つときは, 与えられた(それも,spoon-feeding 風に)ことだけやっていればよいという意識から, 考えを広げろ,まず自分で取り組め,という意識に改革することにも かなり力を入れています. でも,なかなか大変. 授業のアンケート取ると, 「わざわざわかりにくく教えている」とか 「○○をやらせたいなら,はっきりそう指示するべきだ. 指示しないでおいてやらないことに文句言うのはおかしい」 なんてのがよくあります. 笛ふけど踊らず,親の心子知らず,かな. 話がそれました. ランダウ-リフシッツのシリーズは今絶版になっているみたいです. しばらく前にメーリングリストで「復刊運動を!」というのが来ました. >「高校物理」の参考書から始めようかと思ったぐらいですから >(でも,「高校物理」は読んでも面白くなかった。考え方が出てこないからでしょうね。)。 残念ながら今の高校の物理は単なる寄せ集めに近く, いろいろな題材がバラバラに扱われていて統一した視点がありません. 当然,面白くありませんね.
お礼
再度の回答ありがとうございました。 > 大学1年生の授業を持つときは,与えられた (それも, > spoon-feeding 風に) ことだけやっていればよいという > 意識から,考えを広げろ,まず自分で取り組め,という > 意識に改革することにもかなり力を入れています. > でも,なかなか大変. > 笛ふけど踊らず,親の心子知らず,かな. そうですか。siegmund さんの回答を拝見していると,直接教われる学生さんは何て幸運なんだろう,とか思ってしまうんですがね。 siegmund 先生の講義なら一生懸命勉強するんですがね~。変わりに先生の書いた教科書(参考書)を教えて下さい(って,これは回答できないか・・・)。 > ランダウ-リフシッツのシリーズは今絶版になっているみたいです. お書きのものかどうか判りませんが,図書館で「量子力学 非相対論的理論」(ランダウ・リフシッツ 著,佐々木健・好村滋洋 訳,東京図書)を見付けました。パラパラと見ましたが,これが読めるのは当分先になりそうです。ファインマンの「量子力学」が済んで,手元の「量子化学」の本が済んで,・・・・の後にとりかかる気になるかなぁ・・・です。 > 残念ながら今の高校の物理は単なる寄せ集めに近く, > いろいろな題材がバラバラに扱われていて統一した視点が > ありません. そうですか。そう言えば「高校化学」もそうですね。「化学」って暗記物じゃないと思うんですが,統一した視点(考え方)が出てこないので,暗記物みたいに扱われて面白くないですね。
- siegmund
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rei00 さん,物理屋の siegmund です. 私自身はファインマンのテキストは授業で使ったことはありません. 昔,多少読んだことはあります. Mell-Lily さん,PAMd さんの回答と似たような印象を持っていたのですが, この回答を書くに当たって図書館であらためて少し読んでみました. 私は物理の専門家ですが,専門家,自信あり,にマークするときには, 出版物に○○大学の△△という署名入りで書くのに準ずる責任と自信を 持てるときに限っています(少なくとも,最近は). で,今回は書評を書けるほど丁寧に検討したわけではありませんので, 経験者にマークしています. その程度の回答であることをご承知ください. さて,1) ですが,ファインマンのテキストは1960年代ですので, ある部分については古いところがあるのはやむを得ません. 厳しく言えば,書いている途中から時代遅れは始まるとも言えます. 例えば,超伝導についてもファインマンのテキストで触れられていますが, 転移温度がヘリウム温度程度というような記述がもしあれば (本当にあるかどうかちゃんと見て来なかった), それはやっぱり古いと言わざるを得ません. ファインマンのテキストはなるべく最先端のこと(もちろん,当時の)にも 触れようとする努力が見られますので, 古くなることではそういう点が返って仇になるともいえます. ただ,本質的に物理の基礎のテキストですから, ここ40年くらいでは基礎部分には決定的に古くなったところはないような気がします. 2)物理的内容,考え方重視は Mell-Lily さん,PAMd さんと同じ印象を持っています. 特に力学では,PAMd さんの表現を借りれば,まだるっこしいほどの説明があります. 量子力学などではそういうところは多少影を潜めているようです. 例えば,速度のところですと, 「はい,スピード違反ですよ,制限は時速○○マイルですよ」 「走り出してから1時間経っていませんよ」 「そうじゃなくて,1秒で××フィート走れば時速○○マイルですよ」 「制限速度は秒速××フィートなんて書いてないでしょう」 --- 以下,速度とは何かという話に続く --- (大体の内容しか覚えていないので,細かい表現はずいぶん違います) というような漫才のようなところまであります. 式も見やすく書かれています. 普通のテキストでしたら添字を一般のi,jで済ませるようなところも, 手間とスペースを惜しまずに具体的に書かれていたりします. 難しい式はなるべく出さないようにしているようです. ただし,ちょっと至れり尽くせりすぎるようなところもあって, 学生がこういうタイプのテキストしか読めないようだと, それはちょっと困るという気もします. 余談ですが, ファインマンのテキストと対極的な書き方がランダウ-リフシッツのシリーズです. (これも非常に有名なテキストです) 説明は非常に凝縮されていて,さっきのスピード違反みたいな話は一切なし. 難しい式もお構いなし. 添字がたくさんあって混乱する? 何を情けないこと言ってるの? 合流型超幾何関数なんて当然知ってるよね. え,知らない? じゃあ,ちょこっと付録つけておくから自分で勉強してよね. こういった感じです. まあ,ランダウ-リフシッツの方がファインマンよりかなりレベルは上ですがね. ランダウスクールに入るための theoretical minimum がこのシリーズだと いう話でしたから. う~,私はそこまで達していないような気がする(^^;) 3)本格的な物理のテキストでファインマンみたいな書き方のものは ちょっと思い当たりません. rei00 さんほどの方にアドバイスでもないと思いますが, 気に入られたのなら冗長なところはどんどん飛ばしても 読めるのではないでしょうか.
お礼
> rei00 さん,物理屋の siegmund です. まづ最初に,スミマセン。質問文中に「物理屋」と書いた際に,私の頭の中には siegmund さんの姿(もちろん,詳細は謎ですが)がありました。期待に違わず,丁寧な回答ありがとうございました。 > この回答を書くに当たって図書館であらためて少し読んでみました. あっ,わざわざスミマセン。私も,図書館でチラッとは見たんですが,以前と違って「物理」の教科書の良し悪しは判らなくなってました・・・。 > 私は物理の専門家ですが,専門家,自信あり,にマークするときには, > 出版物に○○大学の△△という署名入りで書くのに準ずる責任と自信を > 持てるときに限っています(少なくとも,最近は). なるほど,そういう基準でしたか。度々「専門家」,「自信あり」で的確な回答をされているのを拝見して,私の目標とする回答者の一人に入れさせていただいています。実は「物理」の再勉強をと思い出したのも,siegmund さん達の回答を拝見して,昔好きだった「物理」をやり直してみたくなった次第です。 > ただし,ちょっと至れり尽くせりすぎるようなところもあって, > 学生がこういうタイプのテキストしか読めないようだと, > それはちょっと困るという気もします. 確かにそうですね。ただ,数式や理論は覚えていても,考え方の解っていない学生が結構いるようにも思うのですが・・・(特に,ここの質問見ていると)。 > ファインマンのテキストと対極的な書き方がランダウ-リフシッツ > のシリーズです. (これも非常に有名なテキストです) この教科書も見た事がある様な・・・。昔なら「イッチョ挑戦してみるか」と思ったんでしょうが,今では無理ですね。ファインマンの前に「高校物理」の参考書から始めようかと思ったぐらいですから(でも,「高校物理」は読んでも面白くなかった。考え方が出てこないからでしょうね。)。 > rei00 さんほどの方にアドバイスでもないと思いますが, いや,目標とする siegmund さんからそんな事を言われると・・・,お恥ずかしい(穴どこ?)。 > 気に入られたのなら冗長なところはどんどん飛ばしても > 読めるのではないでしょうか. そうですか。頑張ってみます(飛ばしすぎて,理解不能に陥っちゃうかな?)。判らなくなった時には,ここで質問するかも判りませんが,その際はよろしくお願いします。 siegmund さんからの回答で嬉しくなって,わけの判らないお礼になってしまいましたが,お許し下さい。今後とも宜しくお願いします。
1)ごく一部古い 式は変わりませんが、その解釈/ノーテーションに流行があります。 ファイマンでは「こうするとうまくいくから、ひとまずコウ置こう」というものが、 現在は固有の解釈がなされている場合があります。 でも、ファイマンが間違えているわけではありません。 2)とっても良い プロパーとしてはまだるっこしくても、ファイマンの対象は素人だったようで、 啓蒙書的なスタンスだと思います。 物理現象/式の解釈に全力が注がれています。 3)「私はファイマン物理学」(岩波から出ているソフトカバーのでかいやつ)を勧めます。 力学/量力/電磁気を一通り読んでみては。
お礼
まづは回答お礼申し上げます。 > ファイマンでは「こうするとうまくいくから、ひとまず > コウ置こう」というものが、現在は固有の解釈が > なされている場合があります。 お聞きしたかったのは,この点です。質問の2)にありますように,私の知りたいのは解釈の仕方や考え方ですので,「それが時代遅れになっていないか」が気になったわけです。『ファイマンが間違えているわけではありません。』と聞いて(?)安心しました。 > 啓蒙書的なスタンスだと思います。 > 物理現象/式の解釈に全力が注がれています。 そうですか。以前にファインマンの「光と物質のふしぎな理論 私の量子電磁力学」(釜江常好・大貫昌子 訳,岩波書店)を読んだことがあって,その印象が良かったものですから大丈夫かなとは思っていたのですが。この回答で安心です。 > 私は「ファイマン物理学」(岩波から出ている > ソフトカバーのでかいやつ)を勧めます。 たぶん私が見たのはそれだと思います。以前の印象では,もっと大変な本のように思っていたところが,思いがけずあっさりした(?)装丁だったので改めて購入を考えた次第です。 > 力学/量力/電磁気を一通り読んでみては。 そうですね。商売柄(私,化学屋です),「量子力学」や「統計・熱力学」あたりに興味があります。物理の再勉強も苦手なこの辺を念頭においての物でしたので,まずは「量子力学」辺りからとっかかろうかと思います。 今後とも宜しくお願いします。
- Mell-Lily
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>(1) このシリーズは、物理学の基礎的な部分をカバーすることを目的としていますが、物理学の基礎といったものは、一般的に、ほとんど変化することはないので、特別な問題はないと思われます。 >(2) この本では、物理法則の数学的な扱い方よりも、その物理的な内容を重要視していると思われます。
お礼
遅くなりましたが,回答お礼申し上げます。 (1), (2) とも問題は無い((2) については,私の意図にピッタリ?)と言う事のようですね。 今後とも宜しくお願いします。
お礼
再度の回答ありがとうございます。 > ファイマンの熱統計物理学は他の本に比べて古さが > 際立っている印象があります。 そうですか。「ファインマン 物理学」は図書にありますので,取り敢えず読んでみることにします。 > 量子力学はブラケットの説明、重ね合わせ、不確定性原理の概念的な説明に > 注力しているのですが、定量的な演算を日常にされている方には、 > 縦書き啓蒙書的な面白みしか感じないのではないかと思います。 私は「有機化学」,「天然物化学」が専門で,『定量的な演算を日常にされている方』ではありませんので,それぐらいの方が良いかもしれません。実は,手元に読みかけて挫折した「量子化学」の教科書があります。「ファインマン 物理学」の「量子力学」を了えられたら,そちらに挑戦しようと思っていますが,・・・・どうなる事か。 > ・量子力学はJ.J.サクライの「現代の量子力学(上・下)」吉岡書店、 > ・熱統計物理学は高橋康さんの「統計物理学入門 愚問からのアプローチ」 > 講談社サイエンティフィク > どちらも、理論的に一貫した立場が感じられ、あれよあれよと > 理論が発展していくさまが快感でした。 面白そうですね。先程,図書で探して見たんですが残念ながらありませんでした。書店で見かけたら覗いてみる事にします。
補足
皆様,回答ありがとうございました。再度お礼申し上げます。 これで閉めさせていただきますが,「ファインマン物理学」の中身に関する御意見の多さでポイントを送らせていただきます。 なお,「ファインマン物理学」の初版のものが図書にありましたので,取り敢えず借り出して勉強してみます。きっと不明点が出てきて質問するかと思います。その時も,よろしくお願いします。