rei00 さん,物理屋の siegmund です.
私自身はファインマンのテキストは授業で使ったことはありません.
昔,多少読んだことはあります.
Mell-Lily さん,PAMd さんの回答と似たような印象を持っていたのですが,
この回答を書くに当たって図書館であらためて少し読んでみました.
私は物理の専門家ですが,専門家,自信あり,にマークするときには,
出版物に○○大学の△△という署名入りで書くのに準ずる責任と自信を
持てるときに限っています(少なくとも,最近は).
で,今回は書評を書けるほど丁寧に検討したわけではありませんので,
経験者にマークしています.
その程度の回答であることをご承知ください.
さて,1) ですが,ファインマンのテキストは1960年代ですので,
ある部分については古いところがあるのはやむを得ません.
厳しく言えば,書いている途中から時代遅れは始まるとも言えます.
例えば,超伝導についてもファインマンのテキストで触れられていますが,
転移温度がヘリウム温度程度というような記述がもしあれば
(本当にあるかどうかちゃんと見て来なかった),
それはやっぱり古いと言わざるを得ません.
ファインマンのテキストはなるべく最先端のこと(もちろん,当時の)にも
触れようとする努力が見られますので,
古くなることではそういう点が返って仇になるともいえます.
ただ,本質的に物理の基礎のテキストですから,
ここ40年くらいでは基礎部分には決定的に古くなったところはないような気がします.
2)物理的内容,考え方重視は Mell-Lily さん,PAMd さんと同じ印象を持っています.
特に力学では,PAMd さんの表現を借りれば,まだるっこしいほどの説明があります.
量子力学などではそういうところは多少影を潜めているようです.
例えば,速度のところですと,
「はい,スピード違反ですよ,制限は時速○○マイルですよ」
「走り出してから1時間経っていませんよ」
「そうじゃなくて,1秒で××フィート走れば時速○○マイルですよ」
「制限速度は秒速××フィートなんて書いてないでしょう」
--- 以下,速度とは何かという話に続く ---
(大体の内容しか覚えていないので,細かい表現はずいぶん違います)
というような漫才のようなところまであります.
式も見やすく書かれています.
普通のテキストでしたら添字を一般のi,jで済ませるようなところも,
手間とスペースを惜しまずに具体的に書かれていたりします.
難しい式はなるべく出さないようにしているようです.
ただし,ちょっと至れり尽くせりすぎるようなところもあって,
学生がこういうタイプのテキストしか読めないようだと,
それはちょっと困るという気もします.
余談ですが,
ファインマンのテキストと対極的な書き方がランダウ-リフシッツのシリーズです.
(これも非常に有名なテキストです)
説明は非常に凝縮されていて,さっきのスピード違反みたいな話は一切なし.
難しい式もお構いなし.
添字がたくさんあって混乱する? 何を情けないこと言ってるの?
合流型超幾何関数なんて当然知ってるよね.
え,知らない? じゃあ,ちょこっと付録つけておくから自分で勉強してよね.
こういった感じです.
まあ,ランダウ-リフシッツの方がファインマンよりかなりレベルは上ですがね.
ランダウスクールに入るための theoretical minimum がこのシリーズだと
いう話でしたから.
う~,私はそこまで達していないような気がする(^^;)
3)本格的な物理のテキストでファインマンみたいな書き方のものは
ちょっと思い当たりません.
rei00 さんほどの方にアドバイスでもないと思いますが,
気に入られたのなら冗長なところはどんどん飛ばしても
読めるのではないでしょうか.
お礼
再度の回答ありがとうございます。 > ファイマンの熱統計物理学は他の本に比べて古さが > 際立っている印象があります。 そうですか。「ファインマン 物理学」は図書にありますので,取り敢えず読んでみることにします。 > 量子力学はブラケットの説明、重ね合わせ、不確定性原理の概念的な説明に > 注力しているのですが、定量的な演算を日常にされている方には、 > 縦書き啓蒙書的な面白みしか感じないのではないかと思います。 私は「有機化学」,「天然物化学」が専門で,『定量的な演算を日常にされている方』ではありませんので,それぐらいの方が良いかもしれません。実は,手元に読みかけて挫折した「量子化学」の教科書があります。「ファインマン 物理学」の「量子力学」を了えられたら,そちらに挑戦しようと思っていますが,・・・・どうなる事か。 > ・量子力学はJ.J.サクライの「現代の量子力学(上・下)」吉岡書店、 > ・熱統計物理学は高橋康さんの「統計物理学入門 愚問からのアプローチ」 > 講談社サイエンティフィク > どちらも、理論的に一貫した立場が感じられ、あれよあれよと > 理論が発展していくさまが快感でした。 面白そうですね。先程,図書で探して見たんですが残念ながらありませんでした。書店で見かけたら覗いてみる事にします。
補足
皆様,回答ありがとうございました。再度お礼申し上げます。 これで閉めさせていただきますが,「ファインマン物理学」の中身に関する御意見の多さでポイントを送らせていただきます。 なお,「ファインマン物理学」の初版のものが図書にありましたので,取り敢えず借り出して勉強してみます。きっと不明点が出てきて質問するかと思います。その時も,よろしくお願いします。