こんばんは。
[ご質問の1について]
家事使用していた減価償却資産(住宅やマイカーなど)を事業で使用(業務転用)
することとしたときは、次の方法で業務転用日現在の評価額(未償却残高)を
計算しなければなりません(所得税法施行令第135条)。
(1) 償却基礎価額を計算します(取得価額×90% : 3,000万円×90%=2,700万円)。
(2) その減価償却資産の法定耐用年数を1.5倍し(小数点以下の端数は切捨てます)、
その年数に応ずる定額法償却率を求めます。
例えば木造住宅の場合、 法定耐用年数は22年ですから、
その1.5倍は33年でそれに応ずる定額法償却率は 0.031となります。
(3) 家事使用していた年数を計算します(1年未満の端数は6月以上の場合は1年とし、
6月未満の場合は切捨てます)。
質問者様の場合、家事使用期間は平成16年8月から平成18年3月までの20月
(=1年8月)ですから、2年となります。
(4) 家事使用期間の償却額((1)×(2)×(3))を計算します。木造住宅でしたら、
2,700万円×0.031×2年=1,674,000円
(5) 業務転用日(開業日)の評価額を計算します(取得価額-(4))。
3,000万円-1,674,000円=28,326,000円(これは建物の開業残高となります)
毎決算の減価償却費は 償却基礎価額×償却率×事業に供していた月数/12 で計算し、
その計算結果に事業専用割合を乗じて必要経費となる減価償却費を計算します。
木造住宅の場合、耐用年数22年の定額法償却率は0.046ですから、
2,700万円×0.046×9月/12=931,500円(減価償却費)
931,500×30%=279,450円(必要経費となる減価償却費)
(仕訳) 減価償却費 931,500 / 建 物 931,500
事 業 主 貸 652,050 / 減価償却費 652,050(←必要経費にならない部分)
なお、減価償却後の未償却残高は28,326,000円-931,500円=27,394,500円となります。
住宅ローンについては、利子の30%を必要経費に計上する関係上、開業直前の
ローン残高の30%を借入金の開業残高として帳簿に計上しておく方が無難です。
そして返済のたびに返済元金の30%について
借 入 金 ××× / 事業主借 ×××
と仕訳します。
利子については年間利払額(今回は開業後年末まで)の合計額に30%を乗じて
支払利息 ××× / 事業主借 ×××
という決算仕訳をすることで問題ありません。
ただし、返済に使用する「個人の預金口座」を「普通預金」として帳簿に計上するときは
借 入 金 ××× / 普通預金 ×××
事業主貸 ××× / ← 住宅ローン返済元金の70%
支払利息 ××× / 普通預金 ××× ← 各返済日の利払額
事業主貸 ××× / 支払利息 ××× ← 年間利払額の合計額の70%(決算仕訳)
のように処理することになります。
[ご質問の2について]
機械装置の償却基礎価額 : 200万円×90%=180万円
耐用年数7年の定額法償却率 : 0.142
事業に供していた月数 : 9月
減価償却費 : 180万円×0.142×9/12=191,700円
減価償却費 191,700 / 機械装置 191,700
機械装置に係る未払金は個人の預金から引き落とされますから、各引落日に
未 払 金 ××× / 事業主借 ×××
と仕訳することになりますが、その個人の預金口座を「普通預金」として
帳簿に計上されるのであれば、貸方の「事業主借」は「普通預金」となります。
(参考)
開業貸借対照表
平成18年4月×日現在
現 金 ××× |借 入 金 ××× ←開業日の住宅ローン残高×30%
普通預金 ××× |未 払 金 ××× ←機械装置に係る未払金の開業日の残高
建 物 28,326,000 |
機械装置 2,000,000 |元 入 金 ××× ←資産の合計-負債の合計
計 ××× 計 ×××
お礼
非常に分かりやすく教えていただき本当にありがとうございます。 具体的な計算式も記載して頂いたので、とても助かりました。 近所の書店にはこのような事例が載った本が無く、 税務署等に電話で聞いたりしてみたのですが 私の説明が下手だったのか、分かりにくくてほとんど理解出来ず 計算が行き詰まり困っていました。 貴重なお時間を使って教えて頂き誠にありがとうございました。 極力自力で勉強するつもりですが、 またどうしても分からなかった場合は質問させていただく事も有るかもしれませんので、 その節はまたお力をお借り出来れば幸いです。 ありがとうございました。