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偏光のメカニズムについて教えて下さい。

 光を偏光子(グラントムソンプリズムなど)に通すと光は直線偏光になりますが、そのメカニズムがわかりません。調べてみると、結晶軸や光軸が関係しているらしいのですが、それらの言葉の意味もわかりません。お詳しい方に教えていただきたいです。

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noname#11476
noname#11476
回答No.1

まず、光の偏光とは何であるかを理解する必要があります。 空間は3つの軸x,y,zで表されますね。 いま、zの方向に光が進んだときに、光は波ですから波はxかyの方向に振動しています。光は電磁波なので、電場と磁場が直交して振動しています。 いま、磁場の方向をyとすると電場はx方向になります。(ただし結晶等の中では異なる場合があります) 通常物質と相互作用するのは電場の方で磁場はほとんど関与しませんので、この電場の方向を光の偏光方向としています。 さて、偏光子とはこの特定の伝播方向の光のみを通過させる素子です。 この原理は大きく2つの方法に分かれます。 1)特定の電場方向(偏光方向)以外の光を吸収する 2)特定の偏光方向以外の光を反射、屈折させて他の方向に飛ばしてしまう。 グラントムソンプリズムは2の方法をとっています。一眼レフカメラなどに使われる偏光板は1の方法を使っています。 1の原理は簡単で、光を良く吸収する高分子を一列に配列してあげると、長い方向では電場を良くとらえて光を吸収するが、分子の列に直交している方向では電場をとらえられなくて吸収しないというものです。 2の原理も基本的には1と同じですが、吸収ではなくて屈折率がことなります。つまり原子の配列の関係で特定の電場方向に対してはよく原子は振動し、光を再放出しますが、このときに波の位相の遅れが生じるので屈折率がうまれます。一方直交している電場に対しては原子の振動がおきにくいので位相遅れも小さくなるなどして、結果として、入射した伝播方向によって屈折率が異なるという現象が生まれます。 屈折率の違いから結晶には光軸というものを考えてあげると現象をうまく説明できます。(当然結晶構造から生まれますので光軸と結晶軸は物質毎に決まった関係になります) 光軸は屈折率が普通(ordinary)の数値となる方向にとります。 それに直交して屈折率が異常となる方向(extraordinary)があります。 通常の屈折率の影響を受けるように進んだ光を常光とよび、もう片方の光を異常光と呼びます。 異常光線は常光線とことなり、みなさんが高校時代に習ったであろうスネルの法則に従いません。この性質を利用しても偏光子が作れることになります。 このほかには屈折率の違いを利用して、特定の偏光方向の光に対してのみ全反射が起きるようにするなどして光を分離します。 では。

standupper
質問者

お礼

ご丁寧な回答を有難うございます。大変に勉強になりました。しかし私の知識不足のために御解答を読ませていただいて、少し疑問に思うことがありました。 (A)偏光の原理(1)で書かれていた”吸収する”とはどういうことでしょうか?原子が振動するということですか?また、レーザのようなエネルギーの高い光を吸収した場合は偏光子に影響を与えないのでしょうか? (B)偏向の原理(2)で、他の方向に飛ばしてした時に、例えばチャンバーのような密閉された空間にレーザを入射するような場合には偏光子の後ろでは飛ばされた光はチャンバー内に入って影響しないのでしょうか?  御迷惑とは思いますが、御時間のある時にでも御返答お願いします。御時間をさいて私のような質問にお答えいただいて有難うございます。

standupper
質問者

補足

ご丁寧な回答を有難うございます。大変に勉強になりました。しかし私の知識不足のために御解答を読ませていただいて、少し疑問に思うことがありました。 (A)偏光の原理(1)で書かれていた”吸収する”とはどういうことでしょうか?原子が振動するということですか?また、レーザのようなエネルギーの高い光を吸収した場合は偏光子に影響を与えないのでしょうか? (B)偏向の原理(2)で、他の方向に飛ばしてした時に、例えばチャンバーのような密閉された空間にレーザを入射するような場合には偏光子の後ろでは飛ばされた光はチャンバー内に入って影響しないのでしょうか?  御迷惑とは思いますが、御時間のある時にでも御返答お願いします。御時間をさいて私のような質問にお答えいただいて有難うございます。

その他の回答 (1)

noname#11476
noname#11476
回答No.2

> (A)偏光の原理(1)で書かれていた”吸収する”とはどういうことでしょうか?原子が振動するということですか?また、レーザのようなエネルギーの高い光を吸収した場合は偏光子に影響を与えないのでしょうか? その通りです。従って出力の大きいレーザにこの吸収タイプを使うと、熱を発生して、ポリマーを使う物などは溶けてしまいますので注意が必要です。 >(B)偏向の原理(2)で、他の方向に飛ばしてした時に、例えばチャンバーのような密閉された空間にレーザを入射するような場合には偏光子の後ろでは飛ばされた光はチャンバー内に入って影響しないのでしょうか? 通常は偏光子を固定しているホルダーに当たります。(つまりホルダーで吸収される。グラントムソンはこのタイプです) 中には、ウォラストンプリズムのように、2方向に分かれて進む物もあり、こちらはお好みの方のビームを初めから選択します。(他方は自分で遮ります) また、直交する方向に分かれて進む(そのまま直進と反射して90度の方向)、偏光ビームスプリッタと言われる物もあります。(結晶の物と、誘電体多層膜で作成する物があります) 出力が高いレーザでは、偏光子のホルダーにあたる方法では、ホルダーが加熱して素子を損傷しますので、そこに穴が空いていて、外に飛ばすようになっています。普通、高出力用グランレーザプリズムという名前で売られています。 グラントムソンプリズムは、素子内部の張り合わせ面にバルサムなどの吸収が大きくて熱損傷しやすいものが使われていますから、レーザには使用しないようにして下さいね。(μWクラスであれば大丈夫ですが) グランレーザプリズムなど他のプリズムを選択するようにしましょう。 では。

standupper
質問者

お礼

二度にわたって御丁寧な解説を有難うございました。今後も私が未熟なために御質問させていただくことがあると思いますが、その時はよろしくお願いいたします。

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