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ヘリウム3の核融合の可能性
ヘリウム3の核融合は放射能を出さないと聞きました。本当でしょうか?これが本当で実用化されれば危険性のない原子力発電が可能になると思うのですが、現在どの程度まで開発が進んでいるのでしょうか?実現の可能性はあるのでしょうか?
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現在核融合の研究では、重水素(D)と三重水素(T)の核融合反応が使われています。これをD-T反応といいますが、利点は最も低温で起こる核融合反応だからです。同じぐらいの温度で起こる反応にD-D反応がありますが、これは取り出せるエネルギーが少ないため、D-Tが重視されます。 要するに最も実現が楽なのがD-Tなのですが、問題はmario_cxさんもおっしゃるように中性子線を大量に出すことです。中性子線自体も人体に有害ですし、これを吸収した物体は放射能を持ちます(放射能と放射線を区別してください)。 ヘリウム3(He3)を用いる核融合は、基本的には重水素と融合させるHe3-D反応ですが、この反応自体からは中性子線が出ません。陽子線が発生しますが、これは磁場から逃げ出せないのですべて閉じ込めることができます。ただ、He3とDを混ぜるわけですからD-D反応も起こり、中性子線が発生します。ただ、これはD-T核融合の10分の1以下と言われています。また、逃げていく中性子が少ないので発電効率もよくなります。 しかしこれはD-T反応やD-D反応に比べて非常に高温にしなければ実現できないので、技術的に難しいのです。簡単なD-T反応でさえ実用化できていないのが現状なので、He3核融合は将来の話となるでしょう。また、He3は地球上には非常に少量しか存在せず、高価な燃料です。月には大量にあることが確認されていますが、今はまだ利用できません。しかし、人類が実用的に使えそうな核融合反応はD-D・D-T・He3-Dの三種類だけであり、He3-Dの利点は明らかなのでいずれ研究が進むでしょう。 marioさんは「核融合は簡単に起こるが暴走を防ぐためにわざと抑えている」というようなことを述べておられますが、少し違うのではないでしょうか。D-T反応ですら連続的に起こすために工夫が重ねられているのです。暴走どころか、すぐ止まってしまう反応をいかに活発に起こさせるかということが研究されているのです。
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- marimo_cx
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一応補足。 > 安定して連鎖反応が起こせない事と ということで、連鎖反応が出来るとは書いていません。 ロシアで試みとして連鎖反応に達しない熱核融合実験は実際に行われました。 あと、私の文章の論点は、スエリングによる脆化を避ける方法が無いという ことで、炉心材料として全く目処が立っていないという点です。 細かい事を言うと排気をどうするかなどの種種雑多な事もありますね。
お礼
ご回答ありがとうございました。
- marimo_cx
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放射能とは放射線を出す能力の事です。 高レベル放射性廃棄物(死の灰)を放射能といっているのであれば出ません。 但し、多量の中性子線が出ます。これは重水素の核融合も同じです。 この中性子線が両刃の剣で、核融合による多量の中性子を人間の制御下で多 量に得る事が出来れば、今までの核分裂発電から出ていた死の灰が本当の意 味で処理できます。ところが、この多量の中性子は、炉の材料を破壊してし まうのです。中性子が炉壁にあたると、炉壁の材料の原子にあたると、その 部分の原子を弾き飛ばしてしまいます。また、原子核の一部を吹き飛ばした り、中性子がくっついてしまうと放射能も帯びてしまいます。 水爆がとうの昔に出来ているにもかかわらず、核融合炉がいつまで経っても 出来ないのは“核融合炉を作る材料が無い”からです。実は1999年の段階で ロシアはごく短時間熱核融合を試みとして行っています。現在核融合炉の実 験では火が点いてしまわないようにわざと燃えない普通の水素でやっている からです。ここに、燃える3重水素やヘリウム3を入れれば燃えちゃいます。 ただまだ安定して連鎖反応が起こせない事と、連鎖反応を起こしてしまった ら炉が壊れるからです。 結局現状はこんな所で、炉心材料の目処が全く立っていないので、結論とし ては先行き不透明です。
お礼
中性子線が少ないと言うことは、marimo_cxさんのおっしゃる炉壁のスエリングの危険性も少ないとゆうことと理解してよろしいでしょうか。しかし、月面にしかないとなると、実現の可能性は低いですね。 ご回答ありがとうございました。