どうも、どこでもそうなのですがその戦果の書き方は画一的で分かりにくいですよね・・・多分書いている本人たちも把握できていないのではないかと思うのですが。
戦艦:マラートのことです。ペトロパブロフスク級戦艦ペトロパブロフスクが改名したもので、1909年竣工の前時代的な戦艦です。近代改装されてはいますが、どうも装甲とかは脆弱だったようです。1941年9月23日(英語版ウィキなどほとんどで23日となっていますね。おそらく23日が正しいのかと。ついでに言えばドイツは今も昔もkg単位の世界。爆弾もkgという単位で作られています。)にクロンシュタット湾において攻撃を受け沈みましたが後に浮揚されて練習艦となったとされています。(なお、戦艦のほうを「10月革命(オクチャブルスカ・レボルーチア)」として、マラートを巡洋艦としてカウントしているサイトがあるのですが、どちらもペトロパブロフスク級の同型艦なので艦種が変わること事態がありえません。間違いです。)
駆逐艦は・・・ちょっと確証がもてないのです。ステルグシュチー(グネフヌイ級の一隻)、ミンスク、シルーヌイが同日の1941年9月23日にクロンシュタット湾においてドイツ軍の攻撃で沈んでおり、このどれかではないかと思われます。
そして・・・巡洋艦なのですが・・・これが問題で、クロンシュタット湾で沈んだと思われる艦はちょっと見当たらないのです(私が知らないだけかもしれませんが)。急降下爆撃で沈んだのはクラスヌイ・カフカズやチェルヴォナ・ウクライナがあるのですが、このあたりではないかと思われます。
ただはっきり言えるのは「艦船撃沈は個人の戦果としてはあまりみなされない」ということです。たとえば日本の赤城を沈めたのはエンタープライズ艦載機と言う具合に、全体の戦果という感じが強いですね(特に爆撃機なんかは、あまりパイロットに注目されることはないですし・・・)。駆逐艦は、多分どれかに命中弾か決定弾を与えたのでルーデルの戦果と喧伝されているのかと思います。
なお、攻撃は爆弾です。当然ながら。
機銃弾では、艦船、特に戦艦は絶対に沈みません。なぜならばあれらはおおむね戦艦の砲と打ち合うのを前提にしていますから、「戦艦の砲(つまり30センチ砲とか)を食らっても沈まない」ように作られています。つまり機銃では装甲を撃ちぬけません。なお、つかったのは1トン爆弾で弾薬庫に直撃したとされています。1発で沈むというのは戦艦ではまずありえないのですが、弾薬庫爆発と錬度不足の転覆ならば1発でも沈みます。まあ、マラートの運が悪かったのか、ルーデルの腕が良かったのかは分かりません。
下のURLはどちらも英語なのでご了承を。
結局、独ソ戦というのは詳細が分かりにくい戦争でもあるのです。ドイツは戦後ヒトラーを全否定していまして、ナチス時代の話には60年たった今でも当事者たちは貝のように口をつぐんでいるという現実があり、ソ連は「鉄のカーテン」などとよばれる情報的に隔絶された世界の向こうですから、艦船ですら今直経歴、スペックがはっきりしていないものが多いのです。
お礼
興味深い内容ありがとうございます。 先ほどマラートについて色々調べてみました。 なるほど仰るとおり、戦果や被害の記録については中々複雑で不明な部分が多いみたいですね。 とあるサイトでは言われるとおり途中で改名し、また元の名前に戻ったとか・・また別のサイトでは爆弾を煙突に受けた・・とか艦首に受けたとか・・急降下爆撃の攻撃前にドイツ軍の15センチ砲で小破したとか・・1トン爆弾で大破着底したが、砲台としてその後使われたとか・・。 しかし、前時代的と言われるとおり、面白いというかとても個性的なシルエットの艦ですね。艦橋と煙突が一体化しているなんて・・初めて見ました。 同日に駆逐艦が沈んでいるという事は爆弾を放ったルーデルが再度爆装しに戻るという事はありえませんよね?やっぱり急降下爆撃「隊」の戦果という事ですか・・なるほど。 私も爆弾一発で戦艦が沈むなんて・・と思いましたが弾薬庫ですか・・ならば納得です。フッドやアリゾナと同様なわけですね。 中々充実した内容で大変参考になりました。