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モノクロメータ
XRDについて質問があります。 Kβフィルタ法では、フィルタを使用するときにフィルタに使用している元素と原子番号の近い物質が試料に含まれていると、Kβ線によって蛍光X線が励起されるというのは理解できました。 しかしモノクロメータ法なんですが、ターゲットと同じ元素を主成分とする試料の場合は、効果が小さい(決して効果が無いわけではなく、効果が小さいという事なのですが・・・)というのですが、これはなぜなのでしょうか?教えてください。 モノクロメータはKβフィルタ法に比べると連続X線、蛍光X線もほぼ完全に除去できるという利点から考えると、試料元素には関係ないように思えて仕方ないのです。
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フィルターもモノクロも、通常はX線が試料に照射された後側に挿入されます。従って、両方共に試料の蛍光X線の励起を低減するのではなく、試料から出てくる蛍光X線によるノイズやKβ線による余計な回折ピークを除去するのが主な目的です。 フィルター法はフィルター物質の吸収端を利用しているので、完全にはソースのKα波長の単色化が行えず、モノクロに比べてノイズとKβ線の除去効果が小さいわけです。また、線源(ターゲット元素、例えばCu)の特性X線より少し高いエネルギー(=短い波長)位置の吸収端(例えばNi)を利用しますから、線源より少し低エネルギー(長い波長)側に特性X線を持つ元素、つまりターゲット元素より少し原子番号の小さい元素(例えばFeやCo)からの蛍光X線に対するフィルター効果は小さく、ノイズ低減はあまり効きません。ただし、モノクロ法より安価でX線の強度減衰が小さい利点が有ります。 次に、何故このように有効なモノクロ法でも、ターゲットと同元素試料へのノイズ低減効果が少ないかですが。同じ元素の吸収端エネルギーはその特性X線エネルギーより少し高いために、特性X線で励起される蛍光X線発生は起こりません。しかし、線源からは特性X線以外に多少の連続X線も含まれており、吸収端及びそのやや高エネルギー側波長の連続X線によって、多少の蛍光X線(特性X線)を発生します。 そうすると、その蛍光X線の波長は線源の波長と同じになりますから、モノクロを使っても通過してしまうわけです。ところが、これは回折現象に関係していませんから、回折角に依存しないバックグラウンドノイズとなるわけです。
お礼
大変わかりやすい説明ありがとうございました。非常に参考になります!!