- ベストアンサー
示談書の効力について
- 示談書の効力について教えて下さい。示談とは相互了解のもとに交わされる契約だと聞きました。
- Bさんが示談書を送付する際、Cが勝手に署名捺印をした場合、CがBさんとは無関係の場合は示談書は無効となりますが、Cが家族や身近な人間だった場合はどうなるのでしょうか?
- AさんがBさんから送付された示談書を「了解得られたもの」と判断して既にお金を支払ってしまった場合、示談は無効となり新たに交渉を行う必要があります。
- みんなの回答 (1)
- 専門家の回答
質問者が選んだベストアンサー
当事者間で作成する示談書は、仰る通りで一種の和解契約といえます。 民法 第六百九十五条 和解は、当事者が互いに譲歩をしてその間に存する争いをやめることを約することによって、 その効力を生ずる。 質問の場合の処理として二つのパターンが考えられます。 パターン1) 質問の例では、Aさんに、示談書の契約成立に関して、錯誤があります。 つまりAさんは、Cさんがした署名捺印をBさんがしたものと思い違いをしておりそれに気づいて いない状態です。 このような法律行為(契約)の意思表示は、無効となります。 民法 第九十五条 意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。ただし、表意者に重大な過失 があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない。 これにおいて、Cさんの地位(家族、知り合い等)は関係ありません。AさんがBさんが署名捺印し たものと受け取ってしまっていれば、それが錯誤となります。 従って、この和解契約自体は、無効です。 そして、仮に示談書の署名捺印から和解契約が成立したと信じ示談金の支払いをしてしまった場合 支払の根拠となる和解契約が無効ですから、Aさんに支払義務はありません。 Bさんは法律上の原因無く他人の財産を受け取った事になり不当利得ですので返還義務を負います。 民法 第七百三条 法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者 (以下この章において「受益者」という。)は、その利益の存する限度において、これを返還す る義務を負う。 パターン2) Cさんの行為は、「勝手に」ということから、Bさんから代理権を授与されていない無権代理であり、 民法 第百十三条 1 代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなければ、本人に 対してその効力を生じない。 2 追認又はその拒絶は、相手方に対してしなければ、その相手方に対抗することができない。 ただし、相手方がその事実を知ったときは、この限りでない。 BさんがCさんの無権代理行為の拒絶をAさんにするか、Aさんがそれを知る事ができる状況に ならなければ、Aさんの「Bさんが署名捺印した」という認識を覆す事はできません。 もしくは、BさんがCさんの無権代理行為を追認するかです。 従って、Aさんにとっては、いずれにしろ「Bさんが署名捺印した」という認識状態が続きます。 そして、追認も拒絶もされない状態で無権代理であるとAさんが知れば、 民法 第百十五条 代理権を有しない者がした契約は、本人が追認をしない間は、相手方が取り消すことができる。 ただし、契約の時において代理権を有しないことを相手方が知っていたときは、この限りでない。 により契約を取消す事ができます。従って、和解契約自体が成立していない状態に戻ります。 この時は、Aさんは和解契約の取消しを行うので、示談金の支払を行う事はあり得ません。