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ケインズの理論とは?政策や効果、箱モノの原因について
- ケインズの理論は国民経済を支える2本柱であり、金融政策と財政政策が重要です。
- ケインズ理論の政策には累進課税、利子率引き下げ、投資政策があり、これらが景気回復に寄与します。
- ケインズの理論は公共投資や民間投資を活性化させることで経済を支えるものであり、箱モノの原因ではありません。
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どうやらお読みになった本が間違っている(誤解させやすい表現を使っている)ようですね。 > 国民経済を支える2本柱は、金融政策(マネタリー・ポリシー)と財政政策=ケインズ主義(フィスカル・ポリシー) 金融政策と財政政策は、ともに経済を調節する為の手段であって、別段ケインズ主義に特有のものではありません。政府のとりうる全ての経済政策は、この二つの何れかに分類されます。例えばマネタリストでは、経済を活性化させるために金融政策を提唱しています。 ケインズ主義的な不況時の対策は、こうです。 不況時は有効需要が不足している、つまりものが売れない。 一つは、公共投資などで有効需要を喚起する、つまりものが売れるように消費者の所得を増やすと、ものが売れるようになるので、景気が回復していくという期待を形成することで投資や消費が回復させ、景気を回復させるという手段です。 もう一つは貨幣供給量を増やすことで利子率を下げ、投資を増やすことによって消費も回復させ、景気を回復させるという手段です。 前者の手段が財政政策、後者の手段が金融政策と呼ばれます。 質問文にはケインズ理論の政策として(1)~(3)とありますが、(1)はケインズ理論というより厚生経済学的な視点の話であり、(2)は正にケインズ理論の金融政策です。 (3)はおそらく「クラウティングアウト」と呼ばれる現象を意識していると思います。 クラウティングアウトとは、例えば住民にタダで魚を毎日配ると、魚屋さんは潰れるでしょう。このように公共事業が民間事業を圧迫してしまう(締め出す)ような効果をクラウティングアウト効果と呼びます。 逆に、道路のように、公共事業をすることによって他の民間事業が利益を受ける場合があり、これをクラウティングイン効果と呼びます。 ただ、公共事業というのは、その地域の経済が落ち込んでいるときに行われるので、公共事業の増加と経済(GDPなど)の減少が負の相関を持ってしまいがちで、よくこの相関をもってクラウティングアウト効果を主張する人が居ます。が、元々の経済の落ち込みをコントロールしてクラウティングアウト効果を測定した論文は今のところ見当たりません。 また、日本ではクラウティングアウト効果が大きいにせよ小さいにせよ、クラウティングイン効果のある公共投資を行えばよいという結論になるので、ケインズ理論批判とは関係のない話ではあります。 > 箱モノができてしまう原因と言われていますが、それはなぜでしょうか? ケインズ理論からすると、箱モノでは「建てたら終わり」的な側面が少なからずありますから、需要喚起策としてはあまり効果がないというのは目に見えている訳です。したがって箱モノは不況対策としてのケインズ理論的公共投資にはあまり当たりません。 たとえばニューディール政策は、ダム・水力発電所の建設とテネシー河流域の開発が主な柱ですが、箱モノはありません。 ただ、この理論を我田引水的に使うと、 公共投資をすべきだ→「何でも良いから作れ」→箱モノ という流れになるので、箱モノが増える原因の一つといわれることがあります。
お礼
お忙しい中、お答えいただきありがとうございます。いままであやふやだったのですが、説明を受けてよくわかりました。