「空」は、初期大乗仏教で展開された概念で、お釈迦様が説かれた概念ではありません。
「空」は、お釈迦様が阿含経典で説いている「縁起の法」を端的に表したものです。縁起の法とは、分かりやすくいうと、全ての存在は、因縁によって生じ、因縁によって存在し、因縁によって滅し、因縁によって不存在となる。全ては、永遠に存在し続けることがなく、無常である(常なるものはない)ということです。
「空」は、概略的には、全ての存在が、因縁によって「有」の状態と「無」の状態の間で変化するという意味です。従って、「空」は「無」と異なります。
「空」は「縁起の法」と同じこと表しています。
「空」は、初期大乗仏教で、般若心経などに出てきます。般若心経では、全ての存在が「空」であるから、因縁を良くすれば(因縁解脱の修行をし、徳を積めば)空の原理で、有の状態を作り出して、人生を変えることができるということが説かれています。
「空」=「縁起の法」の感覚は、物事は因縁によって変化する(例えば、因縁によって手に入ったり、因縁によって失ったりする)ので、物質的および3次元的な物事に「執着」しなくなり、物事をありのままに観察できるようになります。全てのものが因縁によって展開されていることが良く理解できるようになります。従って、自分勝手な欲で考えたり行動することがなくなり、人生に苦がなくなります。