No.3の方が武士道を批判しているので、少しだけ補足します。
確かに、新渡戸稲造の武士道で挙げている武士像は、江戸時代における理想の
武士像であり、これだけ見ると江戸時代以前の武士の姿が理解できなくなります。
しかし、武士道を読む上で一番重要なのは、日本における近代以降の倫理・道徳観
というものが、江戸時代に培われた武士道がベースになっているということ
を理解することだと、私は考えています。
日本人の多くは、自分は無宗教だと思っています。
著者の新渡戸も、日本人の多くはそうだと思っていました。
しかし、「宗教教育がないのに、どこで日本人は倫理観を学ぶのか」と知人の
アメリカ人に尋ねられ、それの回答を求めて著述したのが、武士道であるわけです。
(日本人には理解しにくいですが、日本以外の国では宗教の教えを通して、
倫理・道徳を学ぶのが普通です)
新渡戸がその著書で述べていることは、無宗教だと思っていたはずの日本人は、
実は日本に古来からある神道・仏教・儒教の影響を強く受けていたこと。
そして、その日本人の精神性を最も強く体現していたのが、江戸時代の支配者
階級である武士であったということでした。
日本には社会規範を現す言葉として、『~道』という言葉があります。
商人道(最近ではビジネス道かな?)とか、任侠道などです。
そのルーツをたどっていけば、多くは武士道にたどり着くと思います。
No.3の方が説明しているように、日本人の精神性を理解する上で『武士道』
だけに頼るのは、おそらく無理だろうと思います。
『和』の精神とか、閉鎖的な仲間意識、硬直した官僚制などは、武士道だけ
では理解できません。
それらを理解するには、やはり日本史をきちんと理解する必要があるかと思います。
こちらで私がオススするのは、『逆説の日本史』(著者:井沢元彦)です。
あと理解する上で膨大な歴史の基礎知識が必要となりますが、
『この国のかたち』(著者:司馬遼太郎)
も一度は読んでおいた方がよいかと思います。
それを理解するには、やはり日本史を一通り学ぶべき