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酵母の分離の仕方
酵母は自然界に多数存在すると聞いています。 菌では、ペニシリンはこれ自体が強いので、廻りに他の菌が発生しても、打ち負かして優勢的に繁殖すると聞いています。 酵母を繁殖させる場合には、床で実施する様ですが、雑菌や他の酵母がある(現実には多数あるはず)に、特定の酵母のみを増殖させるにはどのようにするのでしょうか? 強い菌に負けてしまうと思うのですが。
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- okomarisan
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ヒトに病原性を示す酵母のみを分離したいときは クロモアガーカンジダ培地(関東化学) クロムアガーカンジダ培地(ベクトンディッキンソンBD)を 用います。これで一般細菌は抑えることができますが 培養というのは有意なものしか生えてきませんので 難しいかもしれません。
- jubjub
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おっしゃる通り自然界には無数といっていい数の微生物があらゆるところに存在します。しかしながらその大部分は爆発的に増殖することはなく、いい条件にめぐり合うまでほそぼそと暮らしています。人の目に見えるほどの増殖を行うことができる条件は菌によって異なり、結局同じ材料からは似たような菌がよく発見されることになります。発酵など、特定の菌を増殖させたい時には温度、pH,、栄養条件などを目的の菌に最も適合したものにコントロールするのが重要です。また、その条件で生き残りうまく発酵したものから菌を分離することによってある程度再現性のある操作をすることができるのです。 例として清酒を醸造する場合についてお話しましょう。清酒のもろみには純粋培養した酵母ももちろん添加しますが、麹や蒸し米、水などに由来する雑菌も多く含まれています。古来の製法では目的の清酒酵母の生育を促すため以下のような方法を取っていました。 まず仕込みは通常6~7℃で行われ、4~5日間低温に保たれます(ウタセ)。この条件では硝酸還元菌が生育し、亜硝酸が最高10ppmくらい作られます。これにより亜硝酸に弱い雑菌がやられます。酵母はまだ生きてますが生育してません。 硝酸還元菌に次いで乳酸菌が生育し、乳酸が作られます。仕込み5日目くらいから3日で2℃くらいずつ温度を上げる操作が行われます(ダキ)。酒母のような成分でこの温度で生育できるのはまずロイコノストック・メゼンテロイデス・サケという乳酸球菌です。これによりもろみの消化が進み栄養分がリッチになると次にラクトバチルス・サケという乳酸桿菌が生育してきます。2種の乳酸菌の出す乳酸の殺菌作用により、混入している野生酵母や産膜酵母は増殖できないまま死んでいきます。乳酸菌自身も自分の出す乳酸や亜硝酸の影響で減っていきます。清酒酵母はまだ生きてます。これは、そうして生き残って清酒醸造をやり遂げた菌を選んでいるためにそこらのぽっと出の混入菌より耐性があるのです。 こうして仕込み15日目頃、品温15℃、糖分26%、乳酸0.5%くらいに達した時にはじめて清酒酵母が増殖する条件が整い、生育・発酵を開始するのです(現在はこうした回りくどい方法は取らず、仕込みの時にさっさと乳酸を添加してこのような条件を作りますが)。増殖し始めて最初の5日程度は20℃付近の温度で適宜櫂入れを行って空気を混ぜ、盛んに清酒酵母を増殖させます。その後はあまりかき混ぜず温度を下げて静置すると増殖は止まり、嫌気条件でアルコール発酵が起こるのです。清酒酵母の発酵により生成されるアルコールが高まると酵母自身の生育も弱まり、酒となります。この後ほっとけば菌叢の遷移はまだまだ続き、アルコールから酢酸を作る酢酸菌、酢酸を資化する細菌などが増殖してきますが、通常は酒になった時点で火入れという殺菌を行いそれ以上進まないようにします。 カビ(ペニシリンを出すペニシリウム属(青カビ)を含む)についてです。カビは一般に細菌や酵母に比べて過酷な(低い水分や栄養条件、幅広いpHや温度領域)ところで生育することができますが、生育開始までに要する時間が長い。そのため比較的栄養のあるところでは細菌や酵母が速やかに増殖して、カビは負けてしまうか遅れて生育することになります。フレミングがペニシリンを発見したのも、遅れて増殖したカビが既に生育しているブドウ球菌を溶菌しているのを見たときであったといわれています。また、カビは絶対好気性といって生育に十分な酸素を必要とします。なので酸素に接しない液体中や糠床などの中では生育しにくいのです。
お礼
判り易いご説明、有難う御座いました。選択する為の条件を見つけるのは大変でしょうね。実施した方に敬意を表します。酒を飲む度に味わいが出てきそうです。 また、日本主酒の中には生酒という表示もありますが、これは火を通さないものでしょうか?その場合は体の中で、繁殖することは無いのでしょうか?