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対称面について
対称面について質問です。教科書に対称面はある物体の半分が残り半分の鏡像になるように物体を2分する面と書かれていますが、実際の分子構造を見て、どこにあるか判断するとなるとよく分からなくなってしまいます。例えば、trans-2-ブテンの場合や、それにBr2を付加させたブロモニウムイオン中間体は、対称面をどこにもつんでしょうか。やっぱり対称面がよく理解できません。誰か回答おねがいします。
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No.5です。 すみません、説明にまた不適切な箇所がありました(汗) (ちょうどNo.5で質問を戴いた箇所に・・・) > 芳香族の場合は、共鳴に関わっている原子が実際に同一平面に並ぶので シクロアルカンや芳香環について、環を含む平面での対称性(→対称面の有無)を考える場合、実際に問題になるのは「共鳴に関わっている原子」より、「そのまわりの置換基」でした。 以下、ともに六員環であるシクロヘキサンとベンゼンで説明します。 それぞれの環を構成する炭素が同一平面にあるものとして考えた場合、それを横(→平面が面ではなく直線に見える方向)から見ると、シクロヘキサンとベンゼンはそれぞれ下のように表せます。 *それぞれの六員環を /\ | | ←こちらからみた場合 \/ シクロヘキサン: \_|_|_/ / ̄| ̄| ̄\ ベンゼン: __._._.__  ̄^ ̄^ ̄^ ̄ 「_  ̄」は環を構成するC-C結合を、 「_ 「. 」 ^」はベンゼンのC-H結合を、 「\」「/」「|」はシクロヘキサンのC-H結合を、それぞれ意味します。 これを、6つの炭素原子を含む平面(→「・・・・・」で表現)で切断すると、 シクロヘキサン: \_|_|_/ ・・・・・・・・・・・・・・・・ ←上下で対称=対称面 / ̄| ̄| ̄\ ベンゼン: __._._.__ ・・・・・・・・・・・・・・・・ ←上下で対称=対称面  ̄ ̄^ ̄^ ̄^ ̄ ̄ というように、ともに上下で同じになりますので、対称になります。 (「.」と「^」は同じと見て下さい) 次に、トルエン(1-メチルベンゼン)と1-メチルシクロヘキサンを考えます。 1-メチルシクロヘキサン: \_|_|_/ / ̄| ̄| ̄\▲ ▼ トルエン: __._._.__▲  ̄^ ̄^ ̄^ ̄ ▼ 「▲ ▼」はメチル基を意味します。 これを上と同様、6つの炭素原子を含む平面で分割すると 1-メチルシクロヘキサン: \_|_|_/ ・・・・・・・・・・・・・・・・ ←上と下で違う(メチル基の有無)=対称面ではない / ̄| ̄| ̄\▲ ▼ というように、シクロヘキサン環では、Cに結合した2つの置換基(1-メチルシクロヘキサンの1-位では水素とメチル基)は、6つの炭素を含む平面内ではなく、一方は上に、もう一方は下にあるため、その平面に対して対称ではない、つまり対称面を持たないことになります。 (もし1,1-ジメチルシクロヘキサンであれば、どちらもメチル基で同じになるため、対称面になります) トルエン: __._._.__▲ ・・・・・・・・・・・・・・・・ ←上下で対称=対称面  ̄ ̄^ ̄^ ̄^ ̄ ̄▼ 一方ベンゼン環の場合、環に直接結合した置換基もベンゼン環と同一平面上にあるため、その面に対して常に上下対称となる、つまり対称面を持つことになります。 芳香族の場合、「環をつくる腕(C-C結合)」と、「置換基と結合する腕」は、ともにsp2混成軌道からつくられています(→残るp軌道はΠ結合で使われている)。 3つのsp2混成軌道(と原子)は同一平面にあるため、芳香環と直接結合している置換基の原子は、必然的に環と同一平面になります。(※) そのため、「芳香族の場合は・・・置換基にかかわらず、その平面と一致する対称面を持つ」ことになるというわけです。 (但し、前回も注釈をつけたように、立体障害などでその面のどちらか一方に固定されたような場合は別です) (※) もし「必然的に環と同一平面になります」というのがわかりにくいようでしたら、(正三角形の)三角定規を想像して下さい。 真ん中の穴が原子、3つの頂点が結合する他の原子とします。 テーブルの上を芳香環の平面に見立てて、2つの頂点と真ん中の穴をテーブルの上に置きます(=芳香環を形成する3つの原子が平面に乗る)。 このとき、のこる1つの頂点は、三角定規を歪ませない限り、必然的に同じテーブルの上にのります。 「芳香環と直接結合している置換基の原子」が芳香環と常に同一平面にあるというのは、これと同じです。 ・・・かえってわかりにくくしてしまったかも(汗)
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No.4です。 誤解を招いてもいけませんので補足します。 シクロヘキサンで平面状と見なせるのは環を構成する炭素原子に限っての話であり、置換基は別途考える必要があるのは当然です。 また、対称性の議論においては面の同じ側か反対側か(すなわちシスかトランスか)ということは考えなければなりませんが、アキシアル、エカトリアルに関しては立体配座の問題ですので特に意識する必要はないと思います。
お礼
説明ありがとうございました!!説明のおかげですっきりしました。
- DexMachina
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横レスにて失礼ながら、念のための補足です。 『シクロヘキサン環』については、「常に平面に見なすことができ、それが対称面になる」わけではないので、ご注意下さい。 シクロヘキサン環の炭素1つに対し2種類の異なる置換基がつくと、「アキシャル」か「エカトリアル」かを考慮に入れる必要が生じ 、平面と見なすことができなくなります。 実際に分子が平面になっているわけではないシクロアルカンでは、その環を含む面を対象面とみなすことができるのは、各炭素上のアキシャルとエカトリアルの置換基が同じだった場合のみです。 (例えば1-ブロモシクロヘキサンでは1-位の炭素の置換基は水素と臭素となる為、臭素がエカトリアルになった方が立体障害が少なく安定となるため、6つの炭素を含む面を対称面とはみなせません。一方、1,1-ジブロモシクロヘキサンの場合は対称面とみなせます) <図1> R1(ax) ↓ 3 1 / \ // ←R2(eq) / 5 2 / // \ / 4 6 ⇒ R1とR2が異なる置換基の場合、シクロヘキサンの炭素6つが同一平面にあったとしても、その平面をはさんで置換基が異なることになる。 <図2> R1 R2 \/ || (「||」は、平面にみなしたシクロヘキサン環) ※1-ブロモシクロヘキサンでも、「1-位と4-位を通る、シクロヘキサン環に垂直な面」 (図2でPC画面に重なる面)は、(みなしではなく)対称面になります。 (2,6-位、3,5-位に置換基がつくと、またアキシャル/エカトリアルを考えなければならなくなって、面倒な話になりますが) なお、芳香族の場合は、共鳴に関わっている原子が実際に同一平面に並ぶので、置換基にかかわらず、その平面と一致する対称面を持つことになります。 (但し、特別に立体障害の大きい置換基を導入して芳香環を歪ませたり、自由回転のできない置換基を導入した場合を除きます) この辺りは、No.1の方も回答されている通り、分子モデルに触れて考えるのが一番ですが、それができない場合には、図を描くだけでも理解がだいぶ違うと思います。 (最初のうちは描くのに苦労するかもしれませんが、これは慣れです)
補足
何度も説明してくださってありがとうございます。ここがちょっと理解できなかったので教えてもらえませんか。>芳香族の場合は、共鳴に関わっている原子が実際に同一平面に並ぶので、置換基にかかわらず、その平面と一致する対称面を持つことになります。
No.3の補足です。 対称面を考えるときはどこで切って考えてもかまいませんし、自由回転できる単結合に関しては、どのような立体配座にして考えてもかまいません。 trans-2-ブテンの場合には、No.3で示した6原子からなる面を対称面と考えます。C-Cのσ結合にこだわる必要はありません。 また、単環状の化合物であれば、便宜的に環を平面であるかのように考えてもかまいません。たとえばシクロヘキサンの炭素骨格は平面状ではありませんが、対称性を考える場合には平面状と見なしてもかまいません。 一般に、鏡像異性体をもつ分子は対称面を持たず、鏡像異性体をもたない分子は対称面をもっています。また、その逆も成り立ちます。 このことを知っておくと、分子の対称性を考える上でのヒントになると思います。
お礼
ありがとうございます!ずっとこの分野が頭にひっかかっていたのでおかげですっきりしました。
No.2の補足です。 trans-2-ブテンの説明が言葉足らずだったようですね。 その場合には、C=Cと、それらに結合している4個の原子、すなわち、2個のHと、2個のC(メチル基の炭素)の合計6原子が同一平面状に存在することになり、これが対称面になります。 2個のメチル基に結合している合計6個のH原子は必ずしもこの平面状にはありませんが、C-CH3におけるC-C結合が自由に回転し、平均的に「ならされ」ますので無視してもかまわないということです。 ↓同一平面(対称面)上に存在する6原子の図 H C \ / C=C / \ C H
補足
何度も説明ありがとうございます!ここでの対称面っていうのは、各原子をその半分のところで割っている面と考えればよいのでしょうか。いままで、対称面がある場所がC-C結合のσ結合のところにある例とかしかみたことがなかったので・・
厳密にいうならばtrans-2-ブテンが対称面をもつかどうかは立体配座に依存します。 しかし、有機化学で分子の構造を考えるときには、最も考えやすい立体配座を考えればOKです。 すなわち、trans-2-ブテンにおいては、末端のメチル基の水素が二重結合の平面上にあれば対称面があることになります。また、そこまで考えなくても、メチル基と隣の炭素の結合は自由回転するので、Hを無視して考えても差し支えありません。 要するに結論を言えば対称面をもつことになり、それは二重結合のまわりの平面(CH=CHの原子が存在する面)に一致します。 また、先ほどの質問にありました、1-メチルシクロヘキセンのような環状の化合物の対称性を考える場合には、環を構成する原子が全て同一平面上になるような配置を想定します。 もちろん実際に環を構成する原子が同一平面上に来ることはありませんが、対称性を議論するときにはこうした想定に基づいた議論をします。 つまり、これらの分子において、単結合はある程度回転できますので、平均すればそういった構造になると見なすのです。 したがって、置換基を持たないか、二重結合の位置にのみ置換基をもつシクロアルカンは、「環の平均的な面に対して対称」であると考えます。 話をブロモニウムイオンに戻しますと、trans-2-ブテンから生じたブロモニウムイオンは対称面を持ちません。しかし、cis-2-ブテンから生じたブロモニウムイオンは対称面を持ちます。二重結合の中央のところで結合に対して垂直に交わる面が対称面になります。 なお、trans-2-ブテンに臭素が付加してできる2,3-ジブロモブタンはメソ体で対称面を持ちますが、cis体から得られる2,3-ジブロモブタンは対称面を持ちません。中央のC-C結合を回転させながらじっくり考えてみて下さい。
補足
説明ありがとうございます!説明のおかげで、うまくイメージをつかめてきました。トランスー2-ブテンなのですが、CH3C=CCH3が対称面と考えることはできないのでしょうか。
- c80s3xxx
- ベストアンサー率49% (1634/3294)
こういうのは結構ピンと来る/来ないに個人差がありますね. やはり分子模型を作って,それを手にとって,いろんな角度から見たり,いじり回すのがいいと思いますよ.
お礼
詳しい説明ありがとうございます!!おかげでよくわかりました。