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源氏物語の若紫について
先日、学校の宿題で若紫のある部分を挿絵にせよというものが出されました。 尼君、髪をかき撫でつつ~初草の生い行く末も知らぬ間にいかでか露の消えむとすらむ までです。 先生が言うには「場面を絵にするのが難しい」ということなのですが・・・。 わかる方いらっしゃいましたら解説をお願いいたします。 また、2つの和歌の意味もわからないので教えていただけないでしょうか?
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この場面の原文での意味、和歌の意味などは、すでに回答として出ていますが、何故この場面を挿絵にするのが難しいのかという答えがないように思います。僭越ながら、想像してみます。 その前に、明石君が、実の娘の(後の)明石女御・明石中宮を、源氏との約束で紫上に渡すため、牛車に乗せる場面で、娘は何も知らずに、無邪気に、「お母様も乗って」という情景がありますが、ある本で読んだ処では、このシーンでは、明石君に対し、通常の身分として相応しくない最上級に準じる敬語が使われているという事実があるようです。これは、明石君の心情に作者紫式部が心動かされ、その心情に気遣い、貴女は、後に中宮の母ともなるのですよ、悲しみはいまひととき、というように、慰めの意味や、また、まさに、明石女御が中宮の位に昇る、そのもっとも重要な端緒部分なので、明石君を、すでに中宮の母に相応しい、敬語でもって、扱っているのだとされています。従って、この情景は、明石君の心情の深さと、それに対比する、無邪気な明石女御、事情を知っている女房たちという人物を描くのに、たいへん難しい場面だとも言えます。 それと似て、この尼君と若紫、そして女房の情景は、この悲嘆の先というか、ここが端緒となって、若紫と源氏との関係に進んで行く、一種の劇的シーンです。桐壷帝の意を受けた命婦が、源氏を育てていた源氏の祖母と面会し、源氏を宮中に迎え入れたいと説得する場面がありますが、この場面も、非常に複雑な心理の綾があり、それを踏まえて絵を描くというのは、たいへん難しいことですが、これらの情景(上の明石君と娘の別れの情景も加え)と同様に、この尼君と女房、紫の情景も、描くのが難しい情景だと思えます。 そして、この尼君の嘆きの情景は、尼君の心には、実は、非常な葛藤がある訳です。尼君は、若紫の父、式部卿宮からの娘を引き取りたいという依頼を、実は断っているのです。また、この時点で確か、源氏も、妻に欲しいという提案を出していますが、これも断っています。若紫の将来なら、自分が死んで後、面倒を見ようという提案はあったのですが、それを断り、敢えて、引きこもった屋敷での情景だったと思います。紫は、確か、源氏からの提案を知っていたのではないかと思います(明確に知らなくとも、敏感に何かを感じていた)。 尼君の心情としては、「確かな後見者がおらず、脇腹とはいえ親王の娘ともあろうものが、身分に相応しく育つことができない……我が大納言家は、これでもはや見捨てられ、落ちぶれ、消えて行くのだろうか。この紫をそのような不幸な目に会わせたくない。しかし、わたしの命ははや尽きようとしている……世は無常とはいえ、この紫に幸はないものだろうか……」 これに対し紫は、祖母の苦しい内心も敏感に察し、自分がのけものとされているらしいことも感じ、しかし、父や、源氏という人がいたのではないかなどと言う思いもあり、無邪気そうで、元気そうで、しかし、内心深い思いがあったといえます。つまり、尼君の心情は非常に難しく、紫はただ元気が少女かというと、そうではなく、聡明で、勘が良く、人の心の苦しみや悩みには人一倍敏感に理解する少女であるので、先の明石女御となる少女の場合と違い(年齢もかなり違いますし)、無邪気な少女でありながら、実は、複雑な心情と理解力のあるのが紫であるので、こういう複雑な心情が交錯している場面をいかに描くか、それは難しい、ということなのではないでしょうか。
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- machar
- ベストアンサー率33% (1/3)
平安時代の人々の様子については、 きちんとした史料を確認されることをおすすめします。 http://www.iz2.or.jp/ とか。がいいです。 あと、下記のアドレスでは、源氏物語の絵が公開されています。
お礼
確認してみます。 教えていただきありがとうございました。
- yapoo
- ベストアンサー率14% (265/1865)
先に書いた方達の言う通りなので 歌の内容はおいといて 尼姿の優しいおばあ様とおかっぱ頭の やんちゃそうな女の子の絵を書けばいいと思いますよ 若紫はけっこうおてんばっていうか活動的な女の子だったみたいなので・・・ あさきゆめみし っていうマンガの前半を見ればその場面もあります 何巻だったかは忘れてしまいましたが・・・ すいません
お礼
書くの難しそうですがトライしてみます。
- gonta-11
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和歌に行きましょうか。 尼君: 生ひ立たむありかも知らぬ若草をおくらす露ぞ消えむそらなき 大人(ここでは女房): 初草の生ひゆく末も知らぬ間にいかでか露の消えむとすらむ 二つとも「若草(初草)」は紫上を、「露」は尼君をたとえたものですね。(これらは「縁語」と呼ばれるものです。) 尼君の歌は、「育ってきた場所もわからない若草(紫上)を後に残す露(尼君)は消えていこうにも消えてゆくところがありません。」つまりあなたを残して先に死んでしまうことはわかっているけれど、心配で死んでも死にきれないということです。 それを受けた女房の歌は「初草(紫上)がこれからどう育っていくかわからないのに、どうして露の消えることがあるでしょうか。」つまり、尼君に対して、先に死ぬなんて、そんなにさびしいことを言わないで長生きしてくださいという意味です。 そんなに絵にしにくいところだとも思わないんですけどねえ。
お礼
ありがとうございました。
お礼
ありがとうございました。 大変参考になりました。