- ベストアンサー
銀鏡反応と爆発性について
文化祭実験で痛ましい事故が起きました(芝浦工大柏中学高校)。インターネットにはアンモニア水だけで行う方法(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%8A%80%E9%8F%A1%E5%8F%8D%E5%BF%9C)と苛性ソーダを併用する方法が(http://www5.nkansai.ne.jp/users/katsuhiko/rika11.htm)あるようです。苛性ソーダを併用すると爆発の危険が増す可能性について情報があれば教えて下さい。
- みんなの回答 (2)
- 専門家の回答
質問者が選んだベストアンサー
苛性ソーダの併用が爆発の危険性を増す、ということは知りませんでしたが、事実とすれば以下のように推測できます。 アンモニア水との混合により、硝酸銀AgNO3はまず酸化銀Ag2Oの沈澱を生じ(水酸化銀AgOHは不安定なため脱水)、さらに過剰のアンモニアによってジアンミン銀(I)イオンになって再溶解します。 このジアンミン銀(I)イオンが、アルデヒドや単糖などの還元剤によって、金属銀(価数0)に還元されるのが銀鏡反応です。 ところで、そのような還元剤があるうちは、それが酸化される反応が主に進むのでよいのですが、銀のイオン化傾向は水素より小さいため、上記の還元剤がなくなると、今度はアンモニアの酸化が始まります。 この結果生じるのが、爆発性の雷銀Ag3N・雷酸銀AgONCなどだそうです。 この際、苛性ソーダがあると、「ジアンミン銀イオンの不安定化」(→相対的にアンモニアが多いほど、同イオンの形で存在しやすい)と、「アンモニアの窒素原子上の孤立電子対の被酸化性(=還元性)の上昇」(pHが高いほど、NH4+の比率が下がる)、が起きると推測できます。 これにより、爆発性の化合物が生成する可能性・生成量が増える可能性が上がり、爆発の危険性が高まるのではないでしょうか。
その他の回答 (1)
- DexMachina
- ベストアンサー率73% (1287/1744)
No.1です。 > 安全なデモ銀鏡反応のキーポイント 銀鏡反応を載せた実験書では、必ず「爆発性の化合物が生じるので、銀鏡反応後の溶液は置いておかずに捨てること」が明記されています。 今回の事故の詳細について、私は続報を聞いていないのですが(報道自体、まだされていないかもしれませんが)、 1)銀塩の濃度を指示よりも高くした (酸化剤が多いほど酸化反応が早く激しく進むため、糖などの還元剤があっても、 アンモニアと反応する可能性が出る) 2)生徒の実験時間を短縮するため、還元剤を除いた液を前日(或いはそれ以前)に調整してしまった (アンモニアより先に酸化されやすい還元剤がないため、生徒が実験する時点で、 既に爆発性の雷酸銀・雷銀が生成していた) という可能性もあります。 今回の事故の原因はわかりませんが、その「原因」だけでなく、究明の際に出た「可能性」についても、「実験後の廃液はすぐに廃棄すること」との注意に併記する、などの対策が必要かもしれません。 ただ、あまりに注意が多くなると、分厚いマニュアルが読まれないのと同じで、逆に重大なもの・頻度の高いものまで見過ごされてしまう危険が上がってしまうのが難しい所だと思います。 最後になりましたが、この場を借りて、事故に遭われた方におかれましては一日も早く快復されますよう、お祈りさせて戴きます。
お礼
考察有難うございます。過剰アンモニアの存在が安全なデモ銀鏡反応のキーポイントになるのでしょうか。化学会などが先頭に立って、原因究明、安全なデモ実験指針の提案また安全上不備な情報削除の啓蒙を頂けるならこのようなことが少なくなるのでしょうか。