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トランジスタの原理と特徴について
トランジスタの原理と特徴について教えてください! 増幅作用とは原理とは違うのでしょうか?
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- sinobu_wednesday
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トランジスタは、n型半導体とp型半導体という2つの半導体を組み合わせて作られます。ここで半導体とは、導体(金属など)ほどは電気を流さないが、絶縁体(ゴムやガラスなど)よりは電気を流す、その中間に電導率のある物質のことです。 代表的な半導体に4価(すなわち最外殻電子が4個)のシリコンがあります。このシリコンを100%純粋な結晶にすると、電気の電導率から言えばまさに半導体になります。ここにほんの少しの不純物を混ぜます。ヒ素を不純物として混ぜたのがn型半導体、ホウ素を不純物として混ぜたのがp型半導体と呼ばれます。 n型半導体は、ヒ素の5個の最外殻電子のうち、4個が周りのシリコンとの結晶を作るために使われ、残り1個の電子が自由電子となります。よってn型半導体は100%シリコンよりも非常に高い導電性を持ちます。逆にp型半導体は、ホウ素の3個の最外殻電子の3つがシリコンとの結晶作成のために用いられ、足りない一個は空席となり、あたかも正電荷の粒子(正孔)のように振る舞います(負電荷がない場所=周囲を基準にすると正電荷と見なせる)。よって、p型半導体も100%シリコンより非常に高い導電性を持ちます。 このn型半導体とp型半導体を貼り合わせると、p型からn型に向けて電気が流れるが、その逆は流れないという性質を示します。なぜなら、p型からn型に向けて電圧をかけると、p型半導体(正極に接続)の正孔がn型半導体(負極に接続)に向けて移動し、n型半導体(負極に接続)の自由電子がp型半導体(正極に接続)に向けて移動します。これらの正孔・自由電子が電流を運びますので、電流が流れることになります。 が、逆方向に電圧をかけた場合、p型半導体(負極に接続)の正孔は負極に引かれてn型半導体から離れていき、n型半導体(正極に接続)の自由電子も正極に引かれてp型半導体から離れます。ある程度正孔と自由電子がp型半導体側、およびn型半導体側に溜まると、これらの荷電粒子の分布が外部からの電位差を打ち消す方向に電位差を作り、電位差がゼロとなって電流の流れが止まります。 余談ですが、これをダイオードと呼びます。 トランジスタは、n型とp型を貼り合わせたダイオードに、さらにn型、もしくはp型を貼り合わせたもので、pnp型(p型-n型-p型の順で貼り合わさっている)、およびnpn型(n型-p型-n型の順で貼り合わさっている)の2種類が存在します。 例えばnpn型を例として考えます。2つのn型半導体に繋がった端子を「エミッタ」「コレクタ」、真ん中のp型半導体に繋がった端子を「ベース」と呼びます。ベースをとりあえず無視すると、エミッタとコレクタの間には電気は流れません。なぜなら、エミッタとコレクタのどちらに正極を繋ごうが、npn型の配列で半導体が連なっていると、途中にダイオードを逆接続したことになるからです(n→p方向には電気が流れない)。 ここで、コレクタ→エミッタに向けて大電圧を印加した状態とします。コレクタ(n)→ベース(p)間がダイオードの逆接続状態ですから、コレクタ→エミッタ間も電流が流れません。ここでベース(p型半導体の端子)からエミッタに向けて小電圧を加えます。ベース(p)→エミッタ(n)の方向には電気が流れますが、この時、ベースの正孔はエミッタに向けて移動し、エミッタの自由電子はベースに向けて移動します。その結果、エミッタとベースには自由電子と正孔が逆向きにすれ違うように電流が流れ始めます。すると、ベースに正孔が溜まらないため、コレクタ→ベースの間の電流を妨げていた正孔と自由電子による逆向きの電位差がなくなり、結果としてコレクタ→エミッタ間の電流が流れ始めます。 結局、ベース→エミッタ方向の小電圧の変化で、コレクタ→エミッタへの大電流の操作が可能になるという訳です。これをトランジスタと呼びます。 原理は以上です。増幅作用とは、ベース→エミッタ間の電圧に比べコレクタ→エミッタ間の電圧を高く印加することで、ベース→エミッタ間の小さな電圧変化によりコレクタ→エミッタ間の大きな電流を制御できる、という意味であって、本質的にはあまり重要な話ではありません。つまりコレクタ→エミッタ間の電圧を低くすれば、大きい電圧で小さな電流を制御する、という回路ももちろん出来ます。 ただ、一般的にトランジスタの初期の利点は、信号の増幅のために役立つという増幅装置としてのそれであって、増幅作用というのがトランジスタの応用面での重要な性質であることは間違いありません。現在はトランジスタはコンピュータの論理回路のパーツとしての意味合いが大変強いですが、論理回路の中におけるトランジスタの役割は単なる論理スイッチであって、ベース→エミッタ間の電圧より大きな電圧をコレクタ→エミッタにかけることはありません。
お礼
ありがとうございます! とても助かりました。 しかもダイオードの事まで教えてもらってさらにトランジスタの事がよくわかりました。