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硝酸還元酵素の明暗変換において
硝酸還元酵素は明所では高活性型になり、暗所では低活性型になりますが、この活性調節機構において、Mg・ATPはどのような働きをするのでしょうか? NRをATPでプレインキュベーションすると低活性になったり、マグネシウムイオンがあると低活性になるしくみがよくわかりません。 お分かりになる方、詳しい説明をよろしくお願いします。
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硝酸還元酵素(NR)はタンパク質の修飾によって活性型から不活性型へ可逆的に変化します。 活性型のNRはセリン残基がリン酸化されているかどうかで2種類の型に分けられます。リン酸化されたセリン残基にさらに別のタンパク質(14-3-3 protein)がくっつくと不活性型になります。 NRをATPを用いてリン酸化する酵素をNRキナーゼといいます。光合成によって生ずるリン酸エステル類はこのNRキナーゼの働きを阻害します。暗所ではこの阻害作用が緩和されます。ATPがなければリン酸化は起きません。また、Caイオンはこのキナーゼの働きを促進します。 NRのセリン残基を脱リン酸化する酵素はNRフォスファターゼといいます。AMPがこの酵素の働きを高めることが知られていますが、その生体内での意義については議論の最中なのではないかと思います。 これらのキナーゼとフォスファターゼ両者の働きによってNRのリン酸化/脱リン酸化状態が調節されているのですが、そこに光がどのように関与しているかについてはまだ明確なことは解っていないようです。 リン酸化されたNR(pNR)が14-3-3 proteinと結合すると硝酸還元に必要な電子の流れが阻害されて不活性型になります。しかし、14-3-3 proteinはMgイオンを組み込んだ状態でないとpNRに結合することができないと言われています。KClの添加によってMgイオンが14-3-3 proteinに組み込まれるのを阻害することによって、pNRの14-3-3 proteinの結合による不活性化を抑えることができるそうです。 ATPを添加するとNRキナーゼの働きによりpNR活性型になり、Mg添加により14-3-3 proteinの結合を促進してpNR不活性型になるという流れです。 プレインキュベーションではEDTAでMgイオンやCaイオンをキレートして、AMPを添加してやるとNRの最大活性を得ることができます。 「植物生化学」 Hans-Walter Heldt編の日本語版に詳しく図で示されているので、そちらをお薦めします。そこで引用されている雑誌も大変参考になるかと思います。 つたない文章で申し訳ありません。
お礼
とても丁寧な回答ありがとうございます!! おかげさまでかなり理解できました。 植物生化学の本もゲットしちゃいました。 ありがとうございました☆