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物質の屈折率と密度の関係
物質の屈折率が密度に比例するのは どのように説明することができますか? ファインマン物理学を読んでいるのですが どうもイメージが沸きません。 どなたか教えてください。
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音波の場合は、空気中よりも、固体などの硬い物質を進むときの方が速く なります。音波の速さ 金属などの物体>水>空気 というようになりま す。しかも音波が伝わるには媒質が必要です。光の場合は、真空中も伝わ るように媒質は必要としません。同じ波なのにも関わらず、真空が一番早 く、物体中の速度が遅くなります。このことを理解するためには、光が電 磁波であるということに注目して、電磁波について知識を深める必要があ ります。 プリズム分光をした場合に、赤い光よりも、紫の光の方が大きく屈折しま す。紫の光の方が振動数が大きいからです。この質問を正しく理解するに は分極とか誘電率とかの知識が必要になってきますが、イメージ的には、 sanapayatさんが言われているような感じでも良いでしょう。 X線のように振動数が極めて大きい電磁波の場合には、電子が振動におい ついていけずに、分極が起きません。屈折率は 1に近くなります(1より やや小さい)。 理化学辞典を調べましたら、「波」、「波の速度」という項目のところに 多少詳しく説明されています(少し難しい説明でした)。 紹介した参考資料の中では、理化学辞典以外の参考資料には、直接的な説 明はありません。物理のABCでは屈折に関する、粒子説と波動説での説 明が解説されています。光と色の100不思議の方は、全般的な話ですか ら、あまり詳しい解説はありませんが、紹介したURL(この本の読者サポ ートページ)には、広く光と色の参考資料やURLなどが紹介されています。
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- rogmt
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古典的なイメージでは、原子が光を吸収してその光と同じ周波数の光を放出し、その光を次の原子が吸収して放出して....を繰り返し、光が伝播していくと考えます。この吸収と放出の過程でわずかに時間遅れが生じます。すから、密度が大きいとこの吸収と放出の回数が多くなって、それだけ時間もかかり速度が遅くなります。つまり、屈折率としては大きくなります。 原子同士がばねでつながった絵が書いてあり、原子の振動が伝わっていく説明をしている教科書があると思います。あくまで古典力学としての説明ですが、そのようなところを読んでみてはいかがでしょうか。
お礼
回答有難うございます。 「古典的な」イメージは理解できるように思います。 rogmtさんの言われるように、そろそろ自分で教科書を読んで勉強したほうがよさそうですね。
- siegmund
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電磁波の角振動数ωと波数kの関係を分散関係と言っています. 真空中なら,ω(k)=ck です. 位相速度は v_p = ω(k)/k, 群速度は v_g = ∂ω(k)/∂k です,真空中のω(k)=ck なら,位相速度も群速度も c です. > 群速度と物質の性質との間にはどのような関係が成り立つのでしょうか? 結局,ω(k) がどうなるかですね. 例えば,固体中のX線では,k とωの関係は, k = ω/c - a/ωc でよく表されるとされています. a は正の定数. 簡単な計算で,位相速度と群速度は,それぞれ v_p = c/(1-a/ω^2) > c v_g = c/(1+a/ω^2) < c であることが示せます. > 例えば光を一瞬だけある厚さをもった物質に当てた場合、 > 光が物質を通過して出てくるまでの時間はどうなるでしょうか。 一瞬当てるというのがくせ者で,一瞬だけではきれいな正弦波になりません. パルス波や矩形波などのフーリエ展開からわかりますように, いろいろな周波数成分が含まれることになります. 周波数によって伝わる速度が違うわけですから, 当てたのはパルスでも,出てくるときはずいぶんぼやけて出てきます. そういうわけで,「分散関係」というのです. パルスが(だんだんぼやけながらも)伝わってゆく速度が群速度になっています.
お礼
ご返答有難うございます だいぶイメージが具体的になってきたように思います。 >v_p = c/(1-a/ω^2) > c >v_g = c/(1+a/ω^2) < c から、X線の場合、振動数が小さいほど、位相速度は光速より大きく、群速度は光速より小さくなる、ということになりますね。 可視光の群速度について上の式は成り立つのでしょうか?
補足
下のお礼を書いたあとで少し考えたのですが、レーザ光のように波長がほぼ単一のパルス波が物質中に入射した場合は、分散はほとんど起きないと考えて良いのでしょうか。 もしそうならば、この場合は位相速度=群速度となり、光の信号・エネルギーが進む速度は屈折率に比例(密度に反比例)して遅くなると考えてよさそうなのですが。
- siegmund
- ベストアンサー率64% (701/1090)
Hikaru99 さんの名回答を見ていて(まさに光ると言うお名前,名回答も納得), 私の回答がどうも不十分だったことに気づきました. 普通の光(可視光線)しか頭になかったもので... 物質中の電磁波がどうなるかは,物質が電磁波に対してどのように応答するかに よります. 電磁波は電場と磁場の絡み合ったものですが, 磁場に対しては金属や強磁性体などを除いてはあまり応答しないので, 主に電場(電磁波だから振動する電場)に対する応答が問題になります. 固体内のいろいろな要素が電場に対して応答するので,事情はかなり複雑です. ○ 電子が原子核に対して原子内で相対的に変位する. ○ 電荷を持つイオンが他のイオンに対して相対的に変位する. ○ 構成分子が電気的双極子モーメントを持っているときに, 電場によってその方向が変わる. などがあります. 振動数が低い内はどの要素も電場についていきますが, 振動数が高くなると電場の変化に追いついていけなくなり, 電場の方向に従って応答し終えたときには電場の方向が逆転している, などということも起こります. Hikaru99 さんの書かれているように, 赤い光よりも紫の光(こちらのほうが振動数が高い)の方が屈折率は大きいのですが (どちらの場合も1より大きい), もっと振動数が高くなると紫外線とX線の境界あたりで大きな変化が起き, 屈折率は激減して1より小さくなります. こうなると光の速度は真空中より速くなります. 光速が真空中より大きくなると具合が悪いような気がしますが, ここで言っている光速は位相速度で,信号や情報や力の伝達はこの速度では おこなわれません. いわゆる,「群速度」が信号などの伝達の速度になります. 上のように位相速度が真空中の光速を越える場合でも, 群速度は真空中の光速より小さくなります. 真空中では,位相速度=群速度です. 正弦波がやってきただけでは,同じことの繰り返しですから, いつ信号源を出発した波なのか区別がつきません. そういうわけで,位相速度では信号は伝わらないのです. 信号を送るためには変調などする必要があり, それが伝わる速さが群速度です. 他に,プラズマ中の電磁波などが位相速度が真空中の光速を越える例として 知られています.
お礼
さらに詳しい説明有難うございます。 電磁波が入射した際の物質の応答にはいくつかの種類があるのですね。 これまで議論していた「光速」とは波の位相速度のことだったのですね。群速度についてn=c/vという関係が成り立たないとすると、群速度と物質の性質との間にはどのような関係が成り立つのでしょうか? 例えば光を一瞬だけある厚さをもった物質に当てた場合、光が物質を通過して出てくるまでの時間はどうなるでしょうか。ちょっと混乱してきました。
- Hikaru99
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●屈折率の定義は 屈折率は n=c/v で表すことができます。この式は、屈折率の式と言いながら、 実際には真空中の光の速度と物質中の光の速度の比を表したものに過ぎません。 どうして、この比が屈折の割合になるのでしょうか。 歴史的な背景があります。光が物質中に入るときに、光が空気と物質の境界面 で折れ曲がることが分かりました。その曲がる割合を屈折率と定義しました。 ところが、後に、屈折率は真空中の光の速度と物質中の光の速度と同じである ことが確かめられました。しかし、その名前は変えずに、真空中の光の速度と 物質中の光の速度の比を屈折率と呼ぶことにしたのです。 ●どうして物質中で速度が落ちるのか イメージは簡単です。密度が高いということは、それだけ障害が大きいという ことです。真空中では秒速30万kmで進む光も、物質中では物質を構成する原子 が障害になって速度が落ちると考えても良いでしょう。専門的に調べたいので あれば、波の位相速度・群速度や光線速度を調べられると良いと思います。 波が詰まって進めなくなると言っても良いかもしれません。 参考: 理化学辞典(岩波) 物理のABC(講談社) 光と色の100不思議(東京書籍) 参考URLのところに光関係の参考資料がたくさんあります。
お礼
丁寧な回答ありがとうございます。 光波が物質中に入射すると物質中の電子が振動し、再び電磁波(光波)を放出する。この過程に少々時間がかかるため、光の速度は遅くなる。また物質の密度が大きいほど、この過程が数多く繰り返されるため、より遅くなる。このようなイメージで良いでしょうか? これから紹介してもらった資料で勉強してみます。
- siegmund
- ベストアンサー率64% (701/1090)
> n=c/vがに成り立つとすると、物質中の光速が物質の密度に比例して遅くなることになります。 > これはどう考えたら良いのでしょうか。 noboo さんは多分光速不変の原理を気にしておられるのだと思いますが, 全く構いません. 物質中の光速は真空中のものより小さくなります.
補足
コメント有難うございます。 物質中の光速が真空中のものより小さくなるのは、どのように説明できるのでしょうか? これが分かればn=c/vの定義から屈折率が密度に比例することが納得できると思うのですが。
- noboo
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密度が変化することによって,光学距離が変化するためです. 光は波であることは良いと思いますが, 屈折率は,n=c/vで与えら得ることは良いでしょうか? ここで,c,vはそれぞれ,真空中の光速,物質中の光速を意味しています. 密度が大きい物質では,密度が小さいものよりも物質中を伝播する音速が変化します.つまり,上の関係式から,密度,物質中の光速(音速),屈折率の関係が得られますので,密度の変化と屈折率の変化が関係を持っています. ただし上のアドバイスはあくまでイメージですので, 詳細なところでは合っていないかもしれません. これで,イメージがつきますか? ご参考まで.
補足
早速のアドバイス有難うございました。 音速についても同等の関係が成り立つとは知りませんでした。 n=c/vがに成り立つとすると、物質中の光速が物質の密度に比例して遅くなることになります。 これはどう考えたら良いのでしょうか。
お礼
音波と電磁波に関する詳しいコメント有難うございます。 音波と電磁波の物質に対する応答には違いがあるのですね。 光の振動数が大きいほど大きく屈折する=速度が遅くなる、ということは、物質中の電子が入射波の振動にしだいについていけなくなるため、と考えればよさそうですね。 X線が物質に分極を起こさないことは、X線が可視光に比べて物質を透過しやすいことと関係があるのでしょうか。 分極・誘電率の振動数依存性など、勉強すべきことが増えてきたのでこれから考えてみます。。