こんにちは。
私の友人は、小学校のとき、理科の授業で鯉の解剖をやってから魚が食べられなくなったと言っていました。このような個人の体験が「好み」というものを分けます。そして、食欲がなくなるとか、吐きそうになるとかいった、そのような反応は自律神経の働きによるものです。
ひとや動物には本能的に嫌いなものや危険なものがあります。こちらは遺伝子によって生まれる前から決まっていたことです。これに対して、それ以外の好み「好き不好き」というのは、我々が生まれた後の体験、即ち記憶によって作られたものです。
同じものを見ても平気なひとと、そうでないひとがいます。誠に単純な話ですが、その体験が忌まわしい記憶として残されているのであれば、そのひとにとっては拒否反応として現れます。ですから、まず、これを分けているのは生後の体験・記憶ということになりますよね。
このように、人間の好き嫌いの判断は、脳内の記憶と照合されて行なわれます。この作業を行なっているのは「偏桃体」だと言われています。偏桃体は、目や耳などから得られた外部の情報と脳内の記憶を照らし合わせることによって、それが自分にとって「有益なのか」「有害なのか」の判断を下します。これは、自分はこれこれこういう理由でそれが嫌いだ、などといった大脳の論理的な判断とはちょっと違います。どちらかと言えば、瞬間的に(暫定的に)反応してしまうんですね。
目で見たものの情報が偏桃体に送られますと、そこでは過去の記憶が検索されます。それを基に、偏桃体では好き嫌い、即ち「YES・NO」の判定が下されます。この反応は信号となり、直ちに「視床下部」に送られます。
視床下部は、体内の自律神経系を司る部位です。偏桃体から「NO!」という信号が送られて来るならば、それを基に自律神経が活性化します。ですから、ほんとうに苦手なひとは、見ただけで冷汗が出たり、鳥肌が立ったりするかも知れません。自律神経というのは自分の意思でコントロールすることはできませんよね。待った無しで「キャー、助けて!」ということになります。
トラウマというほどのものではありませんが、記憶というのはこのようなメカニズムで自律神経に作用します。そしてそのような反応は、先ほどの友人のような「鯉の解剖」といった、理由がはっきりしている場合もあるのですが、どちらかと言えばその多くは、生後3歳頃の体験によって知らぬ間に影響を受けているものなのだそうです。
生後3歳というのは人間の人格の基礎が形成される時期であり、食べ物や異性の好みなどもこの頃から養われると言われています。自分はどうしてこれが苦手なんだろうと思い起こしてみても、生後3歳では、その理由をはっきり憶えているひとはいませんよね。あたかも、自分は産まれ付きそれが嫌いだったように思えてしまいますが、やはり、潜在的な記憶というものが何処かにあるんですね。
さて、自分ではコントロールできない自律神経の反応であったり、それが憶えのない幼児期の記憶であったり、苦手を克服しようと思っても、これでは手の施しようがありません。原因が分っているのであれば、その記憶を消し去ってしまえば良いのですが、中々そういうわけにもゆきませんよね。
偏桃体が、それを怖い、嫌いと反応するのは仕方がありません。ですが我々の大脳は、その後で偏桃体よりも冷静な判断を下すことができます。先ほど偏桃体の反応に(暫定的)という言葉を付け加えたのはそのようなことからです。
お化けは誰でも怖いですよね。ですが、そんなものは実在しないというのが大脳の適切な判断です。これによって我々は平常心を保つことができます。
私の別な友人はヘビが大嫌いです。道に長いもの、例えば木の枝だとか縄なんかが落ちているだけで「ヘビだ!」と言って飛び上がってしまいます。80キロの大男のくせに情けない奴です。かく言う私もゴキブリが苦手です。あればかりは逆立ちしても御免被ります。
誰にでも苦手はあります。それがヘビや虫であったり、ホラーや残酷シーンなど、一般的に忌み嫌われるものであるならば別に問題はありません。質問者さんが、何に度の程度悩んでいるのかは分りませんが、例えば、テーブルの上のコーヒーカップを見ていると意味もなく震えてくるというようなことでもなければ、別にお医者さんに相談することでもありませんよね。
もし、それに対して過剰に反応してしまうということであるならば、なるべく、必要以上に気にしないというのが得策ではないでしょうか。お化けのように、実際に危害を加えないようなものであるならば訓練をして慣れるという手段もあるでしょう。ですが、自分の嫌いなものにわざわざ近付くことはありませんよね。私はホラー映画なんて絶対に見ません。運悪く目に触れてしまったならば、素早く頭を切り替えることです。原因となっている記憶をわざわざ上塗りする必要はありません。
お礼
回答ありがとうございます。科学的説明でわかりやすかったです。原因は生後の記憶なんですね。悪い記憶が拒絶反応を起こしているのですね。兵糧攻めにあってゴキブリに命を救われたら好きになれるのかな<変な想像させてごめんなさい>。私は毎日ベランダに出るのが怖いです。なぜなら、悪魔の手先と虫がたまにいるから。蟻とかでまゆをひそめます。小学校の時はなんとか触れたのに。レベルダウン?!日常生活に少し支障が。網戸が際まで閉まっているか3回ぐらい調べる。洗濯に行くのに毎日心の準備をする。疲れます。
補足
今はさすがにないですが4才ぐらいのときに電気を消すと布団の上とかそこら中に赤い点々で構成された虫とか般若の顔が見えることがありました。怖くて起きて紅茶を飲んでいるとカップの中にアンパンマンのカビルンルンがみえたことがありました。暗いのがダメでしたね。目をつぶっても見えましたから。小学校中学年くらいからまったくなくなりました。