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固溶合金であるとの判断は?
現在、XRDを用いて二元合金(Pt+何か)を測定しています。 そして、Ptの(111)ピークが広角側にシフトしていれば固溶合金であると判断しています。 これはどうしてなのですか? いまいち、規則配列合金と固溶合金の違いを理解していないせいなのかも知れませんがわかりません。 「こうなれば固溶合金である」と断定できる方法を教えてください。 お願いします。
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- kuniuni
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Pt 111のピークが、高角がわにシフトするということは、面間隔が縮んだことを意味してますね。置換型の固溶体だとすると、Ptはfccなのその隙間にB原子が入り込み、面間隔を縮ませる作用をしているということになります。 普通に考えると、隙間に第二の原子が入り込んだ場合、面間隔は広くなるほうが考えやすいですね。狭くなるということは、Pt原子と第二の元素に互いに強く引き合うとかして、面間隔を縮ませたということになるのでしょうかぁ?? fccのPtの他のピークは確認できてますか?それも、すべて、高角側にシフトしてるのでしょうか?ピークの形は、左右対称ですか?シフト量から、どの程度面間隔が伸びたか計算できるので、その値がPtと第二元素の基本格子の格子定数を考慮した場合、リーズナブルな値か検討する必要がありそうですね。ピークの形状や裾の引き方も重要な情報を与えます。 固溶体(進入型の固溶体)かどうかという判断を、XRDのプロファイルのみからするには、このあたりの検討がポイントかもしれません。ただし、作製した膜の組成が、デザインしたものであるならば!状態図を参考に、合金薄膜を作製しているとうことですが、成分の比の制御ができていることは、他の元素分析などで確認済ですか?ご存知のとおり、スパッタ成膜では、諸事情により、必ずしもターゲットの組成とおりの膜とはなりませんよね。電顕などで、加熱ホルダーなどを使ってin-situでアニールによる構造評価など見られるおもしろいかもしれませんねえ。 固溶体については、はるか昔勉強したはずのことなので、悪しからず。同じ現象が期待される他の系の論文なども参考したらいいと思います。
- kuniuni
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まずは「固溶体」の意味を教科書や理化学辞典などで調べてみましょう。 固溶体には、進入型と置換型があります。とたえば、fcc構造をもつA原子と原子の隙間にB原子が入り込むのが進入型で、A原子の固有の位置がB原子により置き換わったものが置換型です。 進入型の場合、きちんとならんだA原子の構造の隙間にB原子が入り込むのことにより、面間隔が変化しますが、A原子の構造が保たれます。 置換型で不規則構造が安定の場合、統計的に占有され割合を処理することにより、構造因子を計算し、消滅則を求めることができます。規則構造が安定である場合も同様に、構造因子を計算することにより、消滅側から出現するピークを求めることができます。 ピーク位置がシフトするということは、格子が歪んだことを表しており、構造の変化を示してはいません。構造の変化があれば、消滅則が変化し、ピークの数、出現位置自体が大きく変化します。 たとえば、Cu3Au合金は、400度以上では、fccの不規則固溶体で、構造因子は、hklが、偶数のみまたは奇数のみの時値を持ちます。 F = f(Au) + 3 f(Cu) 400度以下では、規則構造が安定となり原子座標は Au:0 0 0 Cu:0 1/2 1/2, 1/2 0 1/2, 1/2 1/2 0 となり、hklが偶数のみまたは奇数のみ以外にも値を持ちます。 偶数のみまたは奇数のみ: F = f(Au) + 3 f(Cu) 偶奇混合:F = f(Au) - f(Cu) ただし、f(Au)は金の原子散乱因子、 f(Cu)は銅の原子散乱因子。 ということで、質問では回答不能なので、解説まで。補足が必要なら、お知らせください。 最後に、Pt(111)ピークという表現は使いません。カッコは面を表現する時に用いるので、この場合は、111反射とか111反射のピークと書くべきでしょう。
補足
ありがとうございます。 物理化学の本を見ながら読ませていただきましたが、難しいですね。 もう少し状況を詳しくいうと、相図を見ながらスパッタ法でPt合金を作製しているのですが固溶領域以外の組成でもXRDで出てくるのはPtのf.c.cのピークのみなんですよね。これって、Ptに第2成分が入り込んだだけだから固溶体では?と考えたのです。一旦アニール等の加熱を行えば規則配列するのでしょうが、現状では固溶体なのでは、と考えて固溶体の特性を示すのではと考えたのです。しかし、そうではなさそうなのです。「固溶体である」との判断法がよくわからなくて。 冒頭でおっしゃられた、自分でしらべる、ということが不十分だったと思いますのでもう少し調べてみたいと思います。 ありがとうございました。