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X線回折(XRD)分析の半値幅について
- X線回折(XRD)分析における半値幅について知りたいです。結晶性のピークの半値幅が大きくなるほど結晶子サイズは小さいことを意味するということはわかりましたが、非結晶性のものはどうなのかわかりません。
- 結晶子サイズが小さくなっていると非結晶性のものと判断する基準はありますか?半値幅を超えたら非結晶性のものと判断するのでしょうか?
- X線回折分析において、結晶性のものと非結晶性のものを区別する方法について教えてください。結晶子サイズと半値幅の関係についても知りたいです。
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半値幅から微結晶サイズを求めるシェラーの式は、固体中にある 微結晶のサイズを求めるための式です。適用できる微結晶サイズは nmオーダから0.1μmまでの範囲です。この点に注意してください。 さて微結晶サイズが小さくなると半値幅はサイズに反比例して拡がり、 ピークはだんだん鈍くなります。さらに小さくなるとブロードで ガラス等による散乱パターンに似たものになることも有ります。 ピークの拡がりは、1)結晶が十分な大きさで無いこと、2)結晶に 欠陥があるか、または空間的な規則性が低いか、3)装置による制約 から来ます。 原因3)は基準物質を使い補正計算をしてある程度除去することが できます。 原因1)の影響を考慮したのがシェラーの式ですが、常に原因2)の寄与 も含まれています。 原因2)は小さくても結晶で有れば散乱強度を決める構造因子は定まります。 ここで構造因子に欠陥や小さくなることで発生した構造の乱れを組込めば 非晶性の広がったハローを再現できるかも知れません。 しかし、非晶性物質では構造の乱れは大きすぎ、結晶学的な構造因子は もう決められません。 その代わりに、原子の相互配置を確率的に表した動径分布関数が散乱強度 の計算に導入されます。 一つの物質からの散乱強度の計算に、ここまでは構造因子方式、ここからは 動径分布関数方式という使い分けはされていません。 したがって、結晶子サイズが小さくなっているというのと、非結晶性の ものであるということの明確な境界は無いように見えます。 当然、ある半値幅を超えたら非結晶性のものとかいう基準は有りません。 溶融体を急冷して結晶化させようとした場合、できたモノを欠陥だらけの 極微細結晶からなるとするか、非晶質になったと解釈するかは半値幅だけ からはできないと思います。
お礼
丁寧なご回答ありがとうございました! 数式に関しても調べてみて、知識としていきたいと思います。