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敵対的買収に対する防衛策

昨日、某社が敵対的買収時に発動できるよう、株主に対して、「ポイズンピル」を模した『新株予約権』の発行を決めたようです。 国内初の「毒薬」を導入 敵対的買収への対抗策で http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050314-00000212-kyodo-bus_all 予防として防衛策をめぐらせることは違法には当たらないかも知れませんが、実際、発動するとなると、『支配権の維持目的』として、「差止め・無効」の事態が発生するのではないかと思います。 現在の商法における「新株予約権」の発行は、『予防』のための発行を認めているのでしょうか? それとも、既成事実化しようという動きなのでしょうか? (商法解釈というより、『経営権』の範囲が問われているという気がするのですが...)

質問者が選んだベストアンサー

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  • nikuudon
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回答No.4

#3です。M&Aビジネスに携わるものとして、ご質問者の疑問はよく理解できます。 >場当たり的な対応で判断をつけようというような感じさえおぼえる 確かに、どこからどこまでが企業防衛上合法なのか、という明確な線引きをしている状態には ありません、また今後も明確になることはないでしょう。 現状は新株予約権などのツールを定めているだけで、これをどのように使うのか、は経営判断 に委ねられているのが実情かと思います。 ただこれは、その制度を導入しようとする個々の企業の事情によっても、また買収者の内容に よっても使う意義や正当性が異なってくる訳です。 そして第三者の買収&防衛すること自体、シロかクロか明確でないのが通常である訳ですから その時々の事情や背景に応じて個別に判断するしかないのではないでしょうか? そこが場当たり的、と言えるのかもしれませんが、逆にこれに幅を持たせて置くことで、 法の抜け道の活用を防ぐ、ということも出来るのだと思います。 事実、M&A先進国である米国でも企業防衛策に対する見解は分かれており、法制度でキッチリ と基準が固まっているわけではありません。 >会社を乗っ取り、解体されてしまっては‥ 日本は米国と違い、従業員の解雇は非常に難しい国です。莫大なコストと時間もかかりますし、 従業員1人1人に属するノウハウも多いですから、従業員の協力が必要不可欠です。 破綻会社は別としても、普通の会社を解体するようなことは日本の社会文化上、受入 られるようなものではなく、激しいバッシングを受けてしまい買収者にも大きなダメ ージを与えることになりかねません。 よって、日本では企業解体型のM&Aは非常に難しいでしょう。買収側もプレミアムをつけて 買っているわけですから、そんなリスクを積極的には冒さないでしょう。 >違法、罰則は覚悟の上での防衛ではないか 経営陣が(法を犯してまで)防衛したいものが何か、によるでしょう。 これが特定の株主や経営陣のみを守るような行為であれば、違法でしょうし、訴追され る可能性は高くなります。 これが株主全体(=企業価値)を守るため、ということであるならば、合法でしょうし、 訴追される可能性は低くなるでしょう。

kanpyou
質問者

お礼

ありがとうございます。 今後、商法が改正され、「株式会社」に一本化されるようで、M&Aの事態も日常化してくるかもしれません。 これに対して、司法は、手さぐり的なケースバイケースでの対応を余儀なくされそうで、現状の司法制度では限界かもしれません。 そのようなことを含めて、司法の新しい対応を希望したい所です。

その他の回答 (3)

  • nikuudon
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回答No.3

MK1さんのご回答はいつも素晴らしいですね。 私は少し別の観点から。 ポイズンピルは、法制度上成熟していないため、2002年の商法改正後も導入が進みませんでした。 これは現時点も同じで、株主は平等である、という原則がある以上、導入は容易ならざる点があります。 その点では某社の導入決定は画期的なことではあります。 導入が進まなかったもう一つの理由として、取締役にとっても劇薬である、という点が挙げられます。 ピルは取締役会(または委員会)の判断で消去することが可能です。逆に言えば、会社の取締役会は 敵対的買収者が現れた場合、ポイズンピルを発動して買収者を撃退するか、それともピルを消去して 買収を受け入れる(=市場に委ねる)か、の判断を下さなければならなくなります。 仮にピルを発行して買収者を撃退したとしても、その後株価が下落したとすると、良い条件を 提示してきた買収者を撃退してしまった、ということで株主から責任を問われます。 また、ピルがある以上、敵対的買収者の「自分は株主価値を上げる」「良い経営をする」といった 提案を、正面から判断する義務が取締役会に生じます。 要は第三者的な逃げが打てなくなるわけです。 買収者の提案を聞いてくれる会社、という訳で、逆に敵対的買収者を呼び寄せる可能性さえあるのです。 実際、先進国である米国ではポイズンピルを導入した企業は「ガバナンス上はマイナス」ということで、 株価が下落した例が多いようです。 ディズニーのようにピルを外した会社もあります。ピルを外した後にコムキャストに買収を 仕掛けられましたが、防衛に成功しています。 ポイズンピルは買収者にとっても、経営陣にとっても「毒」というのが私の意見です。

kanpyou
質問者

補足

ありがとうございます。 『毒薬』というぐらいですから、飲んだ側も、飲み込もうとする側も致死量に達すると、破綻してしまうものでしょう。 しかし、経営者にして見れば、会社を乗っ取り、解体されてしまっては、『死亡宣告』に等しいもので、違法、罰則は覚悟の上での防衛ではないかと思います。 経済産業省などが主導して、このシステムを導入しようとしていますが、具体的な方策を示さず、場当たり的な対応で判断をつけようというような感じさえおぼえるのですが、「防衛権」(刑法で言う所の『罪刑法定主義』)を認めない限りは、事後処罰(「事後法の禁止」)のような気がするのですが...いかがでしょう?

  • MK1
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回答No.2

まず言葉の定義として、「ポイズン・ピル」とは、将来決議権が発生する潜在的な権利を予め株主に与えて、買収者の買い占めが一定割合に達したときその効力を発揮し議決権比率を薄める仕組み。買収者に対する毒薬(ポイズン・ピル)的な効果を発揮する、ことです。 従って、この新株予約権を利用して一定条件でその権利行使ができるようにしたものが「ニレコ」の手法で、これもポイズン・ピルの一種といえるでしょう。また、同じ意味でニッポン放送―フジサンケイグループによる今回の新株予約権発行計画もポイズン・ピルの効果を狙っていると言えます。 さて、それが合法か否かという点では、これまで適当な前例がなかったのですが、3月11日の「新株予約権発行差止仮処分命令申立事件」東京地裁決定・仮処分命令にその答えが一定程度示されました。 ・会社に支配権争いの事実がある。 ・従来の株主の持株比率に重大な影響を及ぼすような数の新株予約権が発行される ・第三者に割り当てられ、支配権を争う特定の株主の持株比率を低下させる ・現経営陣の支配権を維持することを主要な目的としてされた 上記の場合、株主全体の利益の保護という観点から発行を正当化する特段の事情がない限り、新株予約権発行は不当な目的を達成する手段としての不正発行と認定。 つまり、現経営陣が防衛のため効果的なポイズン・ピルとして新株予約権発行を企てた場合、「株主全体の利益の保護」の意味で正当化される場合のみやってもよい、という判断です。買収に対する企業防衛はあくまで「株主全体」のためであって、経営陣の保身は認めない、ということです。 ですから買収者が現経営陣と同等か、優れた経営をするなら買収は正当化される。換言すれば、買収によって株主利益が毀損される場合にのみ、こうした企業防衛策は合法的に発動できる、としたわけです。 また16日、この仮処分命令に対するフジ側の異議申立に対して、地裁は「誰を経営者にするかは、株主総会での取締役選任を通じて株主が決定すべき問題」と指摘。「大株主が現れたからといって、事後的に新株予約権を発行し、買収者の持ち株比率を一方的に下げることは投資家の予測可能性の観点からも許されない」と判示しています。 要は、相当な事態でなければ、会社の経営は株主が決めることで、経営者は独断専行してはいけない、と釘を差しています。株主全体の利益を無視した攻防は違法という判断です。 その相当な事態とは、 1)買収側に会社経営に参加する意思がなく、株価をつり上げて高値で株を引き取らせようとする「グリーンメーラー」のケース 2) 買収側が支配権を握ると会社に回復し難い損害を与えるケース などに限定されると、具体例を挙げて示しました。 しかし、これは問題点も残しています。今回もそうですが、買収者が企業価値を下げないと宣言すると、現経営陣がそれを否定し、論証するのはかなり難しい、ということです。今後ほとんどの買収が肯定され、ポイズン・ピルなどの防衛策がとれない可能性もあるわけです。

kanpyou
質問者

補足

ありがとうございます。 明快な回答で、分かりやすかったです。 敵対的買収:防衛策に開示義務 株主利益を考慮--政府、政省令で検討 02/2/26毎日新聞 http://www.mainichi-msn.co.jp/search/html/news/2005/02/26/20050226ddm002010175000c.html によると、敵対的買収の防衛策導入案の策定は、取締役会や、株主総会に任せられるようです。 確かに、杓子定規の防衛策を制定してしまうと、事実上敵対的買収の禁止になるわけで、民間主導となるのでしょう。 そこで、取締役たちは、どの程度までの事態を想定しなければならなくなるのでしょう? 違法すれすれ、一見して明らかに『違法』なものを防衛策として承認しなければならなくなるのでしょうか? 「銃の携帯は『黙認』するが、弾の調達、保管、使用方法は各自に任せる」 そして、事後的に正当性を判定するのでしょうか?

  • bandgap
  • ベストアンサー率17% (49/278)
回答No.1

新株予約権を誰が手にするのか,が問われるのではないでしょうか. 現行の経営陣が新株予約権を得るのであれば,それは支配権の維持が目的とも考えられます. しかし既存の株主が新株予約権を得るのであれば,将来の新たな株主に対する,現行株主の権利維持が目的と考えられるので,経営者の支配権維持が目的にはならないのではないでしょうか.

kanpyou
質問者

補足

たら・れば の仮定の話をしても仕方が無いとは思うのですが... 恐らく、株主のみに認められる権利で、株を手放すと、失権するのではないかと思います。 勿論、既に「発行済みの株式に付与」されているわけではないので、好ましからざる株主へ譲渡すると、権利行使はできないと思います。 そこで、取締役の一存で、特定の株主にだけ権利を与えない・発行しないとなると、『不公正発行』にならないでしょうか?

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