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ライブドア次の一手、新株予約権対抗策について
- ライブドアが新株予約権発行を差し止める仮処分を申し立てたものの、認められない可能性がある場合、次の対抗策は何かをまとめます。
- ライブドアはフジテレビの新株予約権行使を阻害するために仮処分を申請する、またはニッポン放送の新株発行を差し止める仮処分を申請することが考えられます。
- もしくは、他の株主と協力して臨時株主総会を開催し、新株発行を阻止することができます。新株予約権の性格にも興味があります。
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前回回答から時間もたち、大変遅れて申し訳ありませんでしたが、以下にこれまで回答が不十分だった点を追加回答します。 >新株予約権の発行主体は、ニッポン放送。 同権利行使の主体は、フジテレビ。 仮処分申請又は、裁判にしろ、新株予約権の発行、権利行使、新株発行、の各段階において、ライブドア社が対峙する相手が異なってきます。 これは民事訴訟の根本的な問題で、民訴の原型は1原告:1被告なのですが、係争物(権利も含む)が譲渡(移転)されると、それを裁判でどう継承するかという問題になります。これを訴訟が係争物に付いて回るとするのが「訴訟継承主義」といい、一方裁判手続き上その原因をつくった当事者を変えないのが「当事者恒定主義」で、後者のドイツ普通法をお手本に日本の民事訴訟法がつくられています。これは係争物が第三者に移った場合でも「従前の当事者が訴訟追行権を失わず、その判決の効力が継承人にも拡張される」ことで全体の利益調整が図られる構造になっています。 例えば係争中にも拘わらず係争対象が変化したり、当事者が増えたり変更したときには、争点や事実の主張が同じならその判決効が新たな当事者にも及ぶように新たな請求を追加する「訴えの併合」や「訴えの変更」が認められます。 しかし、裁判は往々にして長引くものですから、その間係争物や権利関係が複雑に変化する可能性もあり、その度に変更していたら裁判の長期化につながり、法律もそこまで対応できないので、その予防策として本裁判の前に実務上当事者恒定の目的で保全の仮処分を求められるようにしたわけです。さらにその後新設された民事保全法では、その仮処分の効力が係争物の移転先などにも対応するように定められています。 従って(現実には既に禁止命令が決定されていますが)仮に新株予約権が発行され、行使されて新株となったとしても、まず発行禁止の仮処分時にラ社はニッポン放送に対して同一訴訟内で第2次請求として、予約権行使による新株発行も禁止する仮処分を併合することもできることになります。また、債務者側の共同当事者としてフジテレビジョンを加えることもできるわけです。 しかし、現実には訴訟手続上そのようにしていないのは、新株予約権は商法上登記によって発権しますから、今回で言えば保全命令によりラ社が5億円の担保を立てればこの新株予約権について保全仮登記ができ、フジが新株予約権を登記しようとしても対抗できません。従って、ニッポン放送は新株予約権は発行できず新株も発行できません。だからラ社としては新株予約権の発行禁止の仮処分申立てのみで十分なわけです。(この点は今回調べてわかったことで、これまで処分解放金を供託すれば、仮処分を執行停止にできると考えてニッポン放送が強行発行に及ぶことも可能性ありとみていたのですが、それは間違いでした。) 以上で、これまでの不十分な回答を補完したつもりですが、まだ何か疑問が残っていましたら補足してください。 なお、仮処分命令がでたことでその内容の全貌が明らかになったので、ラ社とフジの争点と法廷戦略に関する意見は改めて他の機会に回答することにします。
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- maria_sharapova
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回答#1へのhyperion411さんの「回答に対する補足」に対する回答です。 私も法律家でないので正確かどうか自信はありませんが、私はもっとシンプルに考えています。新株予約権の行使はあくまでオプションです。行使してもいいし、しなくてもいい。それはあくまで新株予約権を持っている者の自由なのです。現実に行使しない株主がいることは、3/1付の日経夕刊3面に「会社法案の敵対的買収防衛策」と題する解説記事があり、その中に、「今の商法では予約権を行使しない一般の株主がいたり…」と書かれていることからも分かります。ですから、仮にフジテレビが新株予約権を持ったとしても、それを行使しないということもあるわけです。もっとも現実問題としてそれは100%あり得ないでしょうが…。 では、新株予約権の発行と行使とはどういう関係にあるかと言えば、おそらくこれは親亀と子亀の関係にあると思います。親亀がコケれば小亀もコケます。同様に、もしニッポン放送の新株予約権の発行自体が無効だと裁判所が判断すれば、これは拠って立つ基盤自体がなくなってしまうわけですから、行使も何もできなくなると思います。これは自動的にそうなると、私は思っています。 3/1付の日経朝刊11面「Q&Aニッポン放送株 仮処分で暫定阻止」と題する解説記事には、次の様に書かれています。仮に東京地裁がライブドア側の新株予約権の発行差止請求を認めた場合、決定が取り消されない限り新株予約権発行はできない。フジ側は同地裁の決定に対し保全異議の申立を行うことができるが、保全異議をめぐる地裁決定で異議申立が却下された場合はフジ側が、逆に異議申立が認められた場合にはライブドア側が、高裁に保全抗告することになるだろう。ライブドアの仮処分申請自体が同地裁で却下された場合、同社側は高裁に即時抗告できる。また、高裁の決定に対しても、憲法違反などを主張する特別抗告のほか、重要な法律問題について高裁の許可を得て許可抗告をすることができ、手続上は最高裁まで争うことが可能だ。差止命令が確定した場合は、ライブドア側は本案訴訟(本訴)を起こさなければならない、とあります。つまり、裁判所の決定が取り消されないうちは、双方で異議申立や抗告のやりあいが続けられることになるわけですが、その間新株予約権発行はできないことになります。 ただ、この点がよく分からないのですが、上記の解説記事上ではあくまで「仮処分の決定が取り消されないうち」は新株予約権発行はできないのであって、差止命令が確定した後の本訴中にできるかどうかまでは分かりません。
お礼
ありがとうございました。
- MK1
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おっしゃる意味は了解しました。 最初から、いいわけ気味ですが、昨日図書館等で簡単に調べたところ、これは私が考えていたほど法的に明確ではなく、さらに複雑で微妙な問題になる可能性が高いということが分かってきました。 今の新商法下での新株予約権は、旧法でのCBやワラント債(WB)を金融・証券のグローバル化に伴い規制緩和し、米国流にまとめ国際基準に向け整備したものという解説が多いのですが、実際には旧法の構造の上に修正してかぶせたような部分改正の連続なので、旧法の法精神・前提と改正点があちこちで矛盾していて、フジの法務担当者もそこを突いたということなのです。これはライブドア社がTOBと市場の立会外システムの齟齬を利用したのに対する当てつけ的な反撃で、倫理的にはちょっとたちが悪いですね。 とにかく裁判所は第一段階では、一応法の精神に則って先例主義でまず対応してくる、と考えられます。おそらく審理時間の限られた暫定的な仮処分申請ですから機械的に判断することになるでしょう。 この場合、申請内容は新聞報道前提ですが、 1)発行価格の基準の矛盾(算定基礎が直前の株価ではない) 2)必要性のない資金調達(買収阻止の目的は不当) 3)株価の下落を狙ったもの(大量の新株発行が既存一般株主の保有株の希薄化を招き、市場評価が下がる) これを「著しく不公正」として差し止め請求の理由としているのですが、しかしこれではフジ側の新株予約権の発行(この場合には、「付与」が正解か)の不備な点を指摘した程度で、具体的に誰がどの程度、何の権利を侵害されるのか、観念的で漠然としています。侵害される権利、それによる遺失利益が計れないので、仮処分申請という初期段階で資料も乏しい中、裁判所は差し止めには消極的になる可能性が高いことになります。 おそらく、申請から1日たってラ社もそれに気づき、「上記3が証取法違反(株価操縦)にあたる」として証券取引等監視委員会や東証に調査依頼したのは、明らかに裁判所に対するデモンストレーションです。村上氏もそれを察して、援護射撃の記者発表となったと思います。 以上、前提が長いですが、ではこの仮処分申請が却下された場合となると、ラ社側はまず高裁に即時抗告するでしょう。そこでラ社は、上記よりも踏み込んだニッポン放送株の希薄化の不当性、株価下落の相場操縦(証取法157条違反)を主張することになります。仮処分が認められた場合でも、ニッポン放送側が異議申し立てをしますから、この時は地裁で審理となるはずです。結局、この差し止め請求で最終審理まで上がっていくのが、ラ社側にとっては最良の選択になると思います。どの段階でも差し止めが却下または取り消されたところで予約権発行となるでしょうが、即時抗告、再審理を受けながらフジが敢えて権利行使して既成事実化するか否かです。(今までのフジの前歴からすると、強引にやりそうですが) さらに一般株主として、村上氏などがニッポン放送、さらにはフジが予約権を獲得したところでフジ本体をも訴えながら、6月の株主総会に突入、となるのではと考えています。 そうなると、この株主総会は前代未聞の大荒れになるのではないでしょうか。 ところで、この差し止め請求理由が難問です。まず新株予約権発行に伴うニッポン放送株の希薄化(株価下落)はある意味で仮説にすぎないのです。たとえ株価がその時期下落してもその要因は多様で証明はまず不可能でしょう。裁判所も判断が付かない可能性が大です。 株価(相場)操作のほうが違法性を説明しやすいでしょうが、それでも自社株を意図的に下げるのは前例が存在するのか、何より法律は「安い株を高く見せて、売りつける」ことを想定した操作の規制が念頭にあってのものですから、今回のように自ら株価を下げるという行為を株価操作としてどう認定するか、結果として敵対的買収にファイヤウォール的効果があるといっても、それをどんな利益とみるか、そこが曖昧だと操作の動機自体を証明できず、株価下落も偶然、となってしまうおそれがあります。不確定要素がありすぎて、審理の予想はかなり難しいです。 また、こうなった背景にはこの10年余りの間に規制緩和で、商法上会社の資金調達方法の自由化が進み、社債などの発行限度枠がどんどん撤廃され「青天井」状態になってきた事があり、監督官庁はそれを市場原理で自然にコントロールされるだろう、ぐらいに放任を決め込んでいたのですが、今回のように中堅クラスの企業が正当な目的(設備投資や事業拡大)もなく、総株数がいきなり2.44倍に増資され数千億円調達することなど、完全に想定外の出来事のはずです。 この制度を逆手に取るような所業に、法の番人としてはどうするか、法の不備でお構いなしとするか、一般株主の実質的な損害を認定できるか、課題山積です。 今のところ、これ以上深く考察するのは限界ですが、やはり類似判例を見つけるか、米国の判例を参考にしないと判断が付かないと思います。おそらく経産省、法務省もそうしているのでは、と思います。 補足質問に関して、直接的な回答としては、多分訴訟技術上、新株予約権の付与から株発行まで段階的に対応するのではなく、上記のように差し止め請求したら正当性を主張して最後までそれでいくことになるのではないかと思います。最高裁で確定するまでには時間的にこの事件自体が収束するか、問題が別の次元になっているのでは、と考えます。また、差し止め請求も上級審に行くに従って、より幅広い法律論争になり、ニッポン放送だけでなく、フジはもちろん、村上氏側まで巻き込んだ裁判となるのではないか、と予想しています。 以上、またまた不十分な回答ですが、お許しください。
- MK1
- ベストアンサー率67% (141/208)
書き漏らしを追加します。 >自社の権利が阻害されること 株主の権利のうち、利益配当請求権や保有資産の所有権は1株毎に比例した権利なので、権利の侵害や縮小、喪失があれば、損害の発生が明白ですが、経営決定権限などの議決権は議決がされなければ損害は発生しないものですし、集合的な権限ですからその権利阻害をどう証明するか難しいですね。むしろ、フジテレビジョン1社に割り当てられたという、不平等な分配を問題にする方がいいのでは。取締役会による新株予約権発行方法の決定無効を訴えることはできそうです。 以上、余りはっきりしたことを言えず申し訳ありません。ジュリストの会社法や株式関係の特集でも探してみますか。
- MK1
- ベストアンサー率67% (141/208)
法律家ではないので、参考意見としてみてください。 >フジテレビの新株予約権の行使そのものを、自社の権利が阻害されることを理由に、差し止める仮処分を申し立てる。 新株予約権の発行と、同権利の行使を分けて考えているようですが、CBとは違い、権利が発行すれば、行使を止める方法があるのでしょうか。その点定かでないのですが、無理なように思います。 また、発行に関して差し止め請求していて却下されれば、同行使も全く同じ事由で却下されるのではないですか。従って、その請求は意味をなさないと思います。 >新株の発行そのものを差し止める仮処分を申し立てる。 新株予約権の行使は新株発行で、同じことを言ってませんか。つまり、新株の予約権が認められれば新株の発行も同じ理由で通るのでは、と思いますが如何でしょう。 仮処分申請は、緊急性があり、かつ当該行為による被害の発生が明白なとき、仮に未然にその行為を差し止める、という一時的措置ですから、相手が一方的に行為を取り下げない限り、仮処分が通っても結局、本裁判までの道程を辿ることになるのではないかと思います。もちろんその間仲裁や様々な対応が考えられますが。 >臨時株主総会の開催を請求し、他の株主と力をあわせて新株発行を阻止する。 これは、また別の方法なので、株主の権利が発生していれば、役員の派遣や臨時株主総会の開催を繰り返し請求する。さらに拒否されれば、その拒否理由の開示請求、その法的措置など継続した働きかけはできるでしょうが、新株発行に関しては止められないのでは。 新株発行自体が例えば反社会的な行為などではないし、重大な不可逆的な被害が発生することはないので、差し止めの仮処分が通らなければ、裁判に持ち込んでも新株は発行されてしまうと思います。 むしろ、その発行による被害の発生を差し止めの理由としているわけですから、発行され実際に手持ち株の株価が下がり、売買損が発生したとき、初めて損害賠償請求の民事訴訟ができるのではないでしょうか。 これは新株予約権というより、差し止め請求権の問題かと思います。やはり法律家の意見が聞きたいですね。 また、来週には結果がでると思いますが、これについての私の意見は、下記で回答しました、ご参考まで。 http://okweb.jp/kotaeru.php3?q=1235372
補足
なぜ新株予約権の発行と、同権利の行使を分けて考えているかというと、私も素人なのでよくわかりませんが、 新株予約権の発行主体は、ニッポン放送。 同権利行使の主体は、フジテレビ。 仮処分申請又は、裁判にしろ、新株予約権の発行、権利行使、新株発行、の各段階において、ライブドア社が対峙する相手が異なってきます。 権利関係は個々相対的に発生するので、ライブドアは各段階において、ニッポン放送、フジテレビを訴えることが法的に可能なのか、あるいは、不可能なのか。 また、今回の件を別にしても一般論として、新株予約権は法的にその発行が認められたら、自動的に新株の発行も認証され何人も対抗することはできないのかが知りたかったのです。 言葉足らずですいませんでした。 話を戻して、上記のような法手続きが認められると仮定すると、 ニッポン放送の新株予約権の発行はライブドア社の証明責任の不足から認められ、 それに伴うフジテレビの権利行使は、一方でTOBを実施していることが市場の公平性を欠くことで却下されることも充分あり得ると思うのですが。 あくまで、上記の法手続きが認められるとしての話です。
お礼
4度にわたり詳しい解説をたいへんありがとうございました。 「当事者恒定主義」という言葉を知り、その概念を認識することで、問題が整理されスムーズに理解することができました。 しかし、この「民事保全法」はわりと新しい法律ですね。たぶん、バブル崩壊が大きく影響していると思いますが、むしろ今回の新株予約権のような移動性が高い債権の保全にこそ効力が高い気もします。 新株予約権も単独での売買が認められたのは、近年ですし、やはり、諸々法律が現実に追いつかないというのが現状でしょうか。 とりあえず、仮処分の決定が下ったので締切、今後のなりゆきも見守りたいと思います。