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格子振動
格子振動の振動数の状態密度が、低エネルギー側で 曲線を描いて立ち上がっていきます。 これは何乗かの関数みたいなのですが、 この何乗の値が比較的大きい場合と小さな場合、 どのような物理的意味を持つのでしょうか?
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簡単な立方結晶金属では状態密度曲線は一般に,Texで表記すれば, $$dn/d\nu =4\pi V \nu^2(1/W_l^3+2/W_t^3) :(1)$$ ここに$dn/d\nu $は振動数状態密度,$\nu $は振動数,$W_l$は縦波(l)の位相速度,$W_t$は横波(t)の位相速度です.従って一応振動数の二乗依存性はありますが, (1)式は縦波1つと横波2つの合成したものが状態密度です.従って質問のように見掛け上ではべき数が異なるように見えてきます.この原因は縦波$W_l$と横波$W_t$の差違に由来します.一般に縦波は横波より速度大,振動数大です.そして(1)の取り得る振動数には上限即ち切断振動数が存在し,その上限振動数も縦波の方が大です.このため観測される金属の状態密度にはピークが2つあり,低振動数側は横波,高振動数側は縦波に由来します.振動数に上限があるのは,固体内の波動の波長として格子定数の1/2以下を考えることは意味が無いためです.これはブリルアンゾーン理論として知られています.なおデバイ近似では縦波と横波の切断振動数を識別しませんから,簡単すぎる理論といえます.質問の何乗の値が見掛け上大なのは,(1)から$W_t$が小さいためで,これはフォノンのソフト化によるためと物理的には言えます.
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大変にありがとうございます。 頭を軟らかくしなくては、いけませんね。 とても助かりました。