過去ログをぱらぱらと見てみましたが,まだどなたも正しい回答には辿り着いていないようです。答えを先に書くと「実質的に沸点未満での沸騰が可能になるから」というのが正解です。
さて,気化には二種類あるのをご存知でしょうか? 液体内部から直接気化する「沸騰」と,気液界面における「蒸発」ですね。前者は相転移現象と呼ばれ,後者は相平衡現象と呼ばれます。沸騰は,沸点に達して初めて起こる現象ですが,蒸発はいかなる温度でも起こります。洗濯物が室温で乾くことを考えればわかりますよね?
沸騰石は多孔質体であり,孔内に多くの空気をかみ込んでいます。つまり,比熱が低くくて熱しやすい空気と,気液界面とを合わせ持っていることになります。この結果,沸騰石が液体内に入っていると,液体内部からの直接的な「沸騰」ではなく,孔内における「蒸発」による気化が可能になります。
99℃に熱された水を想像してください。沸点未満ですので沸騰は起こっていませんね。しかし表面では蒸発が起こり,湯気が立ち上っているでしょう。この表面と同じように,沸騰石の孔内の気液界面でも盛んに蒸発が起こり,水蒸気が発生しています。発生した水蒸気は沸騰石から離れ,気泡となって表面に浮かんできます。つまり,実質的に沸騰と同じような現象が起こるわけです。
いち早く沸騰石から気体が発生し,それによって液体が攪拌されるため,過加熱といった現象が起こらなくなります。これが突沸を防げる理由です。
# 片方が封じられて空気をかみ込んだガラスのキャピラリーも,沸騰石の代わりになります。ようは「蒸発ができる場」を沈めこんであげれば良いだけなのですね。
お礼
お答えありがとうございました。実質的に沸点未満での沸騰が可能になるとのこと。確かに沸点以前に泡が多く出始めるように思います。