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生成文法について
こんにちは。私は今大学1年で、英語学概論という授業で生成文法を勉強していますが、くだらなくて(つまらなくて)仕方ありません。そこで質問なんですが、今も昔も、大学でも短大でも、英語や英文学を専攻している人はみんな、生成文法を習うのでしょうか?
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英語学の概論で一通りの内容を扱おうとすると統語論が当然入ってきますし、統語論を扱う時に生成文法は避けて通れません。英語学の概説書、入門書の類には必ず生成文法が出てきます。この状況は過去30年は変わっていないでしょう。ただ生成文法は極めて専門的なものなので、1年生対象の概論の授業で表面的に学んでも、一体何をやっているのかわからない、という疑問や怒りが生じることは十分あり得ます。 普通に英語の勉強がしたいと思って英語系の学科に入学する人にとって、「文法」とは自分の英語学習に役に立つものだという期待があると思います。一方、生成文法の議論では、中学レベルの例文に複雑極まりない説明をしたり、正しい文と同じくらいナンセンスな非文を大量に出してきたりするので、英語学習に役に立つ気がしないと思えます。しかし生成文法はそもそも外国語の学習を目標にした文法ではありません。 生成文法の企てというのは、人間だけが持っている言語能力とは一体どのようなものであるのか、を探り出そうとする試みです。単に英語という一つの言語の文法現象を記述するのではなく、人間が使う全ての言語がどのような本質的な特徴を共有しているのか、またそれぞれの言語の個別の特徴はどのような仕組みに基づいて発生しているのか、を明らかにしようとします。別の言い方をすれば人間の言語の可能な範囲はどこからどこまでなのか、を原理的に説明し、人間が生まれて数年のうちに誰でも自分の言語を身につけられる仕組みを解明しようとするものです。 生成文法の方法に疑問を持つ人は専門家の中にも少なからずいますが、人間の言語の本質とは何かを解明したいという気持ちは同じで、その際に生成文法を無視することは不可能です。英語を専攻する全ての大学生がこのような研究領域に興味を持つ必要はないので、個人的につまらないと思うのは仕方がないとしても、これをくだらないと言いきってしまうのは若気の至りでしょう。 大学で英語を専門に勉強するときには、このようなものもオマケに付いてくるのだ、と思ってください。専門学校や英会話学校では決して覗くことのできない世界ですので。
お礼
回答ありがとうございます!生成文法はくだらないと思っている私なんかのために、こんなに丁寧な説明をしていただいて、畏れ多い気持ちです。もう少し見方を変えてみようかなと思います。