オーケストラ団員です。即効性があると思われるポイントだけいくつか挙げていきますね。
学生の合唱を聞いていてありがちな失敗だなーと思うのはクレッシェンドの山をはやく持ってきてしまって、息切れているケース。盛り上がるべきところで疲れてしまっていたり、前と差ががつかなくなっていたり。強弱は、頂点・または最下点の直前に急激につけるくらいのつもりでいてちょうどいいと思います。といっても極端すぎても雰囲気壊れますから録音して聴いて、研究してください。
またフレーズの捕らえ方が短いために、声量をグラフにしたときに全体がサインカーブのようになってしまっているのも、曲の印象を弱くしてしまいます。飽きるから。常に曲全体の中のどこを歌っているのかを意識してください。
声の出し方に付いて。観客席の一番後ろに座っている人の頭の上三メートルの位置めがけて、声を「とばす」つもりで発声しましょう。
フレーズの最後の音を乱暴に切ってしまう人がよくいます。ブレスの前の音は特に丁寧に切るようにしてください。
口をあける・背筋を伸ばすは大前提です。客席で聞いているときの差は歴然。パートリーダーなど誰かが距離を置いて全体を見ながら注意点を挙げてみることも必要だと思います。
中学生であっても意識して欲しいのは「演奏者」という立場に自分たちがいるということ。自己満足で歌っているわけではなく、観客に音楽を届けているのだということを頭に置いて歌ってください。曲全体を見ながら、楽譜をよく読みながら、皆さんで客に届けたい「感動の形」を具体的にしていってください。
学生時代に私がついていた指揮者が一度こんなことを言っていました。「音楽家は冷静に狂気を演じられなくちゃ。」
狂った人間を描いた曲というのがあります。聴いている人にその人の抱えた狂気を伝えなくちゃいけない。けど、演奏家が狂った演奏をしたらそれは絶対に不可能なんです。あくまでも狂気の中にいる演技をするわけです。一例を挙げただけですが、みなさんがこの文を読んで音楽・表現ということについて考えていただければ幸いです。
お礼
専門的なご意見をありごとうございます。 やはり、技能も大切ですが、気持ちや考えも重要なんですね。ありがとうございました。