学部時代に得た知識なので,あまり自信はありませんが…。
> 混ぜるだけで本当にできるのでしょうか?
常温常圧下で単に混ぜるだけでは,不可能だと思います。ただ“硫酸(等)”の意味を拡大解釈し,さらに加熱(場合によっては加圧も)をして良いとなると状況は変わってきます。テレビで放映していた内容は知りませんが,恐らく接触分解や水素化分解についての内容だったのではないかと推測されます。
原油は色々な炭化水素の混合物ですが,より付加価値の高い炭化水素はどれも低分子量であるため,重油に含まれる高分子量の成分はクラッキングという処理を行って低分子量化させます。歴史的に見れば,クラッキングは熱のみを利用する「熱分解」から始まり,より高効率な「接触分解」や「水素化分解」へと進化してきました。接触分解とはゼオライトの酸点を利用した触媒的な熱分解,水素化分解とは高圧の水素下で行う接触分解のことです。
ここで「ゼオライトの酸点を…」という文章が出てきましたが,酸点という言葉をご存じでしょうか? ゼオライトはシリカやアルミナからなる物質ですが,この表面に存在する水酸基は強いプロトン酸として働くため,酸性を示す点という意味で「酸点」と呼ばれております。
さてご質問の件ですが,「硫酸(等)」を「(ゼオライトの酸点などによる)強いプロトン酸」と解釈し,さらに500℃程度の加熱をしても良い場合,重油を接触的にクラッキングして軽油を得ることは可能です。現に,今現在このような方法が工業的に用いられております。この接触分解の詳しい反応過程は,私はちょっと詳しくありませんが,おそらく酸点で生じたプロトン酸がオレフィン部位および芳香族部位に求電子攻撃をし,生じたカルベニウムイオンが水素移動や異性化をし…,といった反応ではないかと思います。
お礼
御礼が遅れて本当に申し訳ありません。こんなにも詳しく説明してくれるとは、思ってもいませんでした。これだけ、内容が分かれば充分です。ありがとうございます。