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バイオエタノール
バイオエタノールをガソリンに加える研究や開発は急速に進んでいますが、石油製品で消費量が大きい重油や灯油・軽油に加える開発は進んでいないように思います。コスト以外に何か問題があるのでしょうか?
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根本的にはエクセルギーを理解しないと、正確な判断はできません。 私は、大学院では化学エネルギー工学でしたが、その時教官に言われたのが 「学部レベルで理解できていない、今エクセルギーを説明できるなら修士号やる」と言われました。定義としては簡単なのですが工学として活用するのには、深い理解が必要なようです。 修士号は二年でもらいましたが、アバウトにしかわからん。教官曰く、エクセルギーが分かればそれだけで工学者として食っていけるそうだ。嘘かと思ったが、鉄鋼業界では今世紀に入ってから省エネルギーから、省エクセルギーの段階にようやく入ったなんてのが鉄鋼業界の学会誌にあったので、ほんとに食えるようだ。 定義は利用可能なエネルギー ”可能”というのがキモでして、実際のエンジンとかシステムに依存します。理論的にはカルノーサイクルを前提にします。(最近は違うかも知れない) 20年ほど前に流行ったエントロピーの逆数的なものです。 エントロピーの低い(乱雑さが低かったり、純度が高いもの)がエントロピーの高いもの(乱雑だったり、純度が低いもの)になるときに、利用可能なエネルギー、エクセルギーが取り出せるそうだ。 ということで、エントロピー理解は難しい。しかし、私レベルでも市販の書籍でエントロピー云々とか書いてあっても、「あ、この人はエントロピー理解していないな」というのは分かる。 お礼で書かれている 2 と 3 は同じ意味です。あるいは言い換えとなります。 重油とエタノールの混合は技術的には問題なく混合できます。 技術的には、石炭と石油混合COMの方が難しい。なんせ石炭は個体なので、粉体にして、しかも粉体が沈殿しないようにしなければなりません。 === バイオエタノールが話題なのは技術上というよりは「政策上」の話。 アメリカのブッシュ政権の基本政策は「テキサスの原油を最後の原油にする」というもの。今のところ石油以上に汎用性のあるエネルギー源はありません。使い勝手がいいのです。 ブッシュ以降でも、アメリカの基本政策の一つとして上記の「テキサスの石油を最後にする」というのは変わらないでしょう。 この政策から出てくるのが、一つはバイオエタノール政策で、もう一つが原子力発電推進です。
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- tanuki4u
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重油で使わない理由 重油ってのは基本的に燃やすものです。炭素がたくさん結合しています。で、結合させるためにはエネルギーが必要です。逆に言えば結合しているものが分解されて、結合に使われていたエネルギーが外に放出されて熱になるわけです。エタノールから仮に合成重油を作るとなると、100%効率の結合システムなんてのはありませんので、結合に使われない無駄な熱が廃熱として合成の途中で発生します。これは、全体と考えれば馬鹿な話。 合成重油ではなく、混合重油という考えもあります。重油とエタノールを混ぜるというもの。混ぜちゃうと炭素と水素の比率が変わりますので、燃焼装置を作り替えなければなりません。これはコストがかかる。 混合という発想は昔からありまして、COMというのがあります。Coal Oil Mixuture 石炭と石油を混ぜるというもの。炭素比率が重油よりさらに大きい石炭に重油より炭素比率が低いナフサ(ガソリン同等)を混ぜて、パイプラインで送りやすくしようというもの。これは、混合により重油もどきになるので、燃焼段階で有利。なぜかというと、重油燃焼装置をちょっと手直しでそのまま使えるから。 混合によって 石炭と石油(ナフサ)の混合物の炭素比率が重油同等になるからです。 以上、重油と混合するあるいは重油を合成することのエネルギー経済上の不具合です。 軽油・灯油類は主な利用は産業用・原材料です。 原材料と考えたときに、多種の炭化水素化合物に、純粋なエタノールを混合するのは無駄にエントロピーを上げるだけなので、意味がありません。 産業用とするとわからんな、単にニュースになっていないだけかも知れない。
お礼
再度のご回答ありがとうございます。結論的に重油とエタノールを混ぜるのは(1)燃焼装置の作り変えが必要になる(2)エネルギー経済上の不具合(3)ムダにエントロピー上げるということですね。 ところで、上記の課題は別として、単純にエタノールと重油は混ぜることできるのですか?それとエントロピーなるもの以前から気になっていて、色々と調べているのですが、やっぱり私にはよく理解できません。
- tanuki4u
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ガソリンとか灯油とかいう成分があるわけでなく、沸点の違いによっていろいろな成分を 蒸留ガス 軽質ナフサ 重質ナフサ 灯油 軽油 重油 と分けちゃっています。 んで、いろいろブレンドして作るのがガソリン http://www.dojyo.com/tyuing/Hondou/nenryou/6-4-A.html 基本的には自動車産業が立ち上がったときに、捨てていたナフサがガソリンに当たります。 逆に言えば、産業廃棄物として捨てられていたナフサを使える交通手段として自動車は成立したわけです。 で、蒸留温度の違いは、いろいろありますが、ざっくりいえば、炭素と水素の比率となります。 炭素が多ければ蒸留温度が高く、水素比率が高ければ蒸留温度が低い。極端な話、CH4 なんかはメタンで通常は気体ですが、Cだらけの石炭は相当に高温にしないと気体化しない。 んで、エタノールの沸点は78度なので、ガソリンに近いわけです、蒸留温度で考えればガソリンの範囲。まぁ O が ありすぎという問題はありますが。 元々炭素の比率が多い重油に水素の比率の大きいメタノールを使おうとする問題としては Hの分離工程 < これはこれで、これからの水素燃料とかで必要ですが。 Cの重合工程 < C2と炭素が二つでできているメタノールを10も20も重合させるのにはエネルギーが必要です。 戦後の化学工業の発展は、Cが 2とか3 あるいは ベンゼンの6くらいを活用するというのがメインで、Cが一つをいかにして 2とか3にするかという課題と、Cがグザグザにくっついてるものから単純な2,3あるいは6くらいに分解・改質するかでした。 なので、わざわざ重油をつくるというのは、技術的に逆行しますし、エントロピー的には、低エントロピーのCが2の物質から高エントロピーの重油を作るということになり、技術的に意味がありません。 とりあえず、元応用化学系学科出身者としての見解です
お礼
早速回答をいただきましてありがとうございます。なぜバイオエタノールが、燃料使用量の少ないガソリンの代替燃料として脚光を浴びているのかがよくわかりません。環境ということで考えると、燃料使用量がガソリンと比べずっと巨大な灯油や軽油、さらに重油の代替燃料にバイオエタノールを振り向けないのかなあと単純に思い、質問をさせていただきました。
お礼
何度もご回答いただきましてありがとうございます。おかげさまで薄ぼんやりと理解できました。これを機に自分なりに学びます。それにしてもエントロピー難しそうですね。ありがとうございました。