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頭部傷害基準(HIC)の考え方について
- 頭部傷害基準(HIC)と衝撃緩衝材の圧壊荷重の関係について疑問があります。
- HICの定義式はネットでも簡単に見つかりますが、FEMでシミュレートして圧壊荷重(P)を求めました。
- 衝撃緩衝材の厚みが大きい方が圧壊荷重が大きくなるため、HICの値が大きくなってしまう矛盾があります。
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>>演習問題(この中ではHICには言及しません)で、私が最初に記載したように「F (この場合、圧壊荷重 P) = ma」から加速度を求めている 圧壊荷重からシンプルに加速度は出るのか・・・この点については私の理論面の理解力が足りないので判断不能です。すいません。 それはさておき、ちょっと参考になりそうな論文がひっかかったので紹介します https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsms1963/42/483/42_483_1427/_pdf この論文の「3 衝突圧潰試験の結果」では、「クロス ・ヘ ッ ドの運動 エネルギーが完全に吸収されて圧潰の終了するまでに要する時間は,A100で20ms S100で15ms」と語られています。当然、吸収できるエネルギー量はS100の方が多いわけですが、変形に要する時間も短い。つまり単位時間当たりの運動エネルギー=衝撃力が高い事が伺えます。 >>変形しにくい方=必要なエネルギー量が多い方(=より衝撃を吸収する方) これは私の書き方が悪かったです。圧壊しにくい≒変形しにくい≒衝撃を和らげにくい、が正しいです。 『衝撃』とはシンプルな運動エネルギーの総量ではなく、そのエネルギーがどれだけの時間で消費されるかが重要です。変形しにくい物体は、たしかに多くのエネルギー『量』は吸収できるのですが、その分短い時間でエネルギーを消費します。つまり衝撃としては強くなります。 バネで考えてもらうのが分かりやすいでしょうか。柔らかいバネは容易に縮みきってしまいます。これは吸収可能なエネルギー量が低い事を示します。 しかし吸収可能な範囲であれば、柔らかいバネは長い距離(=長い時間)をかけて変形を完了させますので衝撃力は和らぎます。 同じ長さの固いバネは中々縮みきりませんので、その分大きなエネルギーを吸収できます。しかし、同じ力をかけた場合の変形距離は短くなるため、衝撃力はあまり軽減できません。 >>自動車でしたらフレーム(車の内部パーツ)で、運転手目線で考えています この場合はHICを使うのが間違いのですね。いや完全に間違いというわけではないのが難しい部分ですが・・・。 先のバネの例で考えて下さい。バネの最大吸収力を超えると、もうバネは緩衝材として機能しませんので、衝撃力がそのまま加わります。 こうした領域については、貴方が今考えているような圧壊荷重が重要です。これを低くしすぎると、車体で言えば完全に圧壊して運転手ごと潰れた状態になります。当然、運転手は死亡します。 しかしHICは、こうした領域のエネルギーは想定していません。なぜならそんなエネルギーが頭部に加わったなら、衝撃力云々というレベルではなく『とても酷いことになる』からです。あまり想像したくない状態でしょうね。 ただ逆に、車体が柔らかく潰れてくれる=運動エネルギーをそれだけ消費してくれるという事なので、その範疇であれば柔らかい車体の方が運転者保護には有効です。 要は想定される速度領域が歩行者ベースのHICとは異なる分だけ、より複雑な観点が緩衝材=車体側に求められる事になります。 実際のところは、衝撃力緩和についてはシートベルトやエアバックが担う上、圧壊後も生存空間が確保できればいいので、車体的には「柔らかく壊れやすい部分」で衝撃を吸収しつつ「固い部分で生存空間を確保する&安全装備で余剰衝撃を和らげる」という構造がよく選択されていますね。
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- nowane4649
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ぱっと見、「圧壊荷重」=「対象を破壊しきるのに要する荷重」となっていて、「圧壊荷重が大きい」=「大エネルギーでの衝突」という仮定になってしまっているように見えますね。 >(変位vs荷重のグラフを描くと、厚みのある円柱の方が大きい荷重を吸収していることが分かります) これがおかしい気がします。静的荷重での圧壊モデルを使っていませんか? 厚みによって圧壊荷重が変化するというのは、「衝撃伝播が圧壊速度より十分に遅い」という条件が必要です。 その場合、厚い材料が一斉圧壊してようやく衝撃が吸収しきれるという条件となるので、薄い材料では衝撃を受けきれないということになるはずです。
- kon555
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そもそも頭部傷害基準について、『圧壊荷重』に着目するのは何故ですか? 頭部傷害基準とは端的に言えば衝撃測定ですので、何よりも加速度(減速度)が重要ですよね。つまり入力に対する変位量こそが重要であって、圧壊荷重はそこまで重要ではない上に、むしろ低い方がいいはずですが。 厳密な表現ではないですが、圧壊しにくい≒変形しにくい≒衝撃を吸収しにくい、ですよね? より衝撃を吸収できる緩衝材、とはつまり『破壊するのにそれだけエネルギーが必要な緩衝材』であり、つまりは固い緩衝材になりませんか? 固い緩衝材の方が怪我をしやすい、というのであれば、何も矛盾はないように思いますが。 実際、車両における歩行者頭部保護性能試験としては、ボンネットの真ん中などの『柔らかい』部位に当たる方がHICの数値は小さくなります。逆に構造材であるピラーなど『固い』部位に当たるとHICの数値は大きくなります。 https://www.nasva.go.jp/mamoru/assessment_car/head_protection_test.html
お礼
kon555さん ご説明ありがとうございます。 『圧壊荷重』に言及したのは、『加速度』を求めるためです。 安全性を評価する条件(環境)が「時速36km」の時となっており、また、演習問題(この中ではHICには言及しません)で、私が最初に記載したように「F (この場合、圧壊荷重 P) = ma」から加速度を求めているため、圧壊荷重をFEM (ANSYS)で求めました。 >>固い緩衝材の方が怪我をしやすい 歩行者の視点からすれば納得です。ただ、これは、自動車でしたらフレーム(車の内部パーツ)で、運転手目線で考えています。そうすると、同じエネルギー(衝突)が与えられた時に、変形が少ないものが安全、と考えたのですが、そもそも、この場合にHICを使うのが間違いなのでしょうか? いったん圧壊荷重はおいておいて、加速度だけで考えると、運動(運転)速度が速い方がHICが高いですし、運動(運転)速度が速い方が事故のダメージが大きいのは感覚的にも分かるので、HICが運転手(歩行者ではなく)に適応できると思いました。 >>圧壊しにくい≒変形しにくい≒衝撃を吸収しにくい、ですよね? ごめんなさい。この感覚を持っていませんでした。2つの円柱を同じ変位まで変形させる時、変形しにくい方=必要なエネルギー量が多い方(=より衝撃を吸収する方)と思うのですが、違うのでしょうか? 何度も申し訳ありませんが、この点について情報をいただければと思います。
お礼
丁寧なご説明ありがとうございます。文献まで。 結構な時間を遣わせてしまったかと思います。申し訳ないです。 すごく分かりやすくご説明いただいたいので納得することができました。 自分でももう少し調べてみようと思います。 本当にありがとうございました。